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ディファイアンス [アメリカ映画 ドラマ]

「ディファイアンス」を有楽町朝日ホールで観てきました。

映画公式サイト:http://defiance-movie.jp/

上映前に山本モナが登場。戦時中にリトアニアの日本領事代理として6000人のユダヤ人にビザを発給し命を救った「日本のシンドラー」と言われている杉原千畝さんの息子さん、杉原千暁さんとのトークショーが約20分ほど行われました。

注目されるのは司会ぶりよりも恋愛沙汰(←eiga.comより拝借)

当時杉原さんは「3歳だったので全く当時の記憶がない」とのことだったのですが、「あとからその事実を知ったけれど、当然のことをしたのでしょうね」と言っていました。杉原さんたちがリトアニアから引き上げる時にもまだまだユダヤ人のビザ発行は続き、列車の中でもその作業をぎりぎりまでしていたとのこと。当時ビザは一人ひとり面接をして手書きで発行していて、大変な作業であったと言われています。
今回杉原さんがゲストで呼ばれお話を聞けたのはとても有意義で、まさにこの映画にはピッタリのゲストでした。かつて映画とゲストがこれほどマッチした時はなかったのではないかなと思います。というのもこの映画「ディファイアンス」は、ナチスドイツの政権下に多くのユダヤ人の命を救ったビエルスキ兄弟の話であり、「シンドラーはもうひとりいた・・・」という映画のキャッチフレーズでもわかるように、映画も杉原さんのお父様も戦時下オスカー・シンドラーのような行動を取った人たちだったからです。

007シリーズで新ボンドとなったダニエル・クレイグが主演。監督は「ラストサムライ」のエドワード・ズウィック。「ディファイアンス」とは「抵抗」のこと。両親を殺された4人兄弟のユダヤ人、ビエルスキ兄弟が中心となり(途中1人は亡くなってしまいます)、ユダヤ人狩が始まった1941年から多くのユダヤ人を助け、共同体を作ってベラルーシの森で生き延びた真実の物語です。このビエルスキ兄弟たちは戦後、上の2人の兄たちが生き延びイスラエルからニューヨークに渡って生活していたようですが、1200人ものユダヤの人たちを救ったその事実をほとんど自ら語らず、その事実は助けられた多くのユダヤ人たちによって明らかにされ、最近になって本が出て映画化されたようです。

ビエルスキ兄弟は両親を殺され、復讐の気持ちを抱えながらも身の危険を感じてポーランドの隣接するベラルーシの森に隠れ住みます。そのうち次から次へとユダヤ人たちが助けを求め集まってくるようになります。初めは町の協力者によって食料や銃をもらえていたのですが、ナチスに知られその協力者は銃殺。そのうちナチスに食料を納めにいく農夫から食料を略奪し、その農夫によって密告されることになります。何度も何度もナチスに追われ、森を追われ、銃撃戦となり、人が死に、それでも何度も家を作り、食料を調達し、生き抜こうとします。ソ連赤軍から突然取り囲まれることもありヒヤッとしますが、ソ連赤軍から援助を受けるようになります。自らビエルスキ・パルチザンと名乗り、ゲットーからユダヤ人を助け出したり、またチフスの流行を抑えるためにインシュリンを盗みに街中に出たりもします。

銃撃戦の連続。空爆で逃げ惑う人々。ナチスに追われながら、大きな川をお年寄りや病人や女子供を抱えながら大人数で無事渡ったかと思いきや、今度は戦車でナチスが現れ、銃撃してくる。食料がないために何日も空腹で少量の食べ物を分けるときに時には奪い合いになり、力のある大男だけが独占して食べつくす。それをまた銃殺したり・・・・と、目の覆いたくなる心の張り裂けるシーンがたくさんありました。でもこれが事実で、いかに戦争が酷く、ユダヤ人ということだけで差別することが虚しく、残酷であることかが痛いほど迫ってきます。

先日映画「オーストラリア」を観たばかりですが、「オーストラリア」の中でもダーウィンでは街中のバーで黒人は入店禁止、女性も入店禁止でした。そしてナラというアボロジニと白人のハーフの男の子はアボロジニでもなく白人でもないことに悩み、そして周りからは「クリーム色」とバカにされているのでした。どんなことがあっても差別はいけない、そう強く思いました。「戦場のピアニスト」「シンドラーのリスト」も素晴らしいですが、この「ディファイアンス」も素晴らしく、いろいろ考えさせられる映画です。お勧めです。

ディファイアンス

ディファイアンス

  • アーティスト: サントラ
  • 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
  • 発売日: 2009/02/04
  • メディア: CD

ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟

ディファイアンス ヒトラーと闘った3兄弟

  • 作者: ネハマ テック
  • 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
  • 発売日: 2009/01/24
  • メディア: ハードカバー

ビエルスキ・ブラザーズ―無名の三兄弟が演じた奇跡のユダヤ人救出劇

ビエルスキ・ブラザーズ―無名の三兄弟が演じた奇跡のユダヤ人救出劇

  • 作者: ピーター ダフィ
  • 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
  • 発売日: 2005/03
  • メディア: 単行本

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コメント 7

duke

ユダヤ系の話は見ていて苦しくなりますね、でも伝えていくべきですね。
by duke (2009-02-06 23:01) 

nomame

テーマは重そうですが、
監督・主演も気になりますし、naonaoさんのお薦めですからね。
公開されたら是非観にいきたいです。
by nomame (2009-02-07 12:18) 

Betty

この映画も観たいです。
命を賭けて人が人を助ける現実は平和な時代だからこそ考えたいです。
by Betty (2009-02-07 15:19) 

Zunko

Naonaoさん、この映画見られたのですね、いいなあ~(その3・笑)

この映画は、今見たい映画筆頭です。。トムクルーズの、ワルキューレを見たいと思いながら、もたもたしているうち、こちらが始まってしまい。。こちらの方が見たい、と思いました。きっと、他のナチス・ユダヤ人映画同様、直視できない部分があるのだろうと思いますが、見て、伝えて行かないといけないと思います。。このビエルスキ兄弟は、きっとワシントンDCのホロコーストミュージアムにも名前を連ねているのかな。。

杉原千畝さんの息子さんが出てきたのは凄いですね。。

なのに何故、山本モナ、なんですかね? 私は、個人的には、余りあの方は好きではありません。なんていうか、あの不倫騒動を知るにとても自己打算的な方なのではないか、と言う印象をうけましたので。。この様な映画には余り向いている方とは思えません。それがちょっと残念かな。。。
by Zunko (2009-02-07 18:42) 

naonao

>dukeさん、ありがとうございます。
本当、胸が苦しく観てるだけでつらいですね。でもこういう人たちがいたことは勇気を与えてくれます。

>nomameさん、ありがとうございます。
テーマは重いも重い!でも知らないといけないこと、学ぶことがこうい映画にはたくさんありますね。

>Bettyさん、ありがとうございます。
この映画を観ていろいろ考える契機になると思います。

>Zunkoさん、ありがとうございます。
ワルキューレは日本では3月末から公開のようです。この映画は今月14日からで、一足早いですね。Zunkoさんの仰るワシントンDCのホロコーストミュージアムには行ってみたいです。私もナチスドイツのユダヤ人関係のことってちょっと避けてきた部分があり、いくらでも旅行できる時に、アウシュビッツは避けてしまいました。でもやはりいつかはちゃんと見ないといけないですね。
山本モナに関しては、インタビュアとしての彼女の仕事は下手な映画評論家やアナウンサーよりも断然うまいと思いました。まさにプロでした。私的なことでは本当に残念で才能があるのにもったいないなあと思いますね。

>nice!をくださった皆様、ありがとうございます。
by naonao (2009-02-08 10:59) 

たいちさん

よいゲストの試写会でしたね。私はダニエルのファン(007)ですので、試写会に応募しています。当たる事を祈っていますね。
by たいちさん (2009-02-08 22:06) 

naonao

>たいちさん、ありがとうございます。
イギリスで最近調査した結果では「アクションスターで誰が一番格好いいか?」で見事ダニエル・クレイグが1位に輝いたそうです。007が始まったころには散々の言われようだったのに(「猿みたい」とか「格好悪い」とか・・・)今は最高に格好いいと賞賛されてるのがすごいですね。私も結構彼は好きです。
by naonao (2009-02-09 22:36) 

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