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葬送 ドーン 決壊 [本]

平野啓一郎の「葬送」「ドーン」「決壊」を読みました。この1,2ヵ月で読んだ本です。


葬送 第一部(上) (新潮文庫)

葬送 第一部(上) (新潮文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/07/28
  • メディア: 文庫
葬送 第一部(下) (新潮文庫)

葬送 第一部(下) (新潮文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/07/28
  • メディア: 文庫
葬送 第二部(上) (新潮文庫)

葬送 第二部(上) (新潮文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/08/28
  • メディア: 文庫
葬送 第二部(下) (新潮文庫)

葬送 第二部(下) (新潮文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/08/28
  • メディア: 文庫

長編大作で読み応えがありました。作曲家ショパンと画家ドラクロアの半生を二人の交流を交えながら描き、ショパンはジョルジュ・サンドとその娘のソランジュの間に入って娘の結婚に苦悩し、またサンドと娘の仲の悪さに苦悩し、病弱な体を何とか持ちこたえています。パリでの演奏会、決定的なサンドとの別れ、イギリス、スコットランドでの無理を押しての演奏会、パリに戻って体は元に戻らず、そのまま帰らぬ人となります。絵画、文学、演劇、音楽、哲学、政治とたくさんのことが詰め込まれており、画家の名前だけでもルーベンスやプッサン、コンスタンブル、レンブラント、アングル、ダビット、ラファエロ、ゴヤ、ピサロ、ジュリコー…と出てきて、ドラクロアがルーベンスの絵を観ることにワクワクしてたり、アングルに批判的で、ジュリコーとも友達であったこと、また何よりショパンとドラクロアが親友であったというのも驚きで、それだけを知るだけでも楽しかったです。画家グロって!?と知らなかったので調べたりもしました。

ショパンとサンドのスペイン、マジョルカ島の愛の逃避行以降の、既に二人の愛が冷めてる頃から書かれてあり、たくさんの華やかないい時代を過ごしたと思うのですが、39歳で亡くなる最後のほうは、結核で体の調子が悪いばかりに、演奏会もできず、家庭教師もできず、そのため彼を一方的に熱愛するスターリング嬢の資金提供を受けざるを得ず、愛しいサンドにも死に際に会うことも叶わず、葬式のごたごたなど何だかとっても可愛そうなショパンの半生でした。

「日蝕」「一月物語」「葬送」の三冊は平野啓一郎の「ロマンティック三部作」と言われているそうです。確かにそれぞれがそれぞれに素敵な余韻を残してくれました。


「ドーン」

ドーン (講談社文庫)

ドーン (講談社文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/05/15
  • メディア: 文庫


Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞作品。医者を辞め宇宙飛行士となった明日人。宇宙船ドーンの中で、同じ宇宙飛行士のリリアンが妊娠し堕胎手術をしたことが明るみになり、その相手が明日人であり施術したのも明日人であったことが判明。そのためリリアンの過去が明るみにもなり、明日人も自分のことを振り返ることが必要になります…。


2033年という近未来の設定で、アフリカでマラリアを撲滅するためのニンジャという小型ロボットや「可塑整形」、「分人」、「ディビジュアル」などの独特な言葉が出てきて、アメリカの大統領選などをからませたSF小説でもあり、読みづらくて途中読むことに集中できずに、読むのを放棄しようかと思ったのですが、ラスト100ページくらいがとっても良くて、読み終わった後何だかとっても気分いいです。そこには人間がしっかり描かれていて夫婦の物語でもあったから。最後まで読むことがやはり大切だと思いました。読み切れて良かったです。


「決壊」

決壊(上) (新潮文庫)

決壊(上) (新潮文庫)

  • 作者: 啓一郎, 平野
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/05/28
  • メディア: 文庫


決壊(下) (新潮文庫)

決壊(下) (新潮文庫)

  • 作者: 啓一郎, 平野
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/05/28
  • メディア: 文庫

インターネットに自分の思いを綴っている良介。それに気づく妻の佳恵。見知らぬ第三者として佳恵は素知らぬ顔で、良介のブログのようなものに書きこみます。また良介の兄、崇もそこに書きこんでいます。バラバラの死体となって発見された良介が最後に会っていたのは崇であると、佳恵が証言することで崇が疑われます。取り調べがあり、マスコミやネットが騒ぎ、家族は壊れていきます。また別の事件が同時進行で起こります。中学生が同級生の裸の写真をネット上にばらまき、そして殺人事件を起こす。その後も連続して無差別テロ騒ぎが…。


結構重たかった。夫婦になっても妻に本音を話さずネット上に心の闇を吐露する良介。全く見知らぬ悪魔に夫を殺されて妻はどこがいけなかったのか、悩みます。独身貴族を謳歌して恋人が二人もいてエリートで何も不足ない崇は、最後は弟殺しの容疑が晴れても亡くなってしまいます。良介の父も。何だか救いがなかった。ここでも「分人」の考え方が出てきて、人は見せる顔をたくさん持っていて、会う人によって見せてる顔が違うということを書いています。読後感が良くなくて、ちょっと疲れる作品でした。

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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2020-10-09 19:19) 

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