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パキスタンの親切 [旅の思い出・アジア編]

パキスタンには1994年の9月~10月に1ヶ月くらい訪れました。

イスラム教の国なので、どこを歩いても女性の歩く姿が街中でぽつりとしか見つけられず、完全な男性社会。まあイスラムの地域にはよく見られる光景なのであまり驚きもしませんが、外国人でありまた女性である私は、外人であり女性一人ということで、かなりこういう社会では目立ちました。

もちろんイスラム社会に習い、チャドル(髪の毛を隠すスカーフ)をかぶって肌の露出や体のラインをださないような結構ダブダブした服を着るように心掛けたのですが、それでも街中を歩いてるといきなり手を握ってくる人、お尻を触ってくる人がいて、不愉快な思いもしました。自分の国での男女間の交際が厳しいイスラム教の国では往々にして結構こんなことがあります。残念ですが。

ところが、その一方で、パキスタンではかなりの人(おじさん)におごられまくりました。ジューススタンドでジュースを飲んでると、隣で既にジュースを飲んでるおじさんから「おれがジュース代払っていくからおまえはジュース代払わなくてもいいよ」と言われ、そのおじさんは格好良く去っていくのです。私がきょとんとしている間、今度はジューススタンドのおじさんが、「それじゃあ、二杯目はここのおごりだから飲みな」と言って、二杯目を注いでくれる。そんなことが何回かありました。

またレストランに入ってビーフカレー(パキスタンではインドで食べられないビーフカレーがおいしかったです。ナンもインドよりおいしい)を注文し、食べてると、やはり先に既に店で食べて精算しようとする一般客のおじさんが、大声で私に向かって「お前の分は払っていくから会計しなくていいからな」と言ってこれまた格好良く去っていくのです。私とレストランで同席もせず、一言も話してないのにも関わらずです。このこともパキスタンでは何回かありました。

バスも乗るときには、女性はバスの前方の乗降口からしか乗り降りできず、バスの中でも男性と明らかに分けられて女性は乗っているのですが、あるときにはバスの運転手が私を特別扱いしてくれ、これまたバス代を払わずいいと言ってききませんでした。

またカラチからイスラマバードまで一度だけ列車で移動したのですが、そのときの予約で駅に行くと、切符を買う人で人が溢れ、仕方なく後ろの列に並んでいたら、わざわざ「女性用の窓口があるからそこで買いなさい」と手を引っ張って案内してくれるパキスタン人がいて、助かりました。パキスタンもインドも一応レディーファーストが日本よりも行き届いており、女性を守る仕組みがこんなところにもあるのですが、インドではそんな窓口があってもわざわ手を引いて教えてくれる人はいませんでしたが、パキスタンでは違いました。

また列車には女性用のコンパートメントがあるので、女性用の車両に乗り込んだら本当に女性だらけ、家族だらけで(男性でも家族と一緒なら女性用の車両に乗り込める)、ちょうど食事時にかなりあちこちの女性から今度は手作りのお弁当(もちろんカレーです)を勧められました。それも断っても断っても何度も何度も次から次へ、あちこちからお呼びがかかるのです。これにはとてもびっくりしました。

どうしてパキスタンでそんなにもてなされたのか、不明です。パキスタンをカップルで歩いてる人たちに聞いたら「そんなことはなかった」と言ってましたし、男ひとりで回っていても「そんなことない」そうです。残念ながら女性一人で回ってる人に会わなかったので、これが女性一人旅の女性に全員に当てはまるのか、あるいはたまたま私がラッキーだったのかわかりませんが、とにかくパキスタンの名も知らぬ人たちのたくさんの好意が今も尚、思い出に残っている私です。

コーランに「旅人をもてなせ」と言う言葉があるにしても(聖書にも同様にあるみたいですが)私のパキスタン旅行はかなり恵まれていたことは確かで、そのためパキスタンの印象はかなりいいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パキスタンの北部にチトラールという地域があります。ここには飛行機で飛んで、更にバスに乗り継いで行くと、非イスラム教徒が住んでいます。このエリアの人たちは自分たちをアレキサンダー大王の末裔と信じていて、独特な民族衣装を羽織っています。

 

 

 

 


上の家族の人たちはパキスタンの普通のイスラム教徒の人たちでしたが、チトラールにいる間、ズボンを一本ダメにしてしまったので買おうとしてたらわざわざこの家のお母さんが新しいズボンを私のために縫ってくれたり、またご飯をご馳走になったりしました。

やはりイスラムだなあとびっくりしたのは、結婚のことでした。この家の長男の子の妹が第3夫人として、大きな家に嫁に行ったとかで、その大きな家にも遊びに連れて行ってくれたのですが、「妹さんは第3夫人なんかで幸せなのか」という質問をその長男にぶつけてみたら、「財産がたくさんあって裕福な家に嫁いで幸せじゃないはずがないじゃないか」と言われました。「世の中には貧しい家に嫁ぐ女の人もいるけど、妹は3人も食わせることができる金持ちの家に嫁ぐことができ、幸せだしラッキーなんだよ」と。

パキスタンのそれが現実でした。

本当のことはわかりませんが、女ばかりが家の中に何人もいて、それが意外と和気藹々と楽しそうに見えました。一夫一婦制のほうがもちろんいいとは思いますが、ここのイスラム圏のように一夫多婦制もあるし、チベットのように多夫一婦制もある。

何が常識なのか常識でないのか、国が変わり時代が変われば変わってしまいます。だからこそ、自分の価値観で生きていきたいと強く願った一件でした。


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Zunko

こんにちは。パキスタンに女性一人旅は、今では考えられない事かもしれませんね・・。そういう意味では911の前の大変貴重なご体験だったのではないでしょうか。でもなんだか、ほんと暖かい方達なのですね。私はアメリカでしかパキスタン人やイラン、イラク人と接した事がありませんが、皆さんほんとにしつこい位、世話焼きでとても親切です。女性一人旅は、特に中南米やラテン系の国でももてはやされませんでしたか?女性が一人でいると放っておけない、と言う文化は結構あると思いますが、日本位じゃないですか?女性がスーツケースを持ち上げようとしていても知らん振りしてる男性達って(笑)

正直申し上げて、私はNaonaoさんは男性か女性かわからなかったんですね。ホームページの感じからは女性の印象だったんですが。行かれてる国からして男性かも~なんて思ったり。これですっきりしました♪
by Zunko (2006-10-14 11:36) 

naonao

Zunkoさんの言うとおり、重たい荷物持ってても知らん振りしてるのは日本くらいかもしれませんね。外国では本当どこの国でもよく助けてくれますよね。
ラテンはすごく熱いですよね(笑)くどき文句もすごく熱くて、日本語に直しようものなら恥ずかしいくらいね(笑)英語なんて目じゃないくらいに。でも底抜けに明るくて、明日は明日の風が吹くって感じの生き方で、日本人も少しは彼らの爪の垢を煎じて飲めば、と思うくらいにいいなあと思います。
日本人女性はどこ行ってももてる気がします。もう既に韓国女性にお株を取られたみたいですが、その前まではお嫁さんは日本人、庭は英国式、サラリーは米国並み、コックはフランス人・・というのが一番なんていわれてた時がありましたね。

えー!?、私の行ってるところって、男性の行く国っぽいですかね?
基本的にアジアが一番好きな私ですが・・
by naonao (2006-10-14 21:42) 

DSilberling

興味深い内容でした。今では行こうと思っても行けませんよね。
by DSilberling (2006-10-15 02:36) 

naonao

DSillberlingさん、こんにちは。
そうですね。行きにくくなりましたね。
国の政策は直接旅行者に降りかかってきますしね。
今まで日本はあまり白黒つけない政策だったので、どこにいっても比較的安全だったと思うのですが、これからはそうはいきませんね。
テロがあったとき、真っ先に「日本人残れ」と言わないとも限りません。アメリカ人並みに危険に晒されるのかもしれません。
日本人のパスポートが世界一いいなんていう優雅な時代は終わったのかもしれないです。
by naonao (2006-10-15 13:43) 

*Takako*

え、え、え~(><)
naonaoさん、1人で行かれたのですか?
勇気あるぅ~!!写真、とっても綺麗です!
by *Takako* (2006-10-16 09:47) 

naonao

そのえさん、photoの方からの訪問、Nice!ありがとうございます。

*Takako*さん、訪問ありがとうございます。写真はデジタルでなく、しかもタイで焼き12年も前のものなので、どうかなあ。デジカメでないので粗いですが・・・
そう、1人で基本的に旅行してました。このパキスタンは93年~95年の2年間世界一周旅行中の1ヶ月でしたが、まあ1人といっても旅の途中いろんな人と出会い、気が合えば一緒に旅してますから、いつも1人ではないのですけどね。でもパキスタンでは一緒に回る人がいなかったので、1人でしたね。
「勇気ある」っていろんな人から言われましたが、1人で世界を回ってる人なんて掃いて捨てるほどいるし、出てしまえば何とかなります。1人だとたくさんの人との出会いが2人の時より広がります。
でももちろん誰かと一緒のほうが楽ですよね。それもすごくよくわかります。
by naonao (2006-10-16 11:12) 

はるかぜ

パキスタンは一夫多婦制、チベットは多夫一婦制には驚きました。文化の違いというか人間の違いではありませんものね。不思議です地球って・・・
by はるかぜ (2006-10-17 21:44) 

naonao

はるかぜさん、毎回アクセスありがとうございます。
この世にはあるとあらゆることがあるように思います。だからひとつの基準では推し量れませんね。あちこち旅行してその感を一層強くしました。
パキスタンというより、イスラム社会は一夫多妻制ですよね。
チベットでは兄弟がひとりのお嫁さんをめとって、だんなさんの一人が出稼ぎに行ったりして家を留守にすること多く、また田畑を分割しない知恵から多夫一婦制だということです。それが生きていく知恵なのでしょうね。
違っていることはおもしろいです。
by naonao (2006-10-17 22:41) 

toshi

こんにちは、90年代にパキスタンに行ったことがあります。禁酒国でしたが、大都市のホテルには、外国人のためにバーがあったのを覚えています。そこでパキスタン製のノンアルコールではないビールとウィスキーの小瓶を注文したのですが、従業員の一人に四分の一ぐらい飲まれてしまいました。多分、チップがわりということでしょう。
by toshi (2007-03-23 14:57) 

naonao

>toshiさん、私はあまり飲まないので禁酒国でも全然堪えませんが、お酒好きな人にはパキスタン旅行は大変でしょうね。旅行中旅行者が禁酒国でもどこどこで酒が飲めると話してたのを思い出しました。
by naonao (2007-03-23 21:54) 

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