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命売ります つれづれノート28 火花 The Goldfinch [本]

ここ何か月かで読んでいた本です。

三島由紀夫の「命売ります」が重版を重ねヒットしていて、ちょっとした話題になっていたとのことで読んでみました。

命売ります (ちくま文庫)

命売ります (ちくま文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1998/02
  • メディア: 文庫

面白くて一気に読んでしまいました。ストーリーは自殺をし損ねた主人公がどうせ命なんて惜しくないんだからと「命売ります」と広告を出すのです。そこへいろんな人たちがやってきます。主人公は様々なことをしていくうちに命が惜しくなってきます…。人生は皮肉だし、人の心は移ろいやすい、これで絶対ということはないなあと思い知らされます。三島の文体はやはり好きだなあと思いました。そしてこんなハラハラドキドキの面白いものも書いていたとは知らず、新発見して嬉しくなりました。

三島作品は有名な「金閣寺」「仮面の告白」など何冊か読んでいますが、何といっても「豊穣の海」の長編小説が一番好きです。「春の海」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の4巻からなっていて輪廻転生を扱った大作。読んだ当時に私自身もインドやタイ旅行から戻ったばかりで、輪廻転生などの事柄を考えた時期でもあり、それがうまくオーバーラップしたので、余計に思い出深い本になりました。彼の文章は美しく、言葉使いが巧みで、本当にほれぼれしたのを覚えています。これを機会に彼の全集でも読んでみようかなあ…。三島作品の映画化もたくさんされているようで、「潮騒」と「春の海」は映画を観たことがあるのですが、ほかもいろいろチャレンジしてもいいかもなあと思いました。

運動の半年  つれづれノート (28) (角川文庫)

運動の半年  つれづれノート (28) (角川文庫)

  • 作者: 銀色 夏生
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/09/24
  • メディア: 文庫

つれづれノート28冊目です。銀色夏生の日々を綴る日記。2015年1月から6月の半年間の記録。

「博士と彼女のセオリー」「イミテーション・ゲーム」「マダム・イン・ニューヨーク」「複製された男」「裏切りのサーカス」「悪人」「天然コケッコー」「ヒューゴの不思議な発明」「シャーロック」など観ている映画やドラマが同じなのをまた発見。また「ゴーン・ガール」の原作は読んでないけど映画を観ていてストーリーを知っていたのも発見。以前も思ったけど、やはり縁あるものは繋がっているなあと思いました。

今回はジム通いの毎日とくまちゃんとのおつきあいのつれづれになっていて、体を鍛えるのはとってもいいことだなあと思ったし、クマちゃんと結婚の方向へと進んでいる感じがすごくよくわかりました。驚いたのは「ゴロウ・デラックス」のバラエティー番組に出演したらしく、この番組観たかったなあと思ったこと。気楽に読めてやはり楽しかった。

でも銀色さんはこのつれづれノートを別にすればもう仕事から引退をしたいみたいな発言をしていて、ああそうなのか、と思いました。私も今の仕事はもういいかなあ、と思っていてそういう時に来ているかなあと思っていたので。そういうところまでシンクロしているのは何だかすごいと思いました。

火花

火花

  • 作者: 又吉 直樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/03/11
  • メディア: 単行本

あまり読む気はなかったけれど、一応話題になったし、と思い読んでみました。漫才師らしく、漫才のネタのようなものがたくさん入っていて、そして最後の漫才ネタはちょっと涙をそそりました。ボブ・マレーの”Evreything is gonna be all right"というフレーズも最後は出てきて、熱海の花火大会から始まって、熱海の花火大会で終わるという結構いい仕掛けもありました。駆け出しの漫才師徳永が、その先輩の漫才師神谷を慕ってよく会うのですが、神谷の言葉が大阪弁なので理解しにくくそして結構理屈っぽいのが面倒くさくも感じたのですが、でもそれがなければ芥川賞はなかったのかもしれません。

The Goldfinch

The Goldfinch

  • 作者: Donna Tartt
  • 出版社/メーカー: Abacus
  • 発売日: 2014/06/05
  • メディア: ペーパーバック

村上春樹の「村上さんのところ」を読んでいたら、村上春樹が最近読んだ面白かった本としてドナ・タートの「ゴールドフィンチ」を挙げていたので、読んでみました。翻訳したものがないので、原書でチャレンジ。この本はピューリッツァー賞を獲っている800ページ近くものボリュームがある本でした。そのため結構時間がかかった。読むときは読むけど読まないときは全然読まないので。でも文体は読みやすく、期間が空いてもすんなり物語に戻れて良かった。細かい描写に知らない単語がたくさん出てくるので、時に知らない単語でも無視して、時に細かく引いて…とその時々の気分で読みました。

この物語は、絵を愛する母をニューヨークのメトロポリタン美術館で亡くした13歳の少年テオの物語です。ニューヨークを離れ疎遠だった父とそのガールフレンドとラスベガスで暮らすことになり、そこではロシア語を話すボリスと親友になったのもつかの間、その後ボリスが引っ越し、テオも父が事故で亡くなったためニューヨークに再度舞い戻ります。その後ボリスと再会。アムステルダムに移って…と物語が進行します。美術館で手に入れてしまったファブリティウスの「ゴールドフィンチ(ゴシキヒワという鳥)」の絵をずっと隠し持つことになり、ドラッグに手を染め、好きな女の子ピパとは違う別の女性と結婚をし、ずっと母親の死から立ち直れず、人生経験を重ねていくテオ…。幼い時に母を亡くしてしまうと、本当に立ち直れないくらい大変だろうなあと思いました。読んだ人たちはディケンズを思わせるストーリーだと評価も高く(オリバー・ツイストのことか!?)、映画化も予定されてるようなニュースもありました。

この絵を描いたファブリティウスがレンブラントの弟子であり、フェルメールの師であるというのですが、そのほかにもマネやルノワール、ピカソ、ミロ…などのたくさんの画家の名前が出たと思えば、源氏物語絵巻や平仮名、折り紙など日本に関する言葉、チベット僧やビリージョエルを思い出させる言葉まで出てきて、自分にとってはやはり縁ある本だなあと思ったのでした。タイトルになったこの絵自体をメトロポリタン美術館で観たという記憶は全くないのですが、またメトロポリタンに行く機会があればじっくり観てきたいと思いました。読めて良かったです。


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コメント 3

たいちさん

「火花」は図書館に予約しています。200人以上の待ちですので、何年先か分かりませんね(笑)!
by たいちさん (2016-01-25 12:33) 

ぼんぼちぼちぼち

「命売ります」 まだ読んでないので読んでみたいでやすo(◎o◎)o
あっしが今までに読んだ三島作品の中では、「近代能楽集」が特に印象に残ってやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2016-01-25 19:19) 

naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。

>たいちさん、ありがとうございます。
200人待ちとはすごいですね!
私も最近大抵は図書館で済ませてしまいますが、図書カードをいただいたので買って読んでみました。文章力あって素晴らしいのですが、たぶん私はこの先又吉作品は読まないかなあ~(笑い)好みの問題ですね。

>ぼんぼちぼちぼちさん、ありがとうございます。
お勧めの「近代能楽集」私も読んでみます!

by naonao (2016-01-29 23:40) 

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