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マンガで読破史記 史記入門 「史記」で学ぶ故事成語  [本]

「三国志」「項羽と劉邦」と観たり読んだりして来たので、今度は「史記」を知りたいと簡単な入門編的な本を手に取りました。

史記 (まんがで読破 MD128) (まんがで読破 128)

史記 (まんがで読破 MD128) (まんがで読破 128)

  • 作者: 司馬遷
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2013/11/30
  • メディア: 文庫

まんがで読む「史記」。序盤「史記」を書いた司馬遷の人生が書かれてあり、友人の李陵が謀反の疑いで捕まり司馬遷も擁護して捕まり宮刑(男性の生殖器を除去される刑)となりその後も2年獄中生活。家柄が代々正史編纂の仕事に就いていてその仕事を引き継ぎ使命感を持って「史記」を完成させたとのこと。「史記」の最後の方は既に知っている秦の始皇帝や項羽と劉邦に関してなので余計にサクサクと読めました。

「史記」に描かれているのは2000年の歴史。君主、王朝の変遷=「年代記」、年表、王族、重臣たちの系譜=「表」、礼制、歴法、天文、治水、経済記録=「書」、地方統治の諸侯たちの記録=「世家」、王や諸侯でない個人の記録=「列伝」からなる。黄帝が中華民族の始祖であり、そこから5帝時代があり、夏王朝、殷王朝、周王朝、戦国時代へ突入し、秦、漢へと続き漢の武帝まで。

夏王朝の開祖は禹、殷王朝の開祖は湯王、30代が紂王(ちゅうおう)で、紂王の妲己(だっき)の溺愛で酒と色の日々の「酒池肉林」の語源となった話や、周王朝が200年続いた最後に引き継いだ幽王が笑わない妃のために間違いで狼煙をあげて妃が笑ったことから有事でもないのに頻繁に狼煙をあげて本当の有事の時には誰も王を助けに来なかった話、「死者に鞭打つ」と言う言葉が、楚に憎しみを持って呉に身を寄せていた伍子胥(ごししょ)が既に復讐を果たしたのに10年前に世を去った楚の平王の墓を荒らし平王の屍に鞭打ったというところから来たことや、「臥薪嘗胆」が越に負けた呉王が後継者の夫差に仇を取ることを託し、夫差が薪の上に伏して屈辱を思い出し(これは「史記」に記述がなく「十八史略」にある)その後夫差は越と戦い越王の勾践を破ったが、敗れた勾践は夫差の下僕となり仕え、苦い肝を嘗め屈辱を忘れなかった。この二つのことから「臥薪嘗胆」が生まれたということなど、たぶん学生の時に習っているだろうけどそんな元となった話など全然覚えておらず、結構今更ながらためになりました。劉邦の妻の呂氏が中国三大悪女に数えられる悪女であると言うのも初めて知り(他に唐代の武則天、清代の西太后)ドラマでは描かれてなかったのでドラマの先を知った気になり面白く読みました。


知識ゼロからの史記入門

知識ゼロからの史記入門

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/01/01
  • メディア: 単行本

史記の入門編。わかりやすかった。殷の紂王と妲己の狂宴、周の西伯昌と息子の姫発と太公望の出会い、周が殷を滅ぼしたこと。斉の桓公と宰相の管仲、宋の襄公(無用の情けをかけて戦に負け死去してしまった襄公の話から「宋襄の仁」という故事が生まれる)、晋の文公=重耳(19年も亡命生活、放浪したのち王につく)、秦の穆公(自国民を大切にし他国民まで気にかけ大いに人望を集める)、楚の荘王(即位後3年間放蕩三昧し、臣下の助言により政務に励みだす)、楚の伍子胥(ごししょ)(呉へ亡命し「死者に鞭打つ」)、兵法書「孫子」を書いた孫武(呉王が寵愛する2人の姫を軍の隊長にして、命令を聞かない寵姫を斬り殺し命令に従わせた)、呉越の戦い(越の奇襲作戦=死刑が確定してる罪人が敵陣の前で自刎=越王勾践の軍師、范蠡(はんれい)の策)(夫差と勾践の二人はどちらも雪辱をはらすために苦行をしいた=臥薪嘗胆)(夫差=呉王が勝利していたがその後形勢が逆転し越が勝利する)そして韓、魏、趙、斉、燕、楚、秦が並び戦国時代に突入。

兵法家の呉起の仕官(生涯君主探しに明け暮れた)、商鞅(しょうえい)(秦の礎を築いた法家)、孫臏(そんびん)と龐涓(ほうけん)(同門出の因縁対決、兵法家同士の頭脳戦)、蘇秦の合従策と張儀の連衡策、趙の武霊王(伝統的な中原の服を廃止、戦いやすい胡服を採用)、燕の昭王が楽穀を登用(大将軍となり燕、趙、楚、魏、韓の5か国同盟を成功させる)、田単は「火牛の計」=牛の尾に葦の束を結い火をつけて燕軍陣地に放つ、を使い斉の息を再び吹き返らせる。趙の知恵者、藺相如(りんそうじょ)(藺相如と廉頗(れんぱ)の間で交わされた「あなたのためならたとえ頸を刎ねられても悔いはない」と言う言葉から「刎頸の交わり」の言葉が生まれる)、秦の白起将軍と趙の趙括が戦う(趙は崩壊寸前。白起将軍は血にまみれた生涯を送り生涯殺した人数は項羽を上回る)、秦にいた范雎(はんしょ)(スパイ容疑を掛けられるも、後に信頼され宰相に上り詰める)、秦の昭襄王に招かれた斉の孟嘗君(もうしょうくん)=四君子の一人(王の心変わりで幽閉され、盗みの達人や物まね名人に助けられ出国する。「鶏鳴狗盗」=秦の関所が一番鶏が鳴かないと開門しないところ物まね名人が鳴き声も真似て開門させた。この話が元になる故事)、四君子唯一の平民出宰相の春申君(李園の妹で妻が妊娠し王にあてがうようそそのかす。企てが漏れるのを懸念した李園に殺害される)、四君子の三人目の平原君(清廉潔白で「濁世の佳公子」と呼ばれる)、四君子の四人目の信陵君(劉邦も心酔した謙虚な人格者)

秦の始皇帝、項羽と劉邦の時代は馴染みのことが書いてあり今までの復習みたいな感じで読めました。武帝の時代になり少数で戦った李陵が投降し李陵を庇うと司馬遷は投獄され宮刑となることも書かれてました。司馬遼太郎のペンネームは司馬遷から取ったものと言うこぼれ話も載ってました。「司馬遷にははるかおよばないが、歴史の語り手たる日本男子がここにあり」の意味を込めていると言う。なるほど~。


横山光輝の『史記』で学ぶ故事成語 (小学館文庫)

横山光輝の『史記』で学ぶ故事成語 (小学館文庫)

  • 作者: 横山光輝
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/07/22
  • メディア: Kindle版
横山光輝のマンガ。司馬遷の人生も描かれ、「史記」に出てくる故事成語を描いてる。臥薪嘗胆、鶏鳴狗盗、完璧、奇貨居くべし(きかおくべし)、千金、焚書坑儒、背水の陣、四面楚歌、抜山蓋世。この本で初めて目にしたものだけ簡単に記しておくことにします。「完璧」は卞和(べんか)が趙の3代の王に自分が見つけた璧(円盤状の玉器)を見せに行ったところ2代の王に渡り「ただの石ころだ」と言われ片足ずつ足を切られてしまったが、最後の王がこれを璧と認め趙の国宝としていたところ、秦王が15の城と趙のこの璧を交換してほしいと申し出て、その交渉に藺相如(りんそうじょ)があたることになり秦王が約束を守るなら璧を置いてきて約束を破るなら璧は持って帰ることにしました。「璧を完うして(まっとう)して帰らん」から来ている。
「奇貨居くべし」は秦の呂不韋が趙に人質になっていた秦の王子の子楚を孝文王の夫人の養子にするよう計らい、子楚は後荘襄王となり、自分は秦の丞相となる。このように珍しい品は先に買っておけば後から大きな利益になると言う言葉。得難い機会を逃さず利用しなければならない意。
「千金」は呂不韋が学者たちを3千人集め天地、万物、古今の出来事を書物「呂氏春秋」にまとめさせ、自分の功績を世に知らしめるため御触書にこの書を読んで一字でも増やしたり削ったりできたものには千金=一万両を与えるとした。一攫千金の千金はここから来ている。
「抜山蓋世」は山を抜き取るほどの力と世をおおいつくすほどの気力があることで、項羽が最後の戦となった時に虞美人を前に読んだ詩から来てる。「力は山を抜き 気は世を覆う 時 利あらず 騅(すい)ゆかずして いかんとすべき 虞や 虞や なんじ いかんせん」から。騅は愛馬の烏騅のこと。虞は虞美人のこと。「史記」の故事成語はまだあるかもしれませんが、主要なものは理解できたので良かったです。

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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2024-04-23 08:26) 

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