私の名前は… [フランス映画]
今、アップルリンククラウドでフランス映画「私の名前は…」を5月17日まで無料配信しています。
またDVDも出ています。
ファッションデザイナーのアニエスベーが製作した2013年のロードムービーです。父親に性的虐待を受けていた少女が遠足で出かけた先でトラックに乗り込み家出をします。そのトラックの運転手、スコットランド人と言葉の壁がありながら心を通わせます。最後は警察に捕まり、スコットランド人のドライバーの突然の自殺、そして少女はカウンセリングを受け、成長して彼女が子供を授かっても父から受けた傷が癒えることがなく、誰にもそのことを言うことができずに今後も生きていくという場面で終わっています。
大好きなロードムービー。でも苦しかった。特に父親がろくでないので、この父を見ていて胸糞悪く、父親は結局何の裁きを受けることなくて、その代りに人の良いスコットランド人の命が奪われてしまい、ショッキングこの上なかったです。
あれこれ質問もせず自然に接してくれる気のいいドライバー、ピーター。彼は家族全員を亡くしていたのです。口が裂けても少女が実の父に手を出されてるなんてことを警察に言いたくなかったのだろうし、自分の人生に疲れて投げやりになっていたのかもしれません。
道の途中、森の中で白塗りのアジア人のダンスパフォーマンスを観たり、たき火をしていると見知らぬ旅人もやってきたり、二人一緒に写真を撮ったり、海岸で遊んだり、墓を見たり、公衆浴場に行ったり、カフェでお茶したり…。ルーティン化しているピーターの日常にも、家出してきた12歳の少女にとってもつかぬ間の幸せな風が吹いた時間だったように思います。
暗すぎてコロナの自粛にあまりいい映画ではない気がしますが、フランスの片田舎の風景を見ることができたのは楽しかったです。少し旅行した気分になれました。またフランスのお墓って初めて見ました。デザインが素敵でした。
皆旅に出たがりますが(映画の中でもカフェで働く女性が旅したいと話したり、カフェの客が実際にトラックに乗せてもらって少しの間一緒に旅します)、仕事で旅をしているピーターのような人にとってはそれが日常で、何ともないこと。逆にもうそんな生活に飽きが来ていたかもしれません。私も世界一周2年間をやったとき、当初の予定では特に年数を決めずに旅立ち3年くらいになるかもしれないと漠然と思っていました。でも長く旅をすれば旅は日常と化し、特別なものではなくなり、旅のストレスみたいなものも出てきて、最後は何を見ても感動しなくなり、そうなったらもう旅は潮時だと旅を終えました。そんなことを思い出しました。
人はないものねだりです。中庸、ほどほどが一番ですね。
>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2020-05-21 20:06)