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インドの”No problem.” [旅の思い出・インド編]

インド旅行した人ならわかってくれると思います。

今では私なんかは笑ってしまいますけど。でも当時はこの”No problem.”という言葉を聴くだけでムカムカしてました。インドで一番聞きたくないのがこの”No problem.”。インド旅行した誰もがこの”No problem.”にどれほど怒りを爆発させたことでしょう。中国の”没有(メイヨウ)”同様、インドでの怒り爆発の言葉は”No problem.”です

”No problem.”って「問題ないよ」「大丈夫だよ」「OKだよ」という意味。誰もが気軽に使ってる言葉。私が友達に本を貸し、その友達が「今週返すって言ったけどまだ読めてないんだ」と言ったとき、私はすかさず”No problem."って言ってあげる。これが少なくとも日本の”No problem."の使い方。

でもインドでは違うんですね。私が友達に本を催促する。「今週返してくれるって言ったじゃない。早く本を返してよ」すると友達はこう答える。”No problem."・・・・「え、何?」怒りがこみ上げてくると言うわけ。これがインドの使い方の基本です。これじゃあ誰でも怒り出しますね。

インドの旅行会社を使ってインドのヴァラナシーからネパールのカトマンドゥーまで行くバスを予約して、乗っていった時のこと。バス会社の謳い文句は「デラックスバスでの国境越え」だったのです。旅行者は誰でも、いいバスでゆったり行けると思った。ところがインド・ネパールの国境に来るとインド側でそれまで乗っていたそれなりにデラックスだったバスは、翌日ネパール側でネパールのおんぼろバスに乗り変える羽目になり、一斉に旅行者が説明を求めるとバス会社のインド人はこう言ってのけるのです。"No problem"

それにはさすがに誰もが切れた。特に西洋人はすごい、怒り方。「デラックスバスで契約してるだろう」「何故だ」「そんなの詐欺だ」「金返せ」「デラックスバスを用意しない限り絶対ここを動かない」「何が”No problem"だ」ものすごい剣幕です。でも日本人は諦めが早いと言うか、インド人のこの手のやり方にもう慣れてると言うか、「怒っても仕方ない、ここはインドだもん」という態度です。

私も最初は西洋人と一緒になって怒りまくりました。納得できない。もうプリプリ。絶対バスに乗らないとボイコット。しかしそこにいるネパーリが日本人の私のところに来て耳元でこう囁くのです。

「ジャパニ。よく聴いて。バスはこの一本しか今日はない。乗っていくしかないんだよ。乗っていかないとカトマンドゥには行けないんだ。明日まで待っても同じこと。だって同じバスだもん。ジャパニは友達だから、僕の話を聞いて是非乗っていってほしい」

 時間ばかりが過ぎていきます。何度も何度もネパーリが私のところに来てこう言っていきます。何故かネパーリは西洋人のところには行かないんですよね。もう私も仕方ないか、さっさとカトマンドゥに行ったほうが賢いか・・・と諦め、バスに乗り込みました。他の西洋人はまだ怒って「あなた、乗っちゃダメよ」と私のところにやってきて叫びます。でも結局は根負けして皆がバスに乗り込み出発となるのです。

 

またアグラからヴァラナシーまで列車で移動しようと、初めて一等を予約したときのこと。当日その予約がコンピュータで取れていないと言われ、一等の列車に乗せてもらえず仕方なく二等列車に乗り込んだのですが、二等の席なしは悲惨なもので、もう人・人・人・人・人でギュウギュウ詰めもいいところ。勿論人の目もついてきます。目・目・目・目・目です。とにかく見まくられる。また日本なら皆きれいな服着てるからなんてことなくても、インドでは何日も洗ってない服着てるのが普通なので、ギュウギュウ詰めにはニオイがこたえるんですよね。これではとてもじゃないけど乗っていけないと思い、何度も何度も一等列車に乗せてもらおうと駅に着くと二等から一等へ走ります。ダッーシュ。でもどんなに説明しても一向にらちがあきません。

その時私と同じような目にあっていたアメリカ人のカップルもいて、一緒になって右往左往しました。そしてこうなったら権限の大きいステーションマスター(駅長)に相談するしかないという話になり、次の駅ではステーションマスターのところに言って相談したのです。するとそのステーションマスターがここでもこう言ってくれました。"No problem"

「"No problem"だよ、君たち。ヴァラナシ行きの列車がすぐに来て君たちはそれに乗っていける。一等に乗せてあげるから」

私たちが喜んだのは言うまでもありません。しかし、です。待てど暮らせどその列車は来ない。列車どころか一台も来ないのです。来なきゃ話にならない。アメリカ人カップルは怒りましたね。もうヒステリックに泣き叫ぶ感じで、ステーションマスターに罵声を浴びせかけ、「もうあんたじゃ話にならない」「列車が来ないなら、もう夜中なんだ(夜中12時を完全にまわってました)この町でホテルを用意しろ」そこにあった椅子やテーブルを投げ、壁にけりを入れてました

「"No problem"なんてくそ食らえ。おまえの"No problem"信じてた俺たちがバカだった

そしてやっと来た列車は急行でもない鈍行の列車。一等なんていうものも勿論ありません。これに乗るしかないのです。これを逃せばまたいつ列車が来るか知れたものではありません。そして来た列車の二等はとても乗れないので、運転席のほうがまだましとばかり、私たち三人は強引に運転席に乗ってやっとヴァラナシーに翌朝到着しました。

その後アメリカ人カップルは疲れも見せずヴァラナシー駅にクレームをつけに行き、私はもう疲れきってすぐ宿にチェックインすることにし、その夜夕飯を一緒に食べる約束をしてカップルとは別れました。

"No problem"

この言葉をインドで聞いたらご用心ですよ。

"No problem"は全然"No problem"ではありません。

むしろインド人に"No problem"と言われたら、”There are so many problems involved.”(「問題あり」「たくさんの問題含んでるからね」)と言われたと思って間違いないです。

インド旅行したことのある人はきっとこの言葉、懐かしく感じてくれるに違いないなあ。そうでしょう?

インドを代表するタージマハールは何度訪れても素敵です。

ハワマハルはロンリープラネットのインドの表紙を飾ってましたが、マカオの聖ポール天主堂のファザードのようで正面だけ立派なのです。でもこのピンクが素敵です。ジャイプールがピンクシティと言われる由縁です。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めてインド旅行する人は手始めにデリー、アグラ、ジャイプールの3ヶ所くらいの都市がお勧め。3都市は近いし、観光するにも見るところが詰まってます。写真は全てこの3都市からピックアップしてみました。

ゴーゴー・インド

ゴーゴー・インド

  • 作者: 蔵前 仁一
  • 出版社/メーカー: 凱風社
  • 発売日: 1986/11
  • メディア: 単行本
インドは今日も雨だった

インドは今日も雨だった

  • 作者: 蔵前 仁一
  • 出版社/メーカー: 世界文化社
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
蔵前仁一氏の本はおもしろい。旅行人の編集しながら自ら旅に出て、こんなおもしろい本まで出してて、思いっきり共感してしまうことばかり。「旅ときどき沈没」「沈没日記」などもバックパッカーにはよーくわかる話が満載お勧めです。
 
 

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コメント 13

nack

はじめまして。
すごいですね。インド・・・。
ワタシはインドには行った事ありませんが、もし行く場合は、No.Problemは、気をつけたいと思いました。
アジア・中南米にも、行ってないのでブログ拝見させていただきましたぁ~^^
by nack (2006-12-18 20:11) 

naonao

こんばんは。
私もZAFTtoNACKさんのブログもあとでじっくり見せていただきまーす。ちらりと見たら写真たくさんのブログなので、何だか一緒に観光してる気分になりそうです。全て行ったことある国なので懐かしいですが、行った時期も目の付け所も人によって様々なので興味深いです。
インドは是非行ってみてください。ものすごくパンチのある国で、カルチャーショックの点ではナンバーワンの国です。お勧めです。
by naonao (2006-12-18 21:25) 

こころん

お久しぶりです。
こんちきしょうの、ノープロブレム話は、大笑いでした。旅の途中で知り合った欧米人がこう言ってました。「インド人は、ひとつの大きな問題を抱えている。それは、No Problemだ!!!」って。むかつくけど、笑えますよねぇ~。
写真もキレイですね。これからも楽しみです。
by こころん (2006-12-18 22:48) 

naonao

こころんさん、本当お久しぶりです。
「インド人は、ひとつの大きな問題を抱えている。それは、No Problemだ!!!」って・・・、これも笑えますねー。
今となっては愛すべきインドになってますよね。あれだけの喜怒哀楽を一気に出せる場所は世界広しと言えどもインドしかないでしょう。
こころんさんのブログも再開したので楽しみにしてまーす。
by naonao (2006-12-20 12:11) 

pi

naonaoさん、こんばんは。
インドへの旅は、心構えが必要とは聞いていますが、やはり濃いですね。。。
インドの乗り切らないほどの列車をTVで見た事がありますが、都内のラッシュより避けたい風景でした。それを体験されたとは、オツカレサマでした。

いつかは、タージマハルを見に行きたいと思っています。
by pi (2007-01-08 03:19) 

naonao

>piさん、訪問ありがとうございます。
「人生何でも体験したもの勝ち」って思ってるので、まあ今また同じ体験しろと言われたらNo thank you.なんですが、このインドでの体験は本当に出来てよかった!!と思ってます。日本人はもっと自己主張していいんだって思いましたし、この件でアメリカ人の切れ方やネパーリの日本人びいきやらインドのいい加減さなど本当にいろいろ勉強になりましたから。東京に住んでいながら仕事柄ラッシュアワーはそんなに体験してないので、まあインドでこれくらい経験しても良いし、今は貴重ないい経験、財産と思ってます。
by naonao (2007-01-08 14:09) 

ha

naonaoさん。こんばんは。
いろんなとこに行かれてるんですね、凄いです。
インド編、読ませていただきました。非常に勉強になります。
no problemって危険なんですね。no problemと言われたら、ある程度諦めることにします。(明日は早目にニューデリー駅に行こうと思います)。
小旅行から戻りましたら、また書かせていただきます。
by ha (2007-01-23 04:21) 

naonao

>haさん、こんばんは。アクセスありがとうございます。
決してNo problem.に屈することなく、下痢にもめげず、インド人の目にもめげず(笑い)インド旅行してきてくださいね。haさんのブログも楽しみにしてます。
by naonao (2007-01-23 19:32) 

naonao

>ハチさん、nice!ありがとうございます。
by naonao (2007-03-02 22:30) 

toshi

こんにちは、インドは面白いですね。以前、仏跡を観光した時、インドはなんて道が悪いのだろう、と呆れてしまいました。大変な、ガタガタ道を八時間も移動していくのだから、それだけで疲れてしまいます。
by toshi (2007-03-23 13:08) 

naonao

>toshiさん、道の悪さは発展途上の国はどこも似たり寄ったりですね。私が経験した中では大きな穴がぼこぼこあきっぱなしだったグアテマラの道が最も酷かったです。それと中国も酷いところありますね。インドネパール間の道も今思うとよくもあんな悪路をバスで行ったなあと思います。パキスタンの山道も酷い。バスが落ちても当たり前って感じですね。今となってはもうあんなしんどいバスの旅もできないだろうなあと思います。体力あってそれを楽しめるときに行けて良かったです。
by naonao (2007-03-23 21:28) 

jpkyo2

またまた以前の記事へのコメントですみません。カトマンドゥ行きのバスのエピソードを読んで共感しました。というかほぼ同じ体験をしました。おんぼろバス、西洋人の怒り、その時の自分の心境。あまりにも状況が同じでびっくり。
その時の事は以前作ってたHPに載せたので勝手にアドレス貼り付けて申し訳ございませんが、よかったら見てください。
http://www.geocities.jp/sinyakaisoku02/mana/mana.html

>インド旅行した人ならわかってくれると思います
わかります!みんな同じ体験するんですね。

それとゴー・ゴーインドに出てくるチベット人タムディンさんにも会いました。(お坊さんに支援物資を売りつけられる話しに出てくる人)当時、地球の歩き方にも、日本で働くことを夢見て、お母さんとブッダガヤのレストランで働く青年として紹介されてましたが、私が会った時はもう夢をあきらめられたのか「僕には日本に行くカルマがないみたい」と語られてて、少し寂しそうでした。
by jpkyo2 (2007-08-09 22:21) 

naonao

>jpkyo2さん、再びのコメントありがとうございます。
jpkyo2さんのHPも読ませていただきました。良くまとまってますね!93年にチベットもラダックも行ったのですね!私は91年に行ってます。(93年はメキシコ、グアテマラ、ホンジュラス・・など中南米を旅行中でした)本の中に出てくる人に会うなんていいですね!私の友だちも蔵前仁一さんにバンコクの安宿で会ったそうです。
by naonao (2007-08-09 23:00) 

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