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Life! [Sean Pennショーン・ペン]

「Life!」を観ました。

LIFE!/ライフ [Blu-ray]

LIFE!/ライフ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray



2013年アメリカ映画。ダニー・ケイ主演で映画化した「虹を掴む男」(1947)を、ベン・スティラーの監督・主演でリメイクした映画。原作はジェームズ・サーバーの短編小説。アメリカのグラフ誌「LIFE」の写真管理部で働くウォルター(ベン・スティラー)が、LIFE誌の最終号の表紙を飾る大切な写真がないことに気付き、その写真を撮ったカメラマンのショーン(ショーン・ペン)を探して、グリーンランド、アイスランド、アフガニスタンへと旅をする物語。

この映画を観たいと思っていましたが、観るのが今になってしまいました。素晴らしい映画で良かったです。生きているっていいなあ、と思えました。そして今またすごく海外旅行に出たくなりました。グリーンランド、アイスランド、アフガニスタン(アフガンからヒマラヤに行った設定)の広大な自然が素晴らしかったし、ストーリーも勇気をもらえるものでした。

雑誌Lifeのモットーが「世界を見よう 危険でも立ち向かおう 壁の裏側を覗こう お互いを知ろう そして感じよう」というものらしいのですが、空想癖のあるウォルターは、雁字搦めの現実を空想の中でついつい考える癖を持っています。初めはそれが観ていて一体何が現実で何が空想なのかわからなくなるんじゃないかと危惧して観ていましたが(いきなり彼の空想でビルを飛び降りたり、空中を舞ったりするわけですから…)、物語が進むにつれて現実の中で彼が生きていくようになり、そうした危惧は無用でした。平々凡々な彼の生活は、一枚の写真の紛失=カメラマンを探すということを機に、一変します。ヘリコプターからボートにジャンプし見事海に投げ出されサメに襲われそうになったり、自然の中を自転車で走り、スケボーで走り、シェルパのようなガイドを雇って雪山に登り珍しいヒョウを見たり、空港で捕まり取調室で尋問を受け電話で親しくなっていた出会い系サイトの主催者の人に助けてもらったり…。残りの写真を手掛かりに謎解きをするような感じも面白かったし、カメラマンのショーンが「大切な瞬間はカメラを通してでなく。今を楽しむこと」という言葉もそのシーンも印象に残るシーンでした。久々に観るショーン・ぺーンの演技はやっぱり格好良かった。また何とシャーリー・マクレーンがウォルターのお母さん役で出演しているのも、嬉しかったです。しわしわになっちゃったけど、シャーリー・マクレーンはいつ見てもチャーミングだなあと思います。昔彼女が書いたたくさんの精神世界の本を読んで感化されていたことを思い出します。

ネタバレをしてしまうと、実はウォーターが探し求めた写真はショーンからプレゼントされた財布に入っていて、それを不意に捨ててしまったわけですが、ウォルターのお母さんがちゃんと取っておいてくれてそれが無事最後のLife誌の表紙を飾ります。その写真がまた憎い!泣かせます。Life誌を支えてくれた普通の人々ということで、ウォルターが会社の外に座って仕事をしている写真でした。実際のLife誌を飾った最後の写真がどんなものが気になったので調べたら、実際はサウスダコタ州の公園にあるJFKの銅像の写真でした。この映画と同じだったら夢があったけれどやはり現実は違ってました。

そして会社で知り合ったシェリル(クリステン・ウィグ)ともこれから付き合いが始まることを予感させるところで映画は終わりました。好きな人ができると、ちょっとしたことがその好きな人に見えたりするように、この映画でも空に飛ぶ鳥が気になる彼女の顔に見えたり、いきなり彼女が異国のバーでギター片手に歌ったり、すべては空想の産物ですが、そういうシーンも結構楽しめました。最終的には二人はリストラされてしまったけれど、新たな人生がまた始まるという感じで、観終わって爽快感が残りました。この映画はこの映画で素晴らしかったけれど、スピルバーグ監督やロン・ハワード監督もこの映画を作ろうとしていたらしく、またウォルター役もジム・キャリーの可能性もあったとのこと。それも良かったかもなあと思いました。


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フェアゲーム・カウボーイ&エイリアン [Sean Pennショーン・ペン]

2本の映画を観て来ました。

「フェア・ゲーム」「フェア・ゲーム」の場面カット

「フェア・ゲーム」の画像2

公式映画サイト:http://fairgame.jp/

「ボーン・アイデンティティー」「Mr.&Mrs.スミス」のダグ・リーマン監督作品。「21グラム」で共演したナオミ・ワッツとショーン・ペンの再度の共演映画です。イラク戦争を巡ってイラクが大量破壊兵器を持っているという情報は実はその存在すらもないことを、元ニジェール大使の夫はCIAエージェントの妻を介して仕事を引き受け、実際に調査に出向きレポートとして提出します。しかしながらアメリカ政府が行ったことはイラクが大量破壊兵器を保持していると主張し、イラクへ宣戦布告したのです。真実を世間に公表しなければと夫は新聞に寄稿し、テレビ番組にも出演。しかし妻がCIAエージェントであることがリークされ、様々な形で世間に晒され批判を受けることになるのです・・・・。

真実が捻じ曲げられ、嘘で固められでっち上げの理由で始められたイラク戦争。正義を振りかざすためには権力に立ち向かわなければならず、この夫婦は孤立無援となります。自由と正義を謳うアメリカでさえこの有様です。巨大な権力にはほとんどの人が平伏してしまうのは当然のことでしょう。しかしこの夫婦は違いました。彼らの勇気には頭が下がります。大義名分のためなら真実をも捻じ曲げてしまう国家や組織、権力、そして人は恐ろしいと思います。世の中に彼らのような勇気ある人たちがたくさん増えればいいと思います。 

10月29日(土)から公開です。

フェア・ゲーム

フェア・ゲーム

  • 作者: ヴァレリー・プレイム・ウィルソン
  • 出版社/メーカー: ブックマン社
  • 発売日: 2011/10/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
「カウボーイ&エイリアン」
 「カウボーイ&エイリアン」の場面カット
「カウボーイ&エイリアン」の画像4
公式映画サイト:http://www.cowboy-alien.jp/
「アイアンマン」のジョン・ファブロー監督作品。製作総指揮はスティーブン・スピルバーグ。「007」のダニエル・クレイグと「インディアナ・ジョーンズ」のハリソン・フォードが出演。
1800年代のアリゾナの町に、腕に何かをはめたカウボーイがやって来た。彼は記憶喪失のカウボーイでした。そして巨大な得体の知れないエイリアンがこの町を襲う時、彼の腕にはめたものはすごい武器になり、町の人々は協力して宇宙人と戦うのです・・・。
西部劇とSFが一緒になったちょっとマンガチックな感じの映画でした。「アイアンマン」の監督なのでそこら辺は納得です。
敵はインディアンでなく宇宙人。ダニエル・クレイグは格好良かったけれど、ハリソン・フォードはかつてのインディー・ジョンズの面影はなく、すっかり年を取ってちょっと残念な感じでした。こんなに老いぼれたハリソン・フォードはもう観たくなかったかもなあ。
またかえって純粋な西部劇のほうが良かったかもしれません。
何も考えずに観れるのはいいかもしれませんが・・・。
10月22日(土)公開です。
カウボーイ&エイリアン [DVD]

カウボーイ&エイリアン [DVD]

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: DVD

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「あしたのジョー」・「ミルク」 [Sean Pennショーン・ペン]

最近観た映画鑑賞記です。

「あしたのジョー」

あしたのジョー スタンダード・エディション [DVD]

あしたのジョー スタンダード・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: DVD

ちばてつやの漫画「あしたのジョー」の映画化。山下智久、香川照之、伊勢谷友介、香里奈出演。最近好きになった山P主演ということで観たのですが、出演者皆の気迫がすごすぎで、その登場人物に皆が完全に成りきっていてもうビックリするぐらい素晴らしかったです。山Pもよかったけれど、それ以上に力石を演じた伊勢谷と、段平を演じた香川が素晴らしかったです。これほどの最適な役者、そして演技はないのでは!?と思えるほどです。昭和の貧しい時代、それもドヤ街という貧しい地域の街並みや、応援してくれる街の人たちも、素晴らしかった。「あしたのジョー」に特別な思い入れがなくても、また逆にすごい思い入れがあったとしても、この映画には度肝を抜かれると思います。ボクシング映画で試合や練習の様子がたくさんあるのでボクシング好きにはたまらない映画になったと思いますが、ただ女性にはボクシングの荒々しさに時々目を覆いたくなり、男性向きの映画ともいえます。漫画の映画化はそのイメージを維持するのが大変だと思いますが、この映画は漫画に負けないくらいの迫力があり、素晴らしい出来になっていました。今年何かの賞を獲るんじゃないでしょうか?

「ミルク」

ミルク [DVD]

ミルク [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD

第81回アカデミー賞主演男優賞、脚本賞受賞。

自らゲイであることを公表し、同性愛者の公民権獲得や地位向上のために立ち上がったハーヴィー・ミルクの70年の活躍を描く映画。ショーン・ペン主演。

1970年の様子がよく出ていました。人々の洋服からヘアスタイル、家の家具と何をとっても昔風でその頃のフィルムをどこかから持ってきたのではないかと思えるほどよく出来てました。当時の同性愛者の地位は全く認められておらず、病気にされたり、偏見から職を追われたり、自殺にまで追われたりする中、実在したハーヴィー・ミルクがこういった人たちの希望となり、彼らの代弁者となりいろんな法案を成立させていく物語です。最後は暗殺されてしまうのが何ともむごい感じで、涙が出ました。感動作です。ショーン・ペンの演技が素晴らしいの一言に尽きます。ショーン・ペンの映画では「ミスティック・リバー」や「オール・ザ・キングスメン」、「21グラム」、監督した「イントゥー・ザ・ワイルド」を観てますが、どれもメッセージ性が強く、大好きです。もっと彼の映画を観たいと思いました。

ミスティック・リバー [DVD]

ミスティック・リバー [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD
オール・ザ・キングスメン コレクターズ・エディション [DVD]

オール・ザ・キングスメン コレクターズ・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: DVD
21グラム [DVD]

21グラム [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東北新社
  • メディア: DVD
イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD

タグ:山下智久
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イントゥ・ザ・ワイルド [Sean Pennショーン・ペン]

 「イントゥ・ザ・ワイルド」を有楽町朝日ホールで観てきました。

映画公式サイト:http://intothewild.jp/top.html

監督・脚本はショーン・ペン。実話に基づく映画です。

2008年アカデミー賞ノミネート(助演男優賞「ハル・ホルブルック」、編集賞)、2008年ゴールデングローブ賞受賞(主題歌賞「エディ・ヴェダー」)2007年ゴッサム賞作品賞受賞(ブレイクスルー演技賞「エミール・ハーシュ」ノミネート)2008年グラミー賞(主題歌賞「エディー・ヴェダー(パールジャム)ノミネート」作品です。

成績優秀で大学を卒業したクリスが、アラスカを目指して旅に出る話です。全てのお金を慈善団体に寄付し、IDカードもクレジットカードも切り刻み、物質社会を極端に毛嫌いし、自然の中で自分の力を試そうとするのです。実際に荒野のアラスカで生活に入るまでにはいろいろ準備のためにあちこちさまよいます。水田で働き気の合った兄貴分に会い、またヒッピーのカップルに何度か旅の中で出会い可愛がってもらったり、16歳の少女との淡い恋を体験し、一人暮らしの老人に養子にならないかと言われたり、またコロラド川をカヤックで下りメキシコへと行ったり、LAではホームレスたちに混ざってその日の宿を提供してもらおうとしますが、夜街をさまよって気が変わり自分のいるべき場所でないと悟り、街を出ようと列車に飛び乗ります。しかし無賃乗車のためにぼこぼこに殴られたりもします。
そして野生植物でどんなものが口にできるかできないか、野生動物を銃で撃ってその後の肉の捌き方などを学び最終目的地でありアラスカの荒野へと出かけていくのです。
ソローの本やトルストイの本を愛読し、日々を日記に書き綴っていきます。
ちょうどうまい具合に捨てられたバスを発見し、そこでアラスカの生活を始めますが、初めは持ってきた米を食べていますがそのうち無くなり狩猟で射止めた小動物を食べるようになります。ヘラジカなども処分しようとしますが全く彼一人の知識と処理の遅さでは歯が立たず、ついにヘラジカはハエやおおかみ、ハゲタカのえさになってしまいます。獲物もいなくなり、もうその生活を切り上げようとアラスカの荒野を出ようとしますが、渡ってきた川が大きな川になっていて渡れず、一時は足を滑らせ死にそうになります。そしてすごすごと戻り、またアラスカの荒野での生活を送るのですが、今度は本を見ながらどれが食べられ食べられないか、木の実や葉を識別し食べ始めます。そしてある日気分が猛烈に悪くなり嘔吐や幻覚が現れ、食べたものが実際は死にもいたる毒の植物だったと知り、そのまま息絶え、その後2週間後にヘラジカ猟に来た人たちによって発見されるのです。

「人生において必要なのは、実際の強さより強いと感じる心だ。一度は自分を試すこと。一度は太古の人間のような環境に身を置くこと。自分の頭と手しか頼れない、過酷な状況に一人で立ち向かうこと」

「北へ行くんだ。ひたすら北へ向かう。僕一人だけの力で。何にも頼りたくない。荒野のど真ん中で。ただ生きるんだ。特別な場所でその瞬間を」

「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合ったときだ」

最後には本当に孤独で寂しいと感じるようになり、アラスカまで来る前に出会った人たちの優しさや、断ち切った家族などを思い出し、「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合ったときだ」と綴ってます。

若いときには誰でもぶつかった根本的な問題を正面から向かい合い、それを実際に行動にしたクリス。共感する部分もあり頼もしくも思いましたが、最後はこんな若さで死ななければならないということに未熟さを感じました。旅に出ていくらでも冒険していいけれど死んでしまっては何もなりません。クリスが放浪しアラスカの生活をしていた1990年~1992年はちょうど私もインド、ネパール、中国、タイ、香港あたりをうろうろしていました。私も何かを模索していた時期です。結局人は一人では生きていけないし、旅に出て人々の優しさを思い知りました。世界は広いしやる気があればできないことは何もないと思ったのもその頃です。私の旅はその後1993年~1995年にまで続き、何となく終止符を打ったのは1995年ですが、その旅の過程には、単純に広い世界を観てみたいという衝動がいつしか旅先でどんな面白い人に出会うんだろうに変わり、その後、人はそれぞれその人の人生を送ってるけど、それではおまえ、自分はどうなのだ!?ということに変わっていきました。

この映画を観ているとやはり旅先での人の出会いがとても貴重なものだと思います。クリスが「幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ」ともう少し早く気づいたなら、死ぬことはなかったのかもなあと、残念に思います。ご冥福を祈ります。合掌。

荒野へ (集英社文庫 ク 15-1)

荒野へ (集英社文庫 ク 15-1)

  • 作者: ジョン・クラカワー
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫
オリジナル・サウンドトラック“イントゥ・ザ・ワイルド”

オリジナル・サウンドトラック“イントゥ・ザ・ワイルド”

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: BMG JAPAN
  • 発売日: 2007/11/21
  • メディア: CD
Into the Wild

Into the Wild

  • 作者: Jon Krakauer
  • 出版社/メーカー: Anchor Books
  • 発売日: 2007/08/07
  • メディア: ペーパーバック
森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)

森の生活〈上〉ウォールデン (岩波文庫)

  • 作者: H.D. ソロー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 文庫
森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)

森の生活〈下〉ウォールデン (岩波文庫)

  • 作者: H.D ソロー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/09
  • メディア: 文庫
人生論 (角川文庫)

人生論 (角川文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/05
  • メディア: 文庫
人は何で生きるか (トルストイの散歩道)

人は何で生きるか (トルストイの散歩道)

  • 作者: レフ トルストイ
  • 出版社/メーカー: あすなろ書房
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 単行本

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オール・ザ・キングスメン [Sean Pennショーン・ペン]

映画公式サイト:http://www.so-net.ne.jp/movie/sonypictures/homevideo/allthekingsmen/index.html

「オール・ザ・キングスメン」のDVDを頂いたので観ました。

ショーン・ペン、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、アンソニー・ホプキンズといった豪華キャストが出演。「実話を基にした究極の政治サスペンス」とのコピーがついてます。この話は既に小説としても発表されピューリッツァー賞も取っています。

理想を持って立ち上がり、州知事、上院議員にまでなったウィリー(ショーン・ペン)が忌み嫌っていたはずの汚職に手を染め、また貴族出身の元記者のジャック(ジュード・ロウ)がその下で働き、ジャックの目を通してウィリーの周りの人たちがどんどん悲劇へと巻き込まれていく様を描いています。実はジャックの父であった判事(アンソニー・ホプキンズ)が、父とは知らされてない実の子供ジャックに自分の知られざる過去を暴かれようとする一歩手前で自殺を図り、ウィリーはジャックの幼馴染みであり、自分の慈善事業の病院を任せたアダムに射殺され、そのアダムもウィリーの用心棒に撃ち殺されてしまいます。ジャックの初恋の相手でアダムの妹でもあり今はウィリーの愛人になってしまったアン(ケイト・ウィンスレット)とも、お互いに惹かれあっているにも関わらず、ある一夜の出来事からずっとすれ違い、今に至ってしまった切ない恋も描かれていました。

スクリーンで映画を観ただけでは得られないDVDの特典は素晴らしかったです。メイキングや未公開シーン、もう1つのエンディングはおもしろかったし、ロバート・ウォーレンが書いたこの原作本の魅力について述べられ、ロケ地ルイジアナが映画撮影する人たちにとって全米で3本の指に入るほど人気の土地であることや、南部貴族社会やルイジアナの建築物について、またウィリーのモデルとなり実在したヒューイ・ロングが今尚ルイジアナの人々に慕われ続けていること、このAll the King's menの題名がマザーグースのハンプティ・ダンプティからつけられたこと(最終的に皆、壁から落ちてしまうところからこの物語でも全ての人が最終的に堕落してしまうのでこの題がつけられた)などなど、おもしろいエピソードが満載でした。原作は30年代のルイジアナが舞台でしたが、この映画では50年代のルイジアナを舞台としていることもわかりました。

権力を追っていくといつかは腐敗してしまうのが常で、今も昔も変わらぬ普遍的なことなのだと思いました。初めは善で始めたことも最終的には悪になる。また悪から善が生まれることもある。いろんな含蓄ある言葉が映画のあちこちに散りばめられていました。またインタビューの中でこの原作本をバイブルのように何度も読んだとジュード・ロウが語り、「シンドラーのリスト」の脚本を書いた監督兼脚本のスティーブン・ザイリアンをはじめたくさんのスタッフがこの原作本を褒めちぎっていました。この原作本も是非読みたいと思いました。

ミーハー的なことを言えばジュード・ロウがやっぱり格好良かった。何年か前に最もセクシーな男優で見事No.1に選ばれたことがありましたが、この映画でも素敵で何度も見惚れてしまいました。ショーン・ペンの熱弁を振るう演技は圧巻。アンソニー・ホプキンズは落ち着いたいつもの安定感ある演技が光ってました。

表向きはアダムがウィリーを暗殺したことになってますが、本当にその殺しを操ったのは、一緒に秘書として働いていたパトリシア・クラークソン演じるセイディが、愛人を作ったウィリーへの焼きもちのためにしたのか、はたまたやはり一緒に働いていたタイニーが自分が権力を握るためにアダムに暗殺させるような巧みな言葉を囁いたのか(その線を匂わせてます)、疑問が残るラストでしたが、いろんなことが交錯して、人の欲望、感情、人生そのものを考えさせてくれる素晴らしい映画でした。

オール・ザ・キングスメン コレクターズ・エディション

オール・ザ・キングスメン コレクターズ・エディション

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2007/09/26
  • メディア: DVD
すべて王の臣 新装版

すべて王の臣 新装版

  • 作者: ロバート・ペン・ウォーレン
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本


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