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くちびるに歌を [三木孝浩監督]

中野ZEROで「くちびるに歌を」を観てきました。

 くちびるに歌をのポスター

映画公式サイト:http://kuchibiru.jp/

アンジェラ・アキの「手紙~拝啓 十五の君へ~」をモチーフに書かれた中田永一のベストセラー小説の映画化。長崎県五島列島の中学校に新しく来た音楽教師と合唱部の子供たちとの交流を通じて、それぞれが抱える悩みがほわっと少し楽になり、お互いが一歩また前へ進む勇気をもらうヒューマンドラマ。監督は「陽だまりの彼女」の三木孝浩。

東京でピアニストとして活躍していた柏木(新垣結衣)は、友人(木村文乃)の産休で中学の音楽教師を引き受け長崎の五島列島に帰ってくる。そこで合唱部を引き受けることになるが、子供たちの興奮とは裏腹に柏木は全く子供たちに冷たい態度をとる。そして頑なにピアノを弾こうとしない。その理由は、ピアノの演奏会当日に付き合っていた彼が事故死しそのことを消化できずにいるからだった。

ある日、柏木は子供たちに合唱コンクールの課題曲「手紙 ~拝啓 十五歳の君へ~」の理解を深めるために”15年後の自分へ手紙を書く”という宿題を出す。すると、自閉症の兄を持つサトルは「まだ、兄ちゃんのそばにいますか?なぜなら僕はそのために生まれたからです」と書いているのを見つける。また自分が15歳のときに書いた文集に「私の夢はピアノで世界中の人を幸せにすることです。あなたのピアノは誰を幸せにしていますか?」と書いてあるのを見つけた…。

この映画、全く思いもしなかったのですが本当に泣けました。しかも3回くらいグッとくる箇所があり、その上とっても爽やかで心が揺さぶられる。人生の応援歌のような映画で素敵な映画を観たなあと思いました。早くも私の中では今年の映画のナンバー1だと思いました。考えてみれば、ガッキーの映画は「恋空」にしろ「ハナミズキ」にしろすごく泣けて(「トワイライト ささらさや」は私にとっては残念ながら今一つでしたが…)ガッキーの映画とは私自身結構相性がいいのかもしれません。しかもこの映画は去年観て大好きだった「陽だまりの彼女」を作った三木監督作品だし(もしかして三木監督作品とも相性がいいのかもしれません。他の映画もチェックしてみます)アンジェラ・アキの楽曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」を使っているところも本当に素晴らしく、長崎五島列島の美しさとも相まって言うことない映画でした。

お恥ずかしながらアンジェラ・アキのこの曲、よく知りませんでしたが、この曲を聴くとこの映画にとってもマッチしていたので泣けて泣けて仕方なかったです。

手紙~拝啓 十五の君へ~(2008年NHK全国合唱コンクール課題曲 作詞作曲:アンジェラ・アキ)

拝啓 この手紙 読んでいるあなたは

どこで何をしているのだろう

十五の僕には 誰にも話せない 悩みの種があるのです

未来の自分に 宛てて書く手紙なら

きっと素直に打ち明けられるだろう

今 負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな僕は

誰の言葉を信じて歩けばいいの?

ひとつしかない この胸が 何度もばらばらに割れて

苦しい中で 今を生きている 今を生きている

(抜粋)

去年、嵐の「ふるさと」が2013年のNHK全国合唱コンクール課題曲であり、松潤主演の「はじまりの歌」がこの歌をモチーフに作られたドラマであることを知りましたが、今回のこの映画もこれに似ていて、アンジェラ・アキの曲をモチーフに作られた映画でした。歌の世界観ぴったりの映画だったので、この歌が好きな人はきっとこの映画も好きになるでしょう。そういえば「ハナミズキ」も歌と映画がマッチしていた映画だったなあと思います。

柏木がピアノが弾けるようになって最初に弾いた曲はベートーヴェンの悲愴で、私にとってはビリージョエルのThis Nightなのですが、それだけでも懐かしくて嬉しくなりました。サトルの兄が自閉症で、「マラソン」のニノや、「風のガーデン」の神木隆之介くんや「ギルバート・グレイプ」のディカプリオの演技も一緒に思い出し、去年観たドラマや映画を中心にたくさんのつながりがあり、縁を感じる映画でした。

今、このタイミングでこの映画を観れたことにとっても感激しています。縁あるものにやはり出会えるのだなあと改めて思いました。映画の最後にサトルの自閉症の兄が幼いときに、ナズナの母とナズナと同じ教会に居合わせて、ナズナの母親がナズナに向かって「ここにいてくれてありがとう」といった言葉やドのシャープの音をピアノで弾いて「これは汽笛の出発の音。もう泣かないの、ナズナ。前進、前進」と何度も言っていて、それをしっかり覚えていたサトルの兄が、今は両親に育てられていないナズナが合唱コンクールに家族の誰も来ていないのが寂しくて汽笛の音をピアノ音で弾くと、反射的にナズナの母親と同じ言葉をナズナに無意識にしゃべっているのが、この映画のハイライトでした。こんないいタイミングで、いろんなことが繋がること=シンクロニシティこそ、人生で嬉しく感激することはありません。この映画の中でのシンクロニシティ、とっても素晴らしかったです。そして更に私にとってのシンクロ、意味ある偶然はこの映画をこのタイミングで観れたことでした。今観れたから感慨深いのです。感謝です。

またアンジェラ・アキさんのことは歌を含めてあまり知りませんでしたが、日本で歌手として夢を叶えたのに、グラミー賞を獲るという次の夢のために日本での活動を休止してアメリカに行ったというのを知り、とっても元気をもらいました。人生の応援歌であり、夢を諦めないことの大切さがこの爽やかなYoutubeの映像からも伝わってきます。


この映画に出会えて良かった。この映画を通じてアンジェラ・アキさんのこの歌に出会えて良かった。魂が喜ぶ映画で、公開はこれから1か月先ですが本当に皆さん、お勧めです。

追記:自分がもし15歳の時に自分に手紙を書き、それを大人になったときに読んだら一体どうだっただろうと、考えました。私は中学生の時から海外旅行をしたいと強烈に思っていたので、「たくさんの海外旅行をしていますか?あちこち飛び回っていますか?行きたい国に行っていますか?」と書いていただろうし、それは大人になって実際に実現させたのでそのことでは満足しているんだなと思いました。中学生のときにどんな夢を抱いていたのか、ちょっと振り返ってみるのも面白いかもしれません。また、貼り付けたYoutubeのようにこれから10年先の自分に手紙を書くのもいいでしょう。久々に自分に真摯に向き合う時間を持つのも素敵ですから。


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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2015-02-06 23:02) 

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