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カラマーゾフの兄弟 [日本ドラマ]

「泣くな、はらちゃん」と同時期に観ていたのが「カラマーゾフの兄弟」でした。ロシア文学は全くと言っていいほど手を付けたことがなく、ストーリーも何も全く知らないので、新聞のコメントに「カラマーゾフの兄弟を知らない人はドラマでどんな話かを知ってても毒にならないでしょう・・・」みたいなことを見つけて、確かにな、と思い観始めたドラマでした。

ドラマ公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/brothers_karamazov/index.html

家庭がめちゃくちゃな家に生まれた3兄弟。そのメチャクチャにしてる元というのがその家の父親で、大変な財産家であるものの、女性関係が酷いのです。夜な夜な女性を侍らせどんちゃん騒ぎするような父親。長男と二男、三男は一番上の子供のみ先妻の子、あとの二人は後妻の子で、小さなときにとてもかわいがってくれた今は亡き母親(後妻)を良く思い出してます。それぞれに確執もあるようですが、父親に育児放棄された三人の子供たちは結束も強く仲も良い。今は一人の女性を巡って長男と父親が争い、また次男が好きな女性は長男が好きという三角関係です。そんな中、父親が誰かに殺されるのです。父親を殺したのは誰なのか。長男か、次男か、三男か。あるいは使用人か。毎回回を追うごとにそれぞれの人間にスポットをあて、その人物がどんな人物なのか明らかにされていきます。長男役の斉藤工、次男役の市原隼人、三男役の林遣都、父親役の吉田鋼太郎、刑事役の滝藤賢一がそれぞれに素晴らしい演技を見せてました。ドラマの途中に放送されてたバカリズムのCMも面白く、刑事役の滝藤氏が車に乗り込んでドラマの延長で演技し、音楽もドラマの音楽を使っていてなかなか良かったです。気が利いてました。

テーマが父親殺しを探すというものなので、「泣くな、はらちゃん」のようなほんわり気分は味わってはいられません。でも観始めると誰が犯人なのかも知らなかったので、結構面白く観ることができました。役者さんたちの演技が冴え、良かった!!

カラマーゾフの兄弟 DVD-BOX

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: DVD




またこのドラマを観終わってから原作を読みました。

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫
カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/11/09
  • メディア: 文庫
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/02/08
  • メディア: 文庫

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/07/12
  • メディア: 文庫
カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ドストエフスキー
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/07/12
  • メディア: 文庫
ふ~。すごい長編でした。
実は途中までiPod touchの青空文庫を使って訳の古い「カラマーゾフの兄弟」を読んでいたのですが、亀山氏の訳の「カラマーゾフ~」がいいと知り読み直しました。確かに訳が違うとこうも違いわかりやすいのかと目からうろこでした。訳者の亀山氏自身が序文や後書き解説をつけ、文中には段落や見出し、たくさんの愛称がある登場人物を同じ相性で統一、文章にリズムがあり読んでて心地いい文章になっていました。こうなると物語に没頭でき面白く読めます。しかも最後の5エピローグ別巻ではドストエフスキーの生涯や解題「父を殺したのは誰か」を書き、実にこの作品をいろんな切り口から説明してくれてます。ドストエフスキーの生涯がこの「カラマーゾフ~」と関わっている点も大変興味深かったです。最後の5エピローグ別巻を読み終わった瞬間にまた「カラマーゾフ~」を読みたいという不思議な衝動に駆られました。
原作にはさすがにドラマでは表現できなかった宗教や思想などの重たいテーマもありましたが、おおすじではドラマは結構短い枠の中で良く表現されてたと思います。またこのドラマを機に原作を読めて本当に良かったなあと思います。「カラマーゾフ~」は東大生に読ませたい本のナンバーワンでもあるらしく、またその直後パウロ・コエーリョの「ヴァルキーズ」を読んだら「カラマーゾフ~」からの引用もあり、何だかちょっとしたシンクロがあり楽しかったです。
ドストエフスキーが亡くなってしまったことで構想されてた第2部ができず、第1部で幕切れとなりましたが、大江健三郎とか村上春樹とか金原ひとみとか、この「カラマーゾフ~」が好きな作家がこの続きを想像して書いてくれないものかなあと思います。この作品は多くの作家に影響を与えていて、その理由がとても良くわかる気がしました。
おまけ:

見知らぬ乗客 [DVD]

見知らぬ乗客 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
  • メディア: DVD
本の中で亀山氏が紹介していた「見知らぬ乗客」↑。この映画はヒッチコック映画で「カラマーゾフの兄弟」をなぞるチャンドラー脚本によるものだと。観てみたいです。他にもたくさんの「カラマーゾフ~」のDVDが出てます。
ラジオ版学問ノススメで亀山氏の話が聞けます↓
亀山氏の「カラマーゾフ~」に関する著書↓。

『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)

『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する (光文社新書)

  • 作者: 亀山 郁夫
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 新書



新訳『カラマーゾフの兄弟』を読む―「父殺し」の深層 (NHKシリーズ NHKカルチャーアワー・文学の世界)

新訳『カラマーゾフの兄弟』を読む―「父殺し」の深層 (NHKシリーズ NHKカルチャーアワー・文学の世界)

  • 作者: 亀山 郁夫
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: ムック


また他の著者の「カラマーゾフ~」を題材にした本↓。

謎とき『カラマーゾフの兄弟』 (新潮選書)

謎とき『カラマーゾフの兄弟』 (新潮選書)

  • 作者: 江川 卓
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1991/06
  • メディア: 単行本

カラマーゾフの妹

カラマーゾフの妹

  • 作者: 高野 史緒
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/08/02
  • メディア: ハードカバー


これらをまた観たり読んだりして再度「カラマーゾフ~」を読み直したいです。


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コメント 2

たいちさん

ドストエフスキーの代表作ですね。テレビドラマは観ていませんが、学生時代に、彼の小説を読み漁ったことを思い出しますね。
by たいちさん (2013-05-05 10:43) 

naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございました。

>たいちさん、ありがとうございます。
たいちさんのブログアドレスがiwaskyとなってるのでもしやロシア文学好き!?、ロシアに関係してる!?と前から思っていました。やはり読んでましたね!
by naonao (2013-05-18 15:59) 

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