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ザッハトルテ [ドイツ映画]

ドイツ映画「ザッハトルテ」(Sachertorte)を観ました。

ザッハトルテ

ザッハトルテ

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2022/11/18
  • メディア: Prime Video

2023年の作品。IMDb評価は6・8。ラブロマンス。素敵で夢のあるラブロマンスでした。最後はとっても現実味のある結末もまたよし。気軽に観れて楽しかった。

ドイツ人のカールはベルリンの街中でニニというオーストリー人の旅行者に会う。意気投合しお互いに好意を持ち始めた時、別れの時間がやってくる。彼女の電話番号を携帯に入れてもらったが、かかって来た電話にすぐ出たため彼女の電話番号が消えてしまう。焦るカール。ニニが乗ったバス会社の運転手に連絡を取ってもらいバスの中で放送を入れてもらうが生憎彼女はヘッドフォンで耳がふさがれ車内放送を聞いていない。今度は駅に向かうも犬を連れた女性(ミリアム)のリードに絡まれ、時間を食い探せず仕舞い。そこでカールは決心する。ウィーンのホテル・ザッハーのカフェで向こう一年毎日3時に座って彼女を待ち続けることを。彼女が口にした「毎年誕生日の3時にカフェ・ザッハーでザッハトルテでお祝いしてもらう」ことを手掛かりに、彼女に会うためにウィーンに出かけるのでした…。

イーサン・ホークの「ビフォア・サンライズ」が大好きな主人公のカール。この映画の名前が何度も出てきます。「ビフォア・サンライズがザッハトルテを捜してる」「ビフォア・サンライズの人探し」など彼女にしかわからないタイトルをつけて車内放送したりSNSに載せてみたり。「ビフォア・サンライズ」、ロマンチックでいい映画だったことを思い出しました。またウィーンの街に路面電車が走っていたことも、映画「第三の男」で有名な観覧車があることも、マリー・テレジアが大好きな緑と黄色の色の街並みであることも(しかもカールとミリアムのコートの色がこの緑と黄色だったのが何とも粋だった)、ザッハトルテが堅めのケーキであったその味も、オペラ座でモーツアルトの演奏を聴きに行ったことも(映画ではオペラ「トスカ」を観に行っていました)オペラ座に足を運んでる人たちが素敵なドレスを着てみんなドレスアップして出かけていたのも思い出しました。

映画では100日間カフェに通ったあと、カールは本当に自分はニニが好きなのかどうかわからなくなります。単なる執着なのか何なのか。カフェに通ってザッハトルテを注文するのを止めよう決めたその最終日、ニニが現れます。カールにはウィーン滞在中毎日通ったミリアムの店もあり、ミリアムと恋仲になっていました。彼女がニニ探しを助けてくれ、店のWi-Fiに仕事でお世話になり、オペラを観に行ったり、観覧車に乗ったりしていたのです。カールはニニに会うと自分には好きな人ミリアムができたことを言い、ニニにも好きな人がいることがわかりそこでニニ探しに決着がつきます。現実はとっても現実的だったのが意外と良かったです。

そして本当に素敵だったのは、給仕してくれる女性が毎日通うカールに毎日毎日帰り際に必ず「明日は必ず(運命の彼女が)来ます」と希望を言ってくれていたことでした。こんな気遣いの給仕の人がいたら心潤うなあと。その彼女は「仕事を辞めた。世界旅行するのが昔からの夢だった。あなたのように私も夢を追うわ」と言っていたことも良かった。

ウィーンの街並みを思い出し、「ビフォア・サンライズ」の映画を思い出し、久々にウィンナーコーヒー飲みながらザッハトルテでも食べたくなるそんな映画でした。naonaoお勧め度★★★★

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善き人のためのソナタ [ドイツ映画]

ドイツ映画「善き人のためのソナタ」(The Lives of Others)を観ました。

善き人のためのソナタ [Blu-ray]

善き人のためのソナタ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2023/02/03
  • メディア: Blu-ray

2006年の作品。IMDb評価は8.4。アカデミー賞外国語映画賞受賞ほか多数。ベルリンの壁が崩壊する5年前の1984年の東ドイツでの監視社会を描く。アカデミー賞受賞当時観ようと思いながらずるずると、そのうち観るのを忘れていました。評判通りの素晴らしい映画でした。最後は胸がいっぱいでした。

脚本家として活躍するドライマンの家に盗聴器を仕掛け、盗聴するように命令された国家保安省のヴィスラー。もう一人の部下と組んで24時間体制での盗聴が始まる。ドライマンの恋人で舞台女優のクリスが彼の家に出入りし、時には権力を剥奪された仲間の脚本家イェルスカが誕生パーティーに来たり、西側の出版社と通じているジャーナリストも出入りしている。ヴィスラーは彼らの生活を盗聴しながらどんどん心を動かされ、最終的には反体制の厄介なことを聴いても黙認、無視し、報告書には何もなかったと報告していく。甥っ子のパウルを西側へ車に乗せで出すと仲間と話していたことも(実際にこの計画は成功)、「クラスメートに会いに行く」(西側への逃亡を意味)と言って出て行って戻ったクリスのことも(実はバーで偶然を装いファンだと名乗ってクリスに希望を与えて留まらせていたのもヴィスラーだった)、ドライマン自身が全ドイツに向けて書いた東ドイツの現状を書いたことも、新しいタイプライターを使って家に隠していることも(西側の雑誌に投稿しニュースとなる)ヴィスラーはその真相を上層部に報告しないでいる。しかし投稿したのはドライマンだと疑われ、家は家宅捜査に。クリスは違法薬物を使ったことで捕まり、そのタイプライターの在りか~ドライマンは床の下に隠しておいたが、白状しなければ女優業を剥奪すると脅され白状してしまう。しかしタイプライターは出てこなかった。なぜなら既にヴィスラーが取り出しておいたから。しかし罪の意識からクリスは車に飛び込み亡くなり、ヴィスラーは疑われ降格させられ窓際族となる…。

その後、ベルリンの壁が崩壊し、当時の盗聴の事実を知り記録を調べるドライマンは、盗聴者のお陰で自分が命拾いをしたことを知る。そして「善き人のためのソナタ」というタイトルの本を出版。それを見つけたヴィスラーは本屋でこの本を買おうとしたとき、店員に「包みますか」と聞かれ「これは私のための本だ」と言う…。

クリスが車に飛び込んだあたりからウルウルでした。自分がヴィクターの立場ならこんなことができるのか?考えてしまいました。良心に従って生きたヴィスラー。誇り高く美しい。この本はまさにヴィスラーのもの。神様からの贈り物のように思えました。この先にも幸あれと思わずにいられませんでした。壁が崩壊して本当に良かった。naonaoお勧め度★★★★★[王冠]

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グッドバイ、レーニン! [ドイツ映画]

ドイツ映画「グッドバイ、レーニン!」(Good Bye, Lenin!)を観ました。

グッバイ、レーニン! [DVD]

グッバイ、レーニン! [DVD]

  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: DVD
2004年の作品。IMDb評価は7・7。ドイツ本国で大ヒットし、ベルリン国際映画祭最優秀ヨーロッパ映画賞受賞などたくさんの賞を受賞。東西ドイツ統合の1989年前後の時代の悲喜こもごもをある家族を通して描く。良くまとまっていてストーリー性もあり面白かったです。ベルリンの壁が崩されたニュースをオーストラリアで観て、時代が変わっていくことを感じた当時を思い出していました。

東ドイツの東ベルリンで暮らす少年アレックスの家族。父は知らない女と西側へ行き戻ってこないと聞かされていた。母は熱烈に国の社会主義体制に協力していたが、アレックスは隠れて反体制デモに参加。それを観た母はショックで心臓発作を起こし倒れ昏睡状態となる。母が病院にいる間、ベルリンの壁は壊れ、国境はなきものとなり、西側のものが次々とやってきて、ファッション、車、食品、仕事、紙幣と何でも西側のものにとって代わっていった。そして母が国が変化したことを知らぬままに目を覚ます。医者はショックを与えたら母の命はないというので、アレックスは姉や姉の旦那と一緒に、部屋を昔のように戻し、服から食品からテレビ放送、誕生会など母の目にするものをすべて昔の東ドイツのものでやっていこうとするのだが…。

母は最終的に東ドイツが東ドイツのまま変わらないと信じて亡くなっていきます。東西ドイツ統合も知らずに。そして死に際に会いたいと望んだ元夫が実は女と西に行ったわけではなく、一足先に出かけ後は母が子供たちを連れて西側に行くだけだったことが明かされ、何か月もの間手紙を母のもとに送っていたことが明かされます。アレックスは母との思い出が東ドイツ時代のものであり、それを懐かしんでエンドロールとなります…。

ホーネッカー書記長、ゴルビー大統領、コール首相、ベッケンバウワー…とその当時の懐かしい顔ものぞかせ、レーニン像が撤去され、チェ・ゲバラの写真が母の部屋にはそのまま飾ってあったけれど、コカ・コーラが象徴的に西側のものが押し寄せてることを物語っていました。コカ・コーラ、どの国行っても入っていてすごいなあといつも旅行の時に思っていましたが、コカ・コーラが入っていない国を探す方が難しいのかもしれません。ベルリンの壁のニュースはオーストラリアで観ましたが、その後ルーマニアの大統領のチャウシェスクが処刑されたことをニュージーランドで知り、また1991年ソ連の大統領ゴルバチョフが軟禁されたことをチベットで聞いたことを思い出しました。東西冷戦時代が終焉に向かうだなんて何てすごい時代に突入しているんだと思ったことを思い出します。1991年に中国を廻っているときに会ったドイツ人と話したときに、「ドイツが併合されて喜んでいるのは年寄りだけで、若者は失業率が高くて困っている」と言っていたことや、1999年頃スペインに旅行した時元東ドイツ側の人という女性に会ったら「昔は東ドイツでは共同体で何でも協力して時間もたくさんあってのんびりしていたのに、今や人情味が無くなってみんな誰しも時間がない時間がないと言っている。昔のほうが良かったかもしれない。でも昔のままだったら私もこうしてスペインに旅行することもできなかったから統合されて良かったのかな」と話していたのを思い出しました。とても時代を感じて昔を色々思い出す映画でした。naonaoお勧め度★★★★★


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コリーニ事件 [ドイツ映画]

ドイツ映画「コリーニ事件」(The Collini Case)を観ました。

コリーニ事件 [DVD]

コリーニ事件 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2020/12/02
  • メディア: DVD

2019年の作品。IMDb評価は7・2。法廷サスペンス。フェルディナント・フォン・シーラッハの同名ベストセラー小説を映画化。骨太で重厚。後半明かされる事実に愕然とさせられます。

トルコ人のカスパーは国選弁護士としてコリーニを弁護することになります。しかしコリーニが殺したのはカスパーの知り合いでもあったマイヤーで、コリーニは長らく黙秘を続けていました。しかし調べが進むにつれ、驚愕の事実が明るみにされるのでした。

カスパーは幼い時にマイヤーの家に遊びに行き、彼を父のように慕っていました。マイヤーの孫でカスパーとは同じ年頃のフィリップと、その姉ヨハナとも仲良くなり、特にその姉ヨハナとは恋に落ちたりもします。しかし交通事故でフィリップは亡くなってしまうのです。コリーニ事件を追いマイヤーを思い出す時、カスパーが少年のときの記憶が断片的に繰り返し映し出されます。カスパーにとっても孫のヨハナにとってもマイヤーは心優しき人でした。でも実際にはマイヤーは元ナチスの親衛隊少佐で、当時コリーニの父を幼いコリーニの目の前で銃殺していました。「1人のドイツ人がパルチザンに殺されたら10人のパルチザンを殺す。2人のドイツ人が殺されたから20人のパルチザンを殺せ」とマイヤーが部下に命じていました。偶然指さされたイタリアのトスカーナ地方のモンティカティーニの人々が犠牲になりその中にコリーニの父がいました。1968年にコリーニとその姉がマイヤーを訴えますが、検察は突然調査を打ち切ります。この事実を基にマイヤーには非がなかったから罪なき人をコリーニは殺したのだと検察は主張します。その時、カスパーは同じ1968年にドイツ議会でドレーアー法が可決していることを突き止めました。ドレーアー法は「謀殺幇助者(計画殺人を手助けする人=ナチスの虐殺に加担した人)はすべて故殺(故意の殺人)とみなす。故殺には時効があり15年」というものでした。この法律のお陰でマイヤーは実刑を免れていました。マイヤーだけでなく、たくさんの戦争犯罪者がこの悪法のお陰で刑罰を免れていました…。

ドイツにはたくさんのトルコ人がいますが、そのトルコ人が主役の映画というのは珍しいと思いました(ネオナチの時には旅行中ドイツから逃れてきたトルコ人にトルコでたくさん会いました)中南米に行ったときドイツからの戦争犯罪者がたくさん中南米に流れて来ているという話を聞いたことも思い出しました。それにしても酷い悪法。この事実を知っただけでもこの映画を観た価値はありました。naonaoお勧め度★★★★


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50年後のボクたちは [ドイツ映画]

東京ドイツ文化センターで「50年後のボクたちは」を観てきました。


公式映画サイト:http://www.bitters.co.jp/50nengo/





ドイツ国内で220万以上を売り上げ、26か国で翻訳されているなった小説「14歳、ぼくらの疾走」が原作。様々な賞を総なめにし、舞台も大人気になった作品を映画化。14歳のマイクと風変わりな転校生チックの夏休みの冒険物語。ロードムービーです。


マイク(トリスタン・ゲーベル)はクラスではみ出し者。父は浮気をし、母はアル中。好きなタチアナには見向きもされず、誕生会にも招待されず。そんな時、一風変わったチック(アナンド・バドビレグ・チョローンバードル)がロシアから転校してくる。夏休みに二人は急激に仲を縮め、チックが調達してきた車でチックの祖父が住むワラキアという街へ行くことになるのですが…。


風力発電の下に寝袋を敷きたくさんの星を見ながら寝たり、トウモロコシ畑に車が突っ込みあとからグーグルで見てわかるようにとtschick(チック)とスペルを綴り、スピードを出し過ぎて放牧している牛に取り囲まれる場所に出て牧場主に怒られたり。子だくさんの農家で食事をご馳走になりすいかまで頂き、警察官に未成年が運転しているのがバレて追いかけられるもマイクとチックが離れ離れとなり、また元の安全な風力発電のある場所へと戻り見事二人が再会したり。ガソリンが無くなりガソリンが未成年で買えないので停車してる車からガソリンを盗もうとホースを探しているときに、イザ(メルセデス・ミュラー)と出会い、マイクは淡い恋を経験したりと、本当に大冒険でした。最後は交通事故まで起こしてしまって、その後始末が大変だったと思いますが、こういう体験は本当に貴重で一生の財産だなあと思いました。


「2人に誰よりも会いたい」とマイクはその冒険を終えて思います。そして見晴らしのいい場所で50年後の何月何日にその場所での再会を約束しています。その後50年の月日が過ぎ、64歳になって出会う彼らは一体どんな人生を送っているのでしょうか。仲良くなって別れがたい人と出会った時、こんな約束を取り付けられたらどんなに素敵でしょう。そんな約束ができる彼らがちょぴり羨ましくも思えたロードムービーでした。


近くでドイツ人女性二人が鑑賞していたのですが、笑うポイントがずれていたのが何とも印象的でした。アメリカ人とかイギリス人、インド人、タイ人、ネパール人などともやはりちょっと見てる場所が違う、笑いのポイントも違うなあと感じたことがありますが、今回もそう思いました。

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