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失われた旅を求めて、天気が良ければ訪ねて行きます、森におかえり、猫を棄てる [本]

最近まで読んでいた本です。

失われた旅を求めて

失われた旅を求めて

  • 出版社/メーカー: 旅行人
  • 発売日: 2020/04/15
  • メディア: 単行本
「ゴーゴーインド」とか「ゴーゴーアジア」などバックパッカーの楽しい本を出してきた著者の本。雑誌の「旅行人」も良く読んだなあと懐かしいです。旅行人から出てた「チベット」の本はインドの北のキンノール地方、タボ寺周辺を歩くときに買い今でもまだ手元にあり、いつかまたチベット文化圏を旅行する時に持ち歩きたいなあと思っています。
さて、この「失われた旅を求めて」この本はバックパッカーである著者のこの40年間を振り返り、中国、チベット、タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、インド、パキスタン、ネパール、イラン、シリア、イエメン、アルジェリア、サハラ、マリ、ケニア、ウガンダを写真と文章でまとめた本。私も1990年代中心にバックパッカーだったので私だったら30年前を振り返る感じですが、少し著者と重なって行ってる場所もあり(といっても5年から10年くらい行った時期が違います)懐かしい思いでこの本を読み、写真を眺めていました。似たような写真を私も撮っているし、当時はフィルムを日本から何十本も買い込んで、でも今のデジタルのようにバシャバシャと撮ることはできなかったし、フィルム現像もやってみるまでちゃんと写っているかわからなかった。著者もそんなことを書いてるけど本当にそうだったなあと。中国の外国人兌換券とか、列車の硬座とか、それを獲るのに大変な思いをすることとか。インドが今も大して変わらないと言ってるのが笑えるけど。「これまで訪れたところで最も衝撃的だったところはどこですか?と聞かれれば、僕は思わず1982年に初めて訪れたインドとその翌年に訪れた中国だと答えるだろう」と著者が書いていますが、私も「インド、中国の旅なくして世界旅行は語れない」と思っているし、旅先で会ったバックパッカーの誰もが口にする「インドと中国を旅行できれば世界どこでも旅行できますよ」という言葉を信じて疑わない。それくらい私もインドと中国は衝撃的な国でした。私は1990年に初インド、1991年に初中国でしたが。いい時代に旅ができたと今でも思いますが、著者も「1980年代から1990年代がバックパッカーにとって最も旅がしやすい時代だった」と言ってます。思わず大きく頷いてしまいました。幸せな時代、幸せな時間を過ごしたなあと感慨深いです。

天気が良ければ訪ねて行きます

天気が良ければ訪ねて行きます

  • 出版社/メーカー: アチーブメント出版
  • 発売日: 2020/12/28
  • メディア: 単行本

「天気が良ければ訪ねて行きます」韓国人の作家の小説を読むのは今回初めて。ソ・ガンジュンくんが出ている韓国ドラマ「天気が良ければ会いに行きます」を観たいと思い探したのですが、DVDの貸し出しも動画配信もされていず(8月から貸出されるとのニュースが後から飛び込んできました!)YouTubeで短いシーンをあれこれを観たり、観たという人のブログを読んでいました。どうやら静謐なスローテンポのヒーリングラブストーリーだということがわかり、動画からもその素敵な雰囲気が伝わってきました。また原作があることがわかり、原作も良かったという言葉も見つけたためトライしてみました。結果素敵なラブストーリーで、静かで美しくて優しい、心地いいもの。そんな感じの本でした。

ソウルで塾の美術講師をするヘウォンが冬故郷に戻ると、本屋を開いた同級生のウンソプと再会。飲んだくれの父を母が殺し母が服役し叔母を心の拠り所としていたへウォン。そしてウンソプは両親が亡くなり養父養母に育てられとそれぞれの事情を抱えて生きてきています。ウンソプはへウォンが初恋の人だったので良く彼女のことを記憶していますが、へウォンはウンソプのことをあまり記憶していません。ヘウォンの叔母の家が民宿をやりウンソプの本屋の近くにあり、ウンソプの本屋でアルバイトをすることになったへウォンは、ウンソプと毎日顔を見合わせるうちに彼に次第に惹かれていきます…。

ウンソプの書いている非公開の書店ブログに自分の本心を綴ったものが毎回登場するのですが、それが素敵でした。ウンソプの人柄の良さがとてもよく出ているようで。「北の国から」の純くんの本音を語った語りのような役割を果たしているように思いました。またゆっくりと時が流れて行くやはり倉本聰のドラマ「優しい時間」をも同時に思い出していて、本を読んで「天気が良ければ~」のドラマが観れる日が早く来ないかなあと思いました。書店日誌に毎回面白い新刊紹介を載せているのも面白くて、例えば世界中のシャンデリアを求めて旅をした人の話を載せた「私の美しきシャンデリア」~モリユウスケと紹介されていて、本当に読んでみたいと思いました。本を読んでる途中でアマゾンで探しましたが、見つかりませんでした。作者の後書きに作者本人がこんな本があったら楽しいと思ったものを書きましたとあり、笑えました。なるほど道理でないわけです。カジノを求めて世界のカジノ巡りをした浅田次郎の本を以前読んだことがありますが、シャンデリアを求めて世界中を廻る旅というのも面白そうなのに、と思いました。叔母の宿、ウンソプの本屋、読書会、イベント、田んぼのスケートリンク、山、森、森の木々、山小屋、雪。冬から春へと季節が移ろう中でゆっくりと優しく時が流れて、二人の恋が進んでいく物語。読んでるこちらも癒されました。

森におかえり―フー太郎物語

森におかえり―フー太郎物語

  • 出版社/メーカー: 自由国民社
  • 発売日: 1999/05/01
  • メディア: 大型本

アイルランド映画「フラワーショウ!」を観て知った日本人の新妻香織さんの存在。エチオピアで植林の活動をしている方です。この方の本が出ていたので読みました。「森にお帰り」は野生のフクロウのフー太郎の半生を描く絵本です。日本語と英語で書かれていました。フー太郎の語りで書かれています。戦乱、民族紛争、開発、生活のために森が失われる中フー太郎が生きる場所を失い、その後フミという日本人(新妻さん本人かと思われる)に出会って森に帰るまでを描いてます。実話らしいです。後書きには新妻さんがこの活動を始めた経緯が書かれてありました。NPOを立ち上げエチオピアのために働く新妻さん、格好いいです。

猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book)

猫を棄てる 父親について語るとき (文春e-book)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/04/23
  • メディア: Kindle版
2019年6月号に文藝春秋に掲載された「猫を棄てる~父親について語るとき」台湾出身のガオ・イェンさんのイラスト入りで一冊の本になり、村上春樹が自分の父親に関して語ってます。父と一緒に棄てに行った猫のこと、戦争と切り離しては語れない戦争と父親の人生を語っています。考えて見ればちょっとした偶然が色んなことを左右していく。この本を読んでいてそのことを強く意識させられました。著者がこの本で何度も「父の運命がほんの僅かでも違う経路を辿っていたなら、僕という人間はこの地上には存在しなかったわけなのだから」と語っています。本当に不思議。この世のすべては偶然の賜物だと改めて強く思いました。

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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2021-07-06 19:39) 

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