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老人と海 [ドキュメンタリー]

「老人と海」を汐留FSにて観て来ました。この映画は2週間くらい前に観たのですが、既に先月末から劇場で公開してます。

老人と海 ディレクターズ・カット版の画像1

映画公式サイト:http://www.rojintoumi.asia/

82歳の老人が一人で小さな舟に乗り込み、一本釣りでカジキを挙げるドキュメンタリーです。与那国というもうほとんど台湾に近いこの小さな島の美しい海で、長い不漁に遇いながらも、たくましく生きる様を坦々と描いています。漁がうまく行かない時には、キンキのような魚をたくさん釣った別の漁師がこのおじいさんに魚を分けてくれたり、ハーリー祭というハレの祭りではあっという間に静かな漁村が活気付き、また村人と一緒に酒を飲み陽気になって歌い踊りだしたり、漁をする舟を丹念に磨き、舟の神さまに酒を捧げ、その影でおじいさんの奥さんであるおばあさんがおじいさんの漁の無事を祈り・・・・と、老人の日常や村の様子を追いながら、この映画は5年の歳月をかけてやっと完成しました。

老人と海 ディレクターズ・カット版の画像2

「老人と海」というとヘミングウェイの小説を思い出しますが、この映画を作ったプロデューサーはたまたま「与那国でカジキを一本釣りしている海人がいる」という話を聞き、ヘミングウェイの「老人と海」の舞台となったキューバ・ハバナがちょうど与那国と同じ緯度であり、同じような海流のもとにあることに気付き、ヘミングウェイの世界が与那国にもあるのではないかと思い、実際に与那国に行ってそのモデルとなるような海人を探したといいます。

そしてこの糸数さんというおじいさんに白羽の矢がたち、この映画が作られることになるのです。この映画に出ているおじいさんは沢木耕太郎のルポルタージュ集『人の砂漠』(新潮文庫刊)の中の1篇「視えない共和国」に出てくるおじいさんでもあるらしく、沢木耕太郎のこのルポも読んでみたいなあと思いました。

この映画は長い時間かけて完成したこともあり、このおじいさんは既に亡くなっています。いつものように漁に出かけ海から還らぬ人となってしまったのです。

おじいさんのシンプルで力強い生き方は素晴らしい。そして与那国の人たちがしゃべる言葉はまるで外国語で、与那国は異国のようでした。いつか行ってみたいです、与那国。

老人と海 [VHS]

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  • 出版社/メーカー: アポロン
  • メディア: VHS
老人と海 与那国島―本橋成一写真録

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  • 作者: 本橋 成一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1990/08
  • メディア: 単行本
老人と海 (新潮文庫)

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  • 作者: ヘミングウェイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: ペーパーバック
老人と海 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD

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コメント 5

桔梗之介

この作品ずいぶん昔、1990年ごろに見ましたよ。ディレクターズカットで上映されてるんですね。
映画を見てまもない頃に、おじいさんが亡くなった話を耳にしたのを覚えてます。
by 桔梗之介 (2010-08-08 16:59) 

nomame

てっきりヘミングウェイかと・・・・。
遠い離島に、我々の知らない逞しい生き方があるんですね。
by nomame (2010-08-09 12:40) 

たいちさん

素朴な映像ほど感銘を与えるものですね。私もヘミングウェイを思い出しましたね。おじいさんの冥福をお祈りします。
by たいちさん (2010-08-09 18:29) 

りゅう

むか~し、テレビで外国映画版「老人と海」を見た記憶があります。
でも、見たってことしか覚えていません。。。(^_^;)
同じ緯度で同じような海流、凄いひらめきですよね。
しかも、実際に同じような生活をしている人までいたなんて。
外国映画版、与那国版、両方見てみたいです。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
by りゅう (2010-08-12 06:24) 

naonao

>nice!をくださった皆様、ありがとうございます。

>桔梗之介様、ありがとうございます。
1990年に1度公開されてる映画ですが、全く古い感じがしませんでした。おじいさんもその公開に合わせる様に亡くなったようですね。今公開されることにまた何か意義みたいなものがある気がします。

>nomameさん、ありがとうございます。
本当にたくましいです。現代人が忘れてる生き方で、胸打ちますね。

>たいちさん、ありがとうございます。
ドキュメンタリー映画はあまり得意でないのですが、この映画はすごく気に入りました。

>りゅうさん、ありがとうございます。
私もヘミングウェイの小説は読んでますが、小説自体もかなり忘れてます。またこのDVD観てないので観てみたいと思ってます。
by naonao (2010-08-14 11:16) 

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