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存在のない子供たち [レバノン映画]

レバノン映画「存在のない子供たち」(Capernaum)を観ました。

存在のない子供たち [Blu-ray]

存在のない子供たち [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2020/05/08
  • メディア: Blu-ray

2018年の作品。IMDb評価は8.4。ベイルートのスラム街で暮らす12歳の男の子の目を通して見る貧困からくる児童労働、児童婚、人身売買、不法滞在を浮き彫りにするドラマ映画。「世話できないなら子供を作るな」「僕は両親を訴えます」という男の子の真剣なまなざしが痛々しかった。

ゼインはたくさんの兄弟姉妹のいる中で育ち、毎日他の子たちと道端でビーツジュースを売って稼いでいた。両親が役所に出生届を出さなかったために、何歳なのかもわからない(後から医師の診察で初めて12歳くらいだろうと言われるが、どう見ても小さくて7,8歳くらいにしか見えない)下の妹が11歳になった時生理が始まると母親に知られないように妹に色々教える。そして一緒に家を逃げようと話す。しかし妹の生理はバレてアサードという店主に嫁入りする話が整い、妹は11歳という年齢で結婚させられる(後に妊娠し出血多量で病院に運ばれたとき、彼女もまた出生届がないばかりに病院で診察を拒否されそのまま亡くなる)ゼインは妹がアサードのもとに行ってしまいやり切れずに家出をする。(スーパーマンの親戚だという)ゴキブリマンの格好をしてるおじさんが下車した遊園地で、ゼインも後を追うように下車。そこで一生懸命仕事を探すが大人は相手にしてくれない。何日か顔を合わせるうち清掃してるエチオピア人のシファラが、ゼインを彼女の家に連れて行ってくれた。彼女には乳飲み子がいてゼインは日中家でその乳飲み子の世話をするよう頼まれる。程なくしてシファラは滞在許可書が切れ偽造許可書を作るにも高くて作れずそのうち捕まり収容所へ。戻ってこないシファラをゼインが乳飲み子を抱えながら探すも全く見つからない。墓の花を盗んで花売りしてた女の子がお金を貯めてアスプロの世話でスウェーデンに行くという。ゼインもトラマドールの薬を粉にし海水に混ぜて大人に売り、お金を貯めて海外に出たいと夢を見る。そしてアスプロに頼むと出世証明書が必要だと言われる。アスプロに何度も乳飲み子を渡してくれたらお金を払うと言われていたのでゼインは乳飲み子を世話しきれず渡してしまう…。ゼインもストリートチルドレンとして収容所に。そこから生テレビ番組に電話し「両親を訴えたい」「世話できないのなら産むな」と言い、実際の法廷で両親と争う…。

発展途上国、否、今は開発途上国と言ってますが、開発途上国にどこでもありそうな児童労働、児童婚、人身売買を扱っている映画でした。「貧しい国の子だくさん」と良く昔言っているのを思い出しました。「女性が教育を受けることが大切」「経済のテイクオフが必要」とも言われてました。それは今も同じ解決策なのか?今も問題は続いているけれど。私はベイルートに行ったことがないのですが、1990年代に行ったインドや中国で児童労働をよく目にしていたし、旅行中出会ったフランス人がストリートチルドレンを救うために世界中を回っていたのを思い出します。私の父親の世代(80歳代)は亡くなった父の話からすると日本でも児童労働が当たり前のようでした。学校に行かせてもらえた分ゼインよりはましだけど、「家に戻るとたくさんの家の仕事が待っていた」と言っていたのを思い出します。ドラマの「おしん」では明治時代、丁稚奉公で幼い時に家を出されて働き、考えてみればそれも人身売買だった。いい時代にいい国に生まれたことを感謝しないといけないと再認識させられ、こういった子供たちが救われる日が早く来ればいいと思いました。naonaoお勧め度★★★★★


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