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リリーのすべて [Eddie Redmayneエディ・レッドメイン]

「リリーのすべて」を観ました。

ポスター画像

映画公式サイト:http://lili-movie.jp/

トム・フーパー監督作品。エディ・レッドメイン主演。アリシア・ヴィキャンデルはアカデミー賞助演女優賞を受賞。性同一性障害に苦しみ、世界で初めて性別適合手術を受けたリリー・エルベの実話を描いた伝記ドラマ。1920年代デンマーク、コペンハーゲンで暮らしていた風景画家のアイナー(エディ・レッドメイン)はその妻で肖像画家のゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)に頼まれ、女性モデルの代役を引き受けることに。そこからアイナーは自分の内にある女性性に気づき、アイナーからリリーとして過ごすことが多くなると、世界で初めての性別適合手術を2回受けることを決心する…。

エディ・レッドメイン主演なので観なくては!と思って観てきました。エディの性同一性障害に悩むその姿に胸が張り裂けそうでした。そしてずっーと息苦しかった。やっぱりエディ・レッドメインはうまいと思いました。女性の繊細な動きやその表情など良くとらえていると思いました。そして彼を支える妻役のアリシア・ヴィキャンデルがまたうまかった。奔放で大胆で明るくて気丈ではあったかもしれないけれど、彼女の立場(自分の夫が女性になることを希望していてそれを応援するという立場)を考えたらこちらもまた胸が痛みました。夫がどんどん女性になっていくとき(特に夫アイリーが自分が着ていた下着を褒め、それをその後着けてみたいと言って実際に身に着けていたのを目撃したときのショックといったらなかったと思うし、ゲーム感覚で女装させた夫がパーティで男性とキスしているところを目撃するなんてショックすぎです)、それを受け止められないでいる彼女の表情、戸惑いぶりが忘れられません。そして最後はそれを受け入れ応援する…。大きな愛を感じました。エディはインタビューでこの「リリーのすべて」は「愛を謳っている」と言っていましたが、本当にこの映画は全編愛がぎっしり詰まっていました。男女の性を越えた大きな愛そのものです。

また去年エディがアカデミー賞主演男優賞を獲った「博士と彼女のセオリー」の時も思ったことだけれど、主役のホーキング博士よりも一緒にいるその妻のほうが何倍も大変だし、その愛は強いんだろうなあということです。この「リリーのすべて」もこの映画の主役アイナー(リリー)よりも何倍もゲルダのほうが大変で愛もまた大きいのだろうなと。その愛の大きさに圧倒され続けました。

それにしてもこの時代の性同一性障害者はほとんど精神病者扱いで、治療も放射線治療でたくさんの放射線を浴びせたりして本当に酷かったと思います。初めてのオペに臨んだリリーは、一回目のオペはうまくいっても二回目のオペは失敗に終わります。命をかけてオペして女性になりたかったリリー。切なかったです。そしてそれを見守るゲルダはもっと切なく悲しい…。

この映画はデンマークのコペンハーゲン、そしてフランスのパリ、ドイツのドレスデンを舞台にしており、街並みが素敵でした。特にコペンハーゲンの川沿いの魚市場や黄色の家が並んだストリートなど印象に残りました。そしてゲルダとリリーが住んで使ってるアトリエや芸術家が集まる華やかなパーティー会場、パリに住んだときの部屋や絵画サロンなども。そして何といってもこの時代の衣装。彼らが身に着けていた服はどれもこれもオシャレ。2人とも画家なので絵もたくさん出てきますが、映画全部がまるで絵画を鑑賞しているようでした。格調高く、洗練されていて、上品で。芸術面だけでも抜きんでていて、どのシーンも絵になるような映画はそれだけでも観るに値するのに、その上この映画はキャストも、ストーリーも揃っていたのですから、本当に素晴らしいの一言に尽きる映画で大満足の映画でした( 考えたら監督も俳優も皆、アカデミー賞を受賞している人たちだらけ)

エディが気になり去年のアカデミー賞授賞式直後からすぐにエディがこの映画の撮影に入ったと、ファンブログで知って(コペンハーゲンの街並みやエディのリリー役の様子など写真もたくさん見ていました)それ以来ずっと彼の動きを追っていたので、この映画にはとても思い入れがありました。映画を観ていて、このシーンもこのシーンもファンの人のブログで見てたけど、ここで使ってたのね、と思ったりしました。

スウェーデン人のアリシア・ヴィキャンデル。これから注目すべき若手女優さんの一人だなあと思いました。本当に実力派女優さんという感じです。アカデミー賞助演女優賞を獲った晩、彼女はスウェーデン国王から直々にお祝いの電話を受けていたことをエディがインタビューで明かしていたので、スウェーデンでは今や国民的女優さんなんだろうなと思います。ハリウッド映画にもこれからどんどん出るのでしょう。

またリリーにキスをしたヘンリク役のベン・ウィショーはエディ・レッドメインが好きな俳優さんに名前を挙げている同世代の俳優さんですが、「パフューム ある人殺しの物語」を前に観ていたので覚えていました。でも今は役の中と同じように実生活でも同性愛者で同性婚していて、双子でもあると知ったのでびっくりです。

追記:IMDb評価は7・1です。 


おまけ: 

デンマーク・コペンハーゲンにあるアーケン美術館で2015年11月7日から2016年5月16日まで行われているGerda Weger展のサイト↓

http://uk.arken.dk/exhibition/gerda_wegener/

ゲルダが描いたリリーの絵やゲルダとリリー(アイナー)と共に映った写真も載っています。

アーケン美術館のゲルダのカタログの一部↓

https://issuu.com/arken_museum/docs/kataloguddrag_til_web_uk/1?e=5419715/31841860

このカタログにはゲルダの絵が更に数点、ゲルダの写真、リリーの写真も載っています。そしてその絵や時代の解説が読めます。ゲルダは55歳で死亡、アイナー(リリー)がオペの翌年49歳で死亡。ゲルダはパリで実力を認められ、アイナー(リリー)と共に20年もパリで生活をしたこと、1925年のパリ万博の時に2つも金賞を受賞したこと、ゲルダはアイナー(リリー)が亡くなった後イタリア人と再婚し離婚するまでモロッコに住んでいたこと、ゲルダの絵はルーブル美術館とポンピドーセンターでしか買い取ってもらえず、デンマークでの買取は彼女の生存中には行われなかったこと、今はデンマーク国立美術館や王立図書館、デンマークデザイン美術館、ラドルフ・テグナー美術館、ティアター美術館などデンマーク国内にも作品があることなど、このカタログから知りました。 アーケン美術館でも何度かこれまでゲルダの展覧会が行われたようです。

コペンハーゲンに行ってみたい。またここにあるいろんな美術館にも行ってみたいです。

女流画家ゲアダ・ヴィーイナと「謎のモデル」 ~アール・デコのうもれた美女画~

女流画家ゲアダ・ヴィーイナと「謎のモデル」 ~アール・デコのうもれた美女画~

  • 作者: 荒俣 宏
  • 出版社/メーカー: 新書館
  • 発売日: 2016/03/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

この本↑気になるので、後で読みたいと思います。ゲルダは現地の言葉ではゲアダというらしい。謎のモデルとはもちろん、リリーのことです。


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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2016-04-16 21:41) 

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