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シルク [イタリア映画]

今年初めての試写会は「シルク」。
一ツ橋ホールにて観てきました。

映画公式サイト:http://www.silk-movie.com/

この映画は日本・カナダ・イタリア合作映画で、原作は「海の上のピアニスト」を書いたアレッサンドロ・バリッコで、音楽は坂本龍一が担当。キーラ・ナイトレイや役所広司、中谷美紀が出演しています。「海の上のピアニスト」は結構好きな映画だったので、この映画も期待できそうと思って行きましたが、日本の女性の描き方にすごく違和感があり、その点でかなりがっかりした映画になりました。白人が描く日本人女性っていつまでこうなのかとかなり残念です。

マイケル・ピット演じるエルヴェが、キーラ・ナイトレイ演じるエレーヌと結婚し、蚕の事業を他の男たちと共同で行っていたのですが、蚕の疫病が発生したため、エルヴェが日本にその蚕の卵を求めて行くことになります。そして役所広司演じる村の権力者ハラ・ジュウベイの妻(新人の芦名早)と出会い、その彼女の怪しげな魅力に引き込まれていくというのが途中までの展開なのですが、その彼女の取った違和感ある行動というのが、

1・お茶を客であるエルヴェに出してから、その客が使った同じ湯のみを使い、自分もその客の目の前でお茶を飲む(こんなこと日本ではまずしないし、知らない世界の人が見たら日本ではこんな習慣があると思われるのではないか

2・客がいる前で、自分の夫の膝まくらで横になる。そして夫であるハラ・ジュウベイも自分の妻をなでている(日本では人前でいちゃいちゃする習慣なんて元々ないましてやこの時代になんてありえない

3・エルヴェが風呂に浸かっているとき、なぜか彼は目隠しして湯船に浸かり、下女らしき女たちがエルヴェの体を洗っていて、その後ハラ・ジュウベイの妻がやってきて怪しくエルヴェの腕に触り、手紙を渡していく(客が風呂に入っているところに女たちが自由に出入りするのが不可解

他にもエルヴェが3度目に日本に行ったときエルヴァを案内してくれた子供をハラ・ジュウベイが殺してしまうこと(いかに子供が罪を犯したとしても殺しはしないでしょう)や、このハラ・ジュウベイが何者なのか、なぜ村が焼き討ちのようなものにあったのか、すごくいろんなことが謎で、日本人なので余計にその日本で起きたことも気にかかり、これが世界で上映されるのは日本人としてかなり納得いかないと思いました。

2度までは成功していたエルヴェでしたが、3度目に日本に渡ったときに頼りにしていたハラ・ジュウベイから邪険に扱われ、蚕の卵もうまく運ぶことが出来ず、事業も失敗し、そのうち妻のエレーヌも病気になり亡くなってしまい、その後ハラ・ジュウベイの妻から郵便で送られてきたと思っていた日本語の手紙が、実は自分の妻エレーヌが中谷美紀演じるリオンに住んでる日本人女性にお願いして日本語にしてもらった手紙であることを知り、エレーヌがどれほど自分を愛してくれていたかを知る、というエンディングで、全体的には素敵な話でしたけれど・・・。

またもう少しこの映画のいい点を述べれば、主人公が西洋と日本を行ったり来たりするので、その対比みたいなものが面白かったし、映像自体は美しくちょっと官能的でした。それに役所広司の演技はいつものことながら素晴らしかった。欲を言えばもうちょっとスクリーンに出てて欲しかったけれど・・。リオンに住んでいる日本人女性を演じた中谷美紀も良かったです。

でもやはり残るのは、日本人のハラ・ジュウベイの妻には異議あり、ということ

「ラストサムライ」の時は、出演した渡辺謙や真田広之が「外人スタッフが思い込んでる間違った日本の部分を変えてもらうために、説明を何度も繰り返してして直してもらった」といったようなことをインタビューで言ってたと思うのですが、今回は近くにいる日本人の誰かが言ってくれなかったのかなあと残念。固定観念を変えるのはそうそうたやすくないけれど、外人のスタッフさん、そろそろ判って欲しいなあと思う映画でした。

SILK

SILK

  • アーティスト: ryuichi sakamoto, 坂本龍一
  • 出版社/メーカー: エイベックス・エンタテインメント
  • 発売日: 2007/12/12
  • メディア: CD
絹 (白水Uブックス 169 海外小説の誘惑)

絹 (白水Uブックス 169 海外小説の誘惑)

  • 作者: アレッサンドロ・バリッコ
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2007/12
  • メディア: 単行本

海の上のピアニスト

海の上のピアニスト

  • 出版社/メーカー: パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
  • 発売日: 2004/04/23
  • メディア: DVD

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コメント 8

kikuzou

なんか、あらぬ誤解を受けそうな日本描写ですね・・・
by kikuzou (2008-01-09 23:44) 

Morimo

「海の上のピアニスト」は、私も好きなのですが、この映画は見なくてもいいかなぁと。思ってしまいました。
by Morimo (2008-01-09 23:48) 

miffy

外国人の考える日本のイメージってまだまだ変なところがたくさんありますよね。
世界中に上映されるのだから誤解を受けそうな部分は良くして欲しいものです。
by miffy (2008-01-10 15:23) 

たいちさん

私も話題性として観たい映画の一本です。外国人が描く日本人の偏見は、どの映画を観ても感じますね。この映画は、酷そうですね。
by たいちさん (2008-01-10 23:25) 

いい映画のようですが、宣伝用のアートワークが平凡なので
スルーされそうなのが心配。坂本龍一のジャケの方が
艶っぽくて惹かれますね。それにしても、試写会よく当たりますね。
映画関係者なんですか???僕も宣伝部に出入りしてた時は
ほとんどただで観てたけど、いまとなってはうらやましい・・・(笑)
by (2008-01-11 16:55) 

naonao

>kikuzouさん、いつもありがとうございます。
変な誤解を生むような映画は困りますよね。

>Morimoさん、いつもありがとうございます。
たぶん原作は素敵だと思うのですが、日本の描写がいただけません。問題はそこですね。他はいいですよ。

>miffyさん、いつもありがとうございます。
本当映画ってすごく力があると思うのでだからこそ、誤解のないよう作って欲しいですよね。

>たいちさん、いつもありがとうございます。
ネットの普及とか人々がこれだけ行き来しても尚、こんなに間違った日本が描かれてるって事にちょっとショックな映画ですけど、日本人がたくさん観て逆に間違ってる、違和感あるから作り直せ!みたいな運動が起きたらおもしろいなあと思います。

>コールドターキーさん、いつもありがとうございます。
全然私は映画関係者でないです。試写会たくさん行ってるのは運がいいこと!?と運のいい友だち(私を誘ってくれる友だち)を持っているからでしょうか!?その分たくさんネットで応募もしてますけどね。試写会当たっても何かの事情で行けなくなるのは簡単なので、今の状態(ちゃんと観に行ける状態)はすごくありがたいと思ってます。今はネットで簡単に試写会応募できるのでコールドターキーさんも申し込まれるといいですよ!Good luck!

>toshiさん、いつもnice!ありがとうございます。
by naonao (2008-01-11 22:08) 

Zunko

う~む。。日本のカルチャーを外国人から見たらこうなる、なのでしょうか。それにしても日本も参加しての映画造りなのに、どうしてこうなったのかな。。あのハリウッド的、さゆり、でも、放映される前に、日本人、日系人を試写会に招待して、日本語の使い方とかを確認した、と聞いてますから。。
そういう意味では、製作側の調査不足の様な気もしますね。。
by Zunko (2008-01-19 17:58) 

naonao

>Zunkoさん、いつもありがとうございます。
ある評では「日本の様子や日本女性などの描き方には違和感があったけれど、幻想的な感じがこの映画にぴったりだった」とありました。確かに幻想的でまるで夢を見てるような感じの映画だったのでそれを出すことでは成功していたと思います。日本人でなければ何とも思わずに素直にこの映画を受け入れられるのでしょうけど、やはり日本人なのでちゃんと作って欲しいという気持ちのほうが強いですね。さゆりのときみたいにもっと事前に日系人にでも見てもらって直して欲しかったですね。
by naonao (2008-01-20 22:14) 

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