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アフター・ウェディング [デンマーク・スウェーデン映画]

アフター・ウェディング
映画公式サイト:http://after-wedding.com/
「アフター・ウェディング」を神保町の一ツ橋ホールで観てきました。
デンマーク映画です。デンマーク映画を観るのは初めてでした。映画監督はスサンネ・ビア。女性の監督です。前作の「しあわせな孤独」「ある愛の風景」が既にハリウッドのリメイクが決まっているためこの映画も注目作と言われてます。そしてこの映画は2007年アカデミー賞外国語映画賞ノミネートもされています。
ストーリーは「007カジノロワイヤル」に出たマッツ・ミケルセン演じるヤコブが、インドの孤児で救済活動をしてるのですが、資金援助を申し出る実業家ヨルゲンと会い、偶然ヨルゲンの娘の結婚式に出席することからいろんな運命の歯車が動いていきます。
ヤコブは昔、ヨルゲンの妻と関係があり、ヨルゲンの結婚する娘は本当はヤコブの娘でした。そのことを知ってヤコブもヨルゲンもヨルゲンの娘も動揺します。もちろんヨルゲンの妻もヤコブが結婚式に出席して以来動揺しています。それからヨルゲンの娘は本当の父ヤコブに会いに出かけるようになり、その間結婚したばかりの夫が浮気に走ることで途端に不幸に陥ります。またヨルゲンは自分の死が近づいていることをそれまで誰にも話さずにいたのですが、妻にも娘にも知られることになり、そしてほとんどの財産や家族をヤコブに託そうと準備を始めます。またヤコブはインドに残してきた自分の子供同然に可愛がってきた子供をどうするか、インドに戻るかデンマークに残るかで悩み始めます。
会場内で試写会が始まるのを待っていたとき、デンマーク映画らしからぬインドか、はたまた中東辺りかと思わせる音楽がガンガンにかかっているなあと思っていて、どうしてインド音楽こんな音楽なのと思ったのですが、映画ではデンマークとインドが出てきて、その音楽は映画の最後にも流れるテーマ音楽でした。
映画冒頭から、インドの孤児院の様子、インドの可愛い孤児のインド英語、街の様子などが映し出され、私としては全て懐かしく、肯定のイエスなのに首を横に振ってイエスというのも(普通首を横に振ったら否定のノーという意味なのにインドではイエスで首を横に振るんですよね)、インド訛りの英語も健在、「ティケ(OK、わかった)」というヒンディ語も私の頭のどこかにちゃんと残っていて、すごく反応してしまいました
この映画自体はすごくリアリティあるタッチで描かれ、運命に翻弄される一家族を描いてます。亡くなって行くヨルゲンの生き方が立派でした。家族を愛し、愛するものたちに全てを残し、幸せを願って亡くなって行く。死に対して恐れ、慄き、「死にたくない」と妻の前で泣き叫ぶ姿は涙なしには見られませんでしたけれど・・・。
映画の最後にはヤコブがデンマークに残る決意をして、自分の子供同然に世話したインドの男の子はインドに残りたいと言っていたのでデンマークに連れて行けたのか定かではありませんが、これからまだまだ人生は続くのだ・・・という感じで終わっていました。
インドに始まりインドに終わったこの映画。最初も最後もインド音楽。途中のデンマークの結婚式の様子や葬式の様子も印象的。またインドの混沌とした世界と同様、北欧デンマークの美しい風景の中での家族の絆、愛の物語に惹きつけられました。感動作。涙が自然に溢れた静かで秀逸な作品でした。
ところで不思議なのですが、韓流スターのイ・ビョンホンに全然似てないにも係わらず、マッツ・ミケルセンの立ち振る舞いが何故かイ・ビョンホンを思い出させました。それと「007カジノロワイヤル」に出たマッツ・ミケルセンは悪役で端役でセリフも全くない役回りだったのですが、自国デンマークでのこの映画では主役で伸び伸び演じてる感じがしました。ペネロペ・クルスといい、マリオン・コティヤールといい、それぞれハリウッド映画に出るより自国の映画に出て主役を演じたほうが本来の持ち味が出て素晴らしいと感じたのですが、マッツ・ミケルセンも例外ではなくどんどん自国の映画に出たほうがいいなあと思いました。
アフター・ウェディング オリジナル・サウンドトラック

アフター・ウェディング オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2007/09/27
  • メディア: CD

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コメント 12

toshi

インドで肯定なのに首を横に振る時、大きく横に振るのではなく、小さく早く、しかもアゴをしゃくりあげるようにするのではありませんか。
by toshi (2007-10-04 06:08) 

Zunko

以前、スエーデンと日本の会社のJVで働いていた時に、マッツ、ヤコブ、夜ゲン、と言う名前は同僚に多く、変な所で懐かしんでしまいました。。インドとデンマーク、面白い舞台ですね。。アメリカはヨーロッパ系映画は余りやらないのですよね。。残念ながら。。でもこのサウンドトラック位はアマゾンで買えそうですね。音楽も凄く面白そうで興味あります。。実際私のドイツ人の友人で今はスエーデンに住んでいますが、彼女がインドの学校をサポートしてまして。。北欧とインドってつながりがあるのでしょうか。。
by Zunko (2007-10-04 14:03) 

懐かしいインドを思い出しながら、映画を見られると、
またひとつ、楽しみが増えていいですね!
イエスが首を横にフルって言うのは、おもしろい!
不思議です。首の動きは本能的なものかとおもっていたから。

映画はかなり、切なそうですね。ヨルゲンの生き方がすごいです。
by (2007-10-04 14:24) 

naonao

>toshiさん、いつもありがとうございます。
首は横に倒す感じですかね?ヒンディー語で「アチャー」と言いながら。イエスなのかノーなのかはっきりしてくれって最初は思ってました(笑い)

>Zunkoさん、いつもありがとうございます。
さすがZunkoさん、国際色豊かな環境で働かれてますね。名前はデンマークもスエーデンも北欧だから同じ名前が使われているのでしょうか?特に北欧とインドが関係あるって私も知りません。どなたか知ってたら教えて欲しいですね。

>crystalmimiさん、いつもありがとうございます。
そうなんです。イエスなのに首を横に振るのは本当おもしろいんですけど混乱しますよ。何が何だかわからなくなります(笑い)

>萬中さん、toraneko-toraさん、くろたさん、いつもnice!ありがとうございます。
by naonao (2007-10-04 21:06) 

アントニオ・バンデラスも、アルモドバルの映画に出ている頃は
凄くセクシーでよかった。ポール・バーホーベンという監督も
オランダで「4番目の男」を撮っている頃は素晴らしかった。
渡辺謙も、熊井啓監督の「海と毒薬」が一番よかったし。
ハリウッドへ行くと、プロデューサー(昔はスタジオ)の権力が
強いので、みんなお金は稼ぐけど、ダメになっていくケースが多いです。
ペネロペ・クルス!なんていい女!そう、彼女も自国の映画で
コケティッシュにがんばってほしいですぅ☆(話ズレました・笑)
by (2007-10-05 04:06) 

naonao

>コールドターキーさん、いつもありがとうございます。
本当。渡辺謙。ハリウッドでバッドマンの悪役じゃどうしようもないですね。学芸会って感じで。みんな自分の国で頑張ったほうがいいってことですね。コールドターキーさんはペネロペ・クルス好きなんですか?彼女の出たボルベール、すごく良かったです。お勧めです。
by naonao (2007-10-05 21:42) 

anthonberg

はじめまして。りんごさんのブログを読んでいたら"Efter Brylluppet"を拝見したというコメントがあったので、飛んで来ました。デン在住なので日本での公開は話だけ聞いていたのですが、もう始まっているのですね!
てっきり下旬だと思っていました。
この映画はDVDで観たのですが、家だったから一人で号泣しました。
私の父が4年前に他界したので、亡くなる前のJørgenの葛藤が凄く理解出来ました。Madsは主役なのに演技は食われちゃってましたね。(笑)
私はMadsの大ファンですが、ここ最近は似たような役が続いているので"Casino Royale"の悪役は嬉しかったです。Madsってデンマークが大好きなので、世界に出る気はないんですよ。典型的デン人なので家族が大切なようです。
現在Viggo Mortenseの"Eastern Promises"が来ているのに私の住む街には来てなくて(泣)"Sicko"を観に行こうかな?と思っています。最新記事が"Sicko"だったので、観る前に読めなかったのでこちらにコメントしました。日本にいた時はかなり映画を観ていましたが、最近はほとんど行ってないので恋しいです。
by anthonberg (2007-10-06 17:18) 

naonao

>anthonbergさん、私のブログに寄っていただきありがとうございます。
デンマークにお住まいとは!日本人って本当に世界中に散らばっているのだなあともうびっくりです。
そちらでたくさんMadsの映画を観られていいですね。私は今回初めてデンマーク映画観たもので、感激してます。あとでそちらにもお邪魔させていただきますね!
by naonao (2007-10-06 23:18) 

たいちさん

大阪での試写会はなく、残念です。
by たいちさん (2007-10-07 11:46) 

naonao

>たいちさん、こちらにもありがとうございます。
大阪の試写なくて残念ですね。
by naonao (2007-10-08 11:25) 

バラサ☆バラサ

あらすじだけ読むとベタな作品かと思いましたが、ラース・フォン・トリアーの影響か、妙にリアルな雰囲気でした。

主役、イ・ビョンホンですか?どうも「純愛中毒」と「バンジージャンプする」の印象が強くて、奴が、まともな人間に見えんのです。
by バラサ☆バラサ (2007-12-21 02:34) 

naonao

>バラサ☆バラサさん、ありがとうございます。
ちょっと撮り方に特徴があり、良かったですね。
イビョンホンに似てると書いたのはちょっと無表情な感じが似てるなと思ったのです。顔のパーツなんかもよく似てると思いませんか!?
by naonao (2007-12-21 23:06) 

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