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デッドマン・ウォーキング~METオペラライブビューイング [芸術性の高い映画]

東劇で「デッドマン・ウォーキング~METオペラライブビューイング」を観てきました。


METオペラライブビューイングは過去には私自身「ヴェルディのアイーダ」(2009年)、「ロメオとジュリエット」(2007年)を鑑賞しています。コロナの時期はやっていなかったようですが、今年で17年とのこと。今回観たこの「デッドマン・ウォーキング」はいわゆる古典ではなく新作オペラで修道女ヘレン・プレジャンの実体験をもとにした話で、修道女ヘレンと死刑囚の心の交流を描き、死刑制度に疑問を投げかける作品でした。1995年の映画「デッドマン・ウォーキング」ではスーザン・サランドンとショーン・ペンが主演し、ティム・ロビンスが監督でスーザン・サランドンがアカデミー賞主演女優賞を受賞している作品とのこと。映画の存在さえ知りませんでした。

3時間半の上映中、実際の舞台公演は2時間半。残る1時間は出演者、関係者へのインタビューや実際に行われた死刑囚とのドキュメンタリーを織り交ぜての上映でした。インタビューはもっと短めにせいぜい3時間くらいにまとめてくれた方が良かったかなあと思いました。華やかな衣装や舞台道具などは全く期待できないものでしたが、オペラの世界にも新作というものがあるということに驚きました。また内容は結構考えさせられかなりシリアス、重苦しかった。

死刑執行されるギリギリまで「自分はやっていない」と訴えていた死刑囚が「真実は自由にさせる」という言葉を修道女から聞き、自分の犯した人殺しを認め改心すると言うストーリーでした。結局は死刑になりますが、それでも死の間際に殺人を認め悔い改めたことは良かったです。子供のいない修道女ヘレンは「子供がいなくて子供を亡くした親の気持ちがわかるのか」「加害者をサポートし被害者には全く何のサポートをしないなんてどうかしてる」など非難されかなり苦しみ、その重苦しさがビンビン伝わりました。

やっぱり華やかな(少なくとも衣装が素敵で煌びやかな)古典のオペラの方が楽しかったかなあとちょっと残念な気分にもなりましたが、まあこれはこれとして。オペラ歌手の皆さんの歌声が素晴らしくて、映像の中の観客の人々の拍手が鳴りやまず皆スタンディングオベーションでした。観ている私も思わず拍手したくなりました。劇場の中が鳴りやまない拍手に包まれる瞬間ほど素敵な瞬間はないなあと改めて思いました。

近くにある歌舞伎座のショップが地下鉄の通路から簡単に出入り出来て、帰りはその華やかさに圧倒されながらちょっと立ち寄りつつ戻りました。東銀座もしばらく行っていなかったのでその変わりようにこちらもまた驚きでした。naonaoお勧め度★★★★

おまけ:このオペラの一部。


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ライフ・オブ・パイ~トラと漂流した227日 [芸術性の高い映画]

「ライフ・オブ・パイ~トラと漂流した227日」を観ました。


ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray

アカデミー賞の監督賞、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞4部門を受賞。ヤン・マーテルの「パイの物語」を映画化。主人公のパイはインド人でインドのポンディシェリ(仏領でもあった)に育ったため、インドの祭りや女性のサリー、花市場など色彩が鮮やかで、ふとインドに行った気分に浸れました。また海に投げ出され遭難したパイですが、大海原や魚、空、星、島…ととっても美しく、映像美が堪能できる映画でした。月並みな言い方ですが、大自然はなぜこうも素晴らしいのかと目を見張るばかりの映像でした。そしてトビウオの大群やイルカの大群、ミーアキャットがごちゃごちゃいる人型の島が印象的だったし、一艘のボートに乗っていたのはシマウマ、ハイエナ、オラウータン、そしてトラとパイで、最後まで残ったのがトラとパイだけでした。


物語ではパイのお父さんは動物園をやっているのですが、動物園を閉鎖しなければならず、家族でインドからカナダへ移住することになります。船でカナダへ向かう途中船は嵐に遭い遭難。パイだけが小さなボートに移ることができ、残りの家族は皆死にます。ボートには動物が残っていて、トラも乗っていました。初めはトラがひどく厄介だと思っていたパイですが、最終的にはトラと共にメキシコの浜にたどり着くのです。しかし浜に着くとトラはどこかへと行ってしまいました。


一人の少年のトラとの漂流の物語が軸ですが、とっても素敵な映像美でファンタジーの世界を旅した気分。トラとの漂流は過酷でしょうが、その過酷さよりも世界の美しさが際立っていて、その美しさにすっかり魅了されてしまいました。ちょっとおとぎ話の世界。


海の穏やかな時に、海の上を漂ってこの映画で映し出されていた世界を見てみたい気分になりました。またインドのポンディシェリ。行ってみたいなあ。ここがフランス領であったとは全然知りませんでした。インドには何度も行っていて結構いろいろ知ってると思ってたけど、知らないことがまだまだたくさんあるなあと思いました。


素敵な映画なのでお勧めです。

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ヴェルディ 「アイーダ」~METライブビューイング [芸術性の高い映画]

METライブビューイング/ヴェルディ 《アイーダ》

東劇で、METライヴビューイング、ヴェルディ「アイーダ」を観てきました。

METライヴビューイングの公式サイト:http://www.shochiku.co.jp/met/

ニューヨークで行われているメトロポリタン歌劇場(MET)の最新オペラ公演をフィルムで観るというものです。今回のシーズンはこのヴェルディ「アイーダ」の他、プッチーニ「トスカ」、プッチーニ「トゥーランドット」、オッフェンバック「ホフマン物語」、R・シュトラウス「ばらの騎士」、ビゼー「カルメン」、ヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」、アンブロワーズ・トマ「ハムレット」、ロッシーニ「アルミーダ」の全9作品が上映予定です。

2年前にこのMETライブビューイングで初めてオペラ・グノー「ロメオとジュリエット」を鑑賞しましたが(その時の記事はこちら→http://naoazucar.blog.so-net.ne.jp/2007-12-25)、今回もまたいいものを観せてもらえ幸せです。

本編が始まる前に、NYでのオープニングガラの映像があり、なんとビリー・ジョエルが「トスカ」を観に新しい恋人らしき人を伴ってインタビューに応えていました。ビリーファンとしては一人で「ビリーだ!!」と思わず興奮して声をあげてしまいました。この6月に32歳年下のケイティー・リーと離婚し30億以上の豪邸2つを売り払って慰謝料に充てていたらしいのですが、その離婚後初の新恋人との2ショットだったらしく、あとからいろいろネットで調べたら、このお相手はデボラ・ダンピエールという女優さんであることが判明。マスコミの人たちはビリーにこの新恋人のことを矢継ぎ早に質問し、ビリーはユーモアを交えて応答していたことがわかりました。こんな関係のないところでまたビリー・ジョエルの情報が入ってしまうのも何だか面白いなあと思いました。

「アイーダ」の話に戻ります。

このフィルムは3時間29分で構成され、2回のインターミッションが入り、本編の合間合間に数々のインタビューやこのシーズンの他のオペラの宣伝などが入ります。個人的には本編をそのまま連続で見せてくれた方が良かったかもなあと思いました。オペラ本編は2時間20分なのでいっそのことこの本編だけでもいいかなあとも思いました。特に最初の部分にこれでもかと宣伝が2回も入り、早く本編を観たいと感じたりもしました。

自らがソプラノ歌手でこのシリーズの「ばらの騎士」や「アルミーダ」にも出演している人気のあるルネ・フレミングが司会進行役を務め、アイーダ役のヴィオレタ・ウルマーナやアムネリス役のドローラ・ザジック、ラダメス役のヨハン・ポータなどにインタビューをしていました。みんな恰幅が良すぎてどう見ても中年で、とても20歳代の若い役には見えないのが玉に瑕なのですが、声はぴか一で、オペラはなんと言っても歌唱力が問われるのでしょうからこういう配役は仕方がないのでしょう。でもせめて司会進行役をしてたルネ・フラミングのような人が出演していたらなあと思いました。

他に衣装、舞台装置、演奏などはどれをとってもぴか一。一見の価値がありお勧めです。カメラアングルも工夫がしてあり普通劇場で観られない角度で見られるのがこのフィルムの良さでもあります。もちろん生で観られるに優ることはないでしょうが、このフィルムもなかなかいいです。チケット代は3500円するようです。ちょっとお高め。年末には歌舞伎座でやるようですが、こちらは4000円です。

<アイーダの内容>

エジプトとエチオピアが戦争をしている時代のエチオピア王女アイーダとエジプト軍隊の司令官ラダメスの悲恋物語。エジプト王女アムネリスも加わり3人の愛の葛藤を描きます。

アイーダが奴隷として捕まり身分を隠していたが、父親であるエチオピア王が捕まると思わず「お父さん」と叫んでしまい、その身分を明かすことになってしまいます。その間エジプト軍隊の司令官ラダメスの活躍に祝杯が挙げられ、エジプト王ファラオから娘のアムネリスとの婚姻を勧められ将来のファラオにと推されます。しかしラダメスの心にあるのはいつもアイーダでありアムネリスではありません。しかしエジプト王女アムネリスとの婚姻がなされる手配が整い、その前夜秘かにアイーダとラムネリスが会っているとそれをアムネリスや司祭たちに見られてしまいます。二人でエジプト軍の見張りのない場所を逃避行する話をしその場所の名前をラダメスが言ってしまったことが軍の秘密を漏らしたと見なされ、ラダメスは司祭たちの審判にかけられます。その間、ラダメスを愛しているアムネリスはラダメスに「アイーダを諦めるなら」という条件のもとラダメスを助けるためファラオにも掛け合うと言うのですが、ラダメスはそれを飲まずそのまま審判にかけられ、死を宣告され地下牢に入れられます。そこには逃げたはずのアイーダがおり、一緒にそこで息絶えて終わるのです・・・。

1989年のMETで行われたヴェルディ「アイーダ」がYoutubeにありました。衣装や振り付けなどもちろん今回のものと違いますが、雰囲気は味わえます。↓

また20年以上も同じアムネリス役をしているというドローラ・ザジック。1988年にラダメス役のプラシド・ドミンゴと共演している「アイーダ」もありました。今よりやはり若い。21年前のものなので。

オペラは観るほどに楽しい。生で観るにはお金が大変なのでせめてこういったお手軽なフィルムで楽しむのも一考だなあ~と思いました。

ヴェルディ:歌劇《アイーダ》 [DVD]

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エルトン・ジョン・アンド・ティム・ライス・アイーダ・ブロードウェイ・ミュージカル版(CCCD)

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パコと魔法の絵本 [芸術性の高い映画]

「パコと魔法の絵本」をよみうりホールにて観てきました。

公式映画サイト:http://www.paco-magic.com/index.html

わがまま放題の社長のじじい大貫と一日しか記憶を持たない少女パコを中心とした物語です。色彩豊かで絵本の世界がそのまま映像になったようなポップで夢のある映像になっていて、笑わせ泣かせてまた笑わせて・・・・となかなか素敵な映画でした。入院した患者たちが一丸となってパコのために「ガマ王子対ザリガニ魔人」の絵本の世界を劇にするのですが、3DのCGと実写を重ねての画面は面白かったです。

一日しか記憶を持たない女の子にアヤカ・ウィルソン、一代で会社を築きあげた頑固なじじい大貫に役所広司、そのじじいの甥のおとぼけキャラに加瀬亮、その甥の嫁で強面でお金の亡者に小池栄子、子役で大活躍したのに今は自殺未遂を重ね麻薬漬けになってる青年に妻夫木聡、タトゥー入りのヤンキー看護婦に土屋アンナ、ジュディーオングと噂話好きなオカマに国村隼、ピーターパンになりたい夢見がちな医者に上川達也、人間になりたくないボタンを押されて登場する謎の人に阿部サダヲ、傷だらけのやくざに山内圭哉、消防車に轢かれた消防士に劇団ひとりと個性の強いそれぞれのキャラクターが、それぞれのキャスティングにうまくはまり、抜群のキャスティングだと思いました。

「おまえが私を知ってるだけで腹が立つ」と言っていたじじい大貫が、「おじさん、昨日もパコのほっぺに触ったよね?」と少女パコに言われ続け、「私はただ、この子の心にいたいんだよ」と言うまでになり、少女パコの思い出になろうと一生懸命になって大貫が中心になって劇を作り上げる、そんな素敵なお話です。

パコが愛読して毎日読んでいるその飛び出す絵本「ガマ王子対ザリガニ魔人」、私も欲しくなりました。

この映画関連では、渋谷PARCOで9月12日~29日まで「パコと魔法の絵本展」が開催されます。JUNではこの映画関連のガマ王子グッズが売り出されてるのですが、私はこんなかわいいストラップ↓を頂きました。
DSC00280.JPG

パコと魔法の絵本 PHOTO STORY BOOK (ぴあMOOK)

パコと魔法の絵本 PHOTO STORY BOOK (ぴあMOOK)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ぴあ
  • 発売日: 2008/08/29
  • メディア: ムック

ガマ王子対ザリガニ魔人―パコと魔法の絵本

ガマ王子対ザリガニ魔人―パコと魔法の絵本

  • 作者: 堀米 けんじ
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 大型本
パコと魔法の絵本 (幻冬舎文庫 せ 3-1)

パコと魔法の絵本 (幻冬舎文庫 せ 3-1)

  • 作者: 関口 尚
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 文庫
パコと魔法の絵本 オリジナル・サウンド・トラック

パコと魔法の絵本 オリジナル・サウンド・トラック

  • アーティスト: 包帯バンド,ガブリエル・ロベルト
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2008/09/10
  • メディア: CD
マスタッシュ/memories(original version)

マスタッシュ/memories(original version)

  • アーティスト: 木村カエラ,木村カエラ,二杉昌夫,ガブリエル・ロベルト
  • 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2008/09/10
  • メディア: CD
メイキング オブ 「パコと魔法の絵本」と「いつもワガママガマ王子」

メイキング オブ 「パコと魔法の絵本」と「いつもワガママガマ王子」

  • 出版社/メーカー: よしもとアール・アンド・シー
  • メディア: DVD

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落下の王国 [芸術性の高い映画]

「落下の王国」を汐留FSにて観て来ました。

公式映画サイト:http://www.rakka-movie.com/

13の世界遺産、24カ国以上のロケーションを使った、冒険物語です。失恋し自殺願望のある落下して骨折したスタントマン青年が、同じように落下して骨折した移民の少女と病院で会い、少女に自分の作った物語を語っていくうちいつしかその青年の再生の物語にもなっています。

ロケは主に、ナミビア、インド、南ア、フィージー、バリで行われ、特にインドではアグラのタージマハール、アグラ城、ファティプル・シークリー、デリーのフマユーン廟、ウダイプールのレイクパレス、ブルーシティといわれるジョドプールが使われて、すごく素敵でした。ブルーシティといわれるジョドプールは砂漠のあるラジャスタン地方にあって、当時暑くて行かず、せいぜいピンクシティと言われるジャイプールまでしか足を伸ばさなかったのですが、今度インドに行く時には是非、ジョドプールにも行ってみたいとこの映画の映像を見て思いました。今まで何度も足を運んできたインドなのに、一体どこを観て来たのかなあ!?と我ながら思います(トホホ)。

ロケ地に世界の素敵ないろいろな場所を使ったということも素敵でしたが、アカデミー賞受賞デザイナー、石岡瑛子さんの華麗な衣装がまた見逃せません。風景と共に衣装が美しく、映像そのものが美しい。芸術面ではいうことなしの映画です。
そして最後にスタントマンたちの栄光を讃えるように、体当たりの演技で活躍する陰のヒーローたちの白黒映画が次々流されていました。何とも素敵でした。 
お勧めです。
インドの写真を探してブログに載せようとしましたが、探すのが面倒くさくなってギブアップ。おおざっぱですが、1990年に行ったインド旅行の写真の中にアグラやデリー、ウダイプールのその舞台となった場所がありますので、こちらをご覧ください↓。

映像の魔術師と言われるターセム↓の作品。この「落下の王国」もこのターセム作品だから美しかったのかもしれません。
The Cell

The Cell

  • 出版社/メーカー:
  • メディア: DVD

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