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藤井風の「満ちていく」 [精神世界]

藤井風の「まつり」「帰ろう」「grace」などの歌に衝撃を受けて来た私ですが、最近発表された「満ちていく」にも結構な衝撃を受けて、そして聴くたびに泣けてひとり黄昏れたくなるような歌詞に感動してます。聴けば聴くほどこの人本当は25,6歳ではないよね?と思ってしまう。Youtubeにある「満ちていく」のオフィシャルビデオにコメントがたくさん載っていたけれど、英語圏の人がコメントした「藤井風はまるで(なんでも悟った)年取ったお坊さんのようだ」というコメントがまさにその通りだと思いました。

「走り出した午後も 重ね合う日々も 避けがたく全て終わりが来る」「あの日のきらめきも 淡いときめきも あれもこれもどこか置いてくる」「それで良かったと これで良かったと 健やかに笑い合える日まで」「明けてゆく空も暮れてゆく空も 僕らは超えてゆく 変わりゆくものは仕方がないねと 手を放す 軽くなる 満ちてゆく」

歳を取って人生を振り返り、時の流れを止めようもなく半ば諦める境地。若い時は変わることが大好きだったけれど年取って来ると変わることが嫌になる。それでも仕方ないと思い生きていく。若いころの輝いていた日々を懐かしみ、もうその時が終わってしまったことを思う。私は自分の人生を振り返りながらこの歌を聴いていました。ちょっと切なく人生の黄昏の時。でもミュージックビデオでは母との死別の暗示がなされ、肉親との別れを語った歌のようにも聞こえます。大切な人との死を経験した歌というのもしっくりくる歌です。


人の死を受け入れる段階、自分の死を受け入れる段階で否認、怒り、取引、抑うつ、受容といったもの(キューブラー・ロスによるもの)が、キューブラー・ロスの言う「受容」の部分が藤井風の表現で「手を放す、軽くなる、満ちていく」という風になったのだなあと思いました。藤井風のこの言葉選びが抜群に素敵。マントラのように繰り返して言いたくなる。そしてもともとこの歌は佐藤健主演の映画「四月になれば彼女は」の主題歌として作られたものなので恋愛の歌でもあり、恋愛でうまくいかなかったその境地を歌ったものにも聞こえます。「愛されるために愛するは悲劇」というフレーズにもちょっとドキッとします。また「手にした瞬間に無くなる喜び そんなものばかり追い求めては…」というフレーズにも。

受け手によって受け取る人の物語が五万とあり、実際Youtubeのこの曲のコメント欄にはたくさんの人のコメントで溢れ返っていました。一人一人の数えきれないほどの人生の物語。たくさんの人が涙を流しながらこの曲を聴いているのがわかり、こちらもそのコメントを読み更にまた泣けてくる。「晴れてゆく空も荒れてゆく空も 僕らは愛でていく」「何もないけれど全て差し出すよ 手を放す 軽くなる 満ちていく」すべてを手放したその先に見えるその風景。一つ何かをやり終えた自分が優しくそっと包み込まれ、やってきたことが全て肯定されちょっと褒められた感じ。大きな安らぎと恍惚感がある。メロディも歌詞も大好きで「grace」の時のように何度も何度も繰り返して聴いている。

Youtubeから藤井風の「満ちていく」


もうひとつ先日NHKで放送されたtiny desk concerts JAPANから(埋め込むことができなかったので)→https://www.youtube.com/watch?v=ldVTbMypH_k

ライブなので素敵です。

おまけ:藤井風に関して書いた他の記事→https://naoazucar.blog.ss-blog.jp/2022-10-17


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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2024-03-23 10:29) 

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