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ボビー [アメリカ映画 ドラマ]

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映画公式サイト:http://www.bobby-movie.net/

「ボビー」観てきました。

メッセージ性の強い、素晴らしい作品でした。映画の最後に流れるジョン・F・ケネディの実弟、ロバート・F・ケネディ(ボビー)の演説が何より素晴らしかった。この映画のほとんどを占めたのが、映画「グランドホテル」や「THE 有頂天ホテル」を連想させるホテルに集った人々のいろんな事情、人間模様で、それぞれが素敵なエピソードを持ち、心に響くセリフのオンパレード。名場面がたくさんありました。だからこそ最後に流れるボビーの演説が余計に心に染みました。

心に残った名場面のいくつかを紹介しますと、友だちがベトナムに兵士として送り込まれないように偽装結婚をしてあげようとする女性がいて、式を挙げるために美容室を訪れた彼女に、美容師が「あなたは世界で一番美しい」と声を掛ける場面。そして年を取った有名な歌手が酒びたりでヘビースモーカーで、髪をセットしてもらってる間暴言を吐き、美容師を傷つけたと知ったとき、「あなたはいつも親切で親身になって相談に乗ってくれた。本当にごめんなさい」と謝る場面。また世間では「いい夫を持ち幸せ」と言われてるこの美容師が、実際は夫の浮気に悩み、夫であるホテルの支配人の髪を直すとき、「私たち夫婦は普通の夫婦のような浮気はしない。私たちの結婚は普通の夫婦でない」と言い、自分がどれほどいい夫を持って幸せか、夫の前で淡々と説明し、それを夫がついに聞いていられなくなり立ち上がった場面。あるいは、キッチンで働くメキシカンの男性が仕事のために楽しみにしていた野球のチケットを黒人の男性にタダで譲ったとき、黒人男性が「君は目を盗んで野球を観にいく事だってできる。・・でもそうしない。君は未来の円卓の騎士のアーサー王だ。・・・慈悲があり物事を良く理解してる。アーサー王だって昔はただの若者だった。・・・(頑張れ)」と単なる感謝の言葉以上のエールを送った場面。そして、一組のカップルの男性が女性に「私たちは物に埋もれてしまってる。でもこの素敵なドレスよりも、この素敵な靴よりも何よりも、君こそが素晴らしい」と言う場面。結構胸にジーンと来る場面が数々ありました。

他にも大統領選を支えるスタッフや長年アンバサダーホテルで働き退職して毎日チェスを打つ老紳士、夢をもってLAに出てカフェで働く女の子、ホテルの電話オペレーター、LSDで往ってしまってる若者、と様々な人々が出て、楽しませてくれました。

そして、1968年当時キング牧師を失った後、人々がどれほど大統領としてのボビーを望み、どれほどボビーを失った損失が大きかったかを再認識させてくれる映画でもありました。「暴力が暴力を生み、人種、思想、性、国によって様々な差別があり、人々が憎しみあって戦争を起こす。敵である人も皆、あなたと同じ人間であり、同じようにより良い生活を望み生きている。・・・憎しみの連鎖を止めなければならない」という主旨を切々と訴えるボビーの演説は聴き応えがあります。ボビーが銃で撃たれ、周りの人々も流れ弾を受けて倒れ、アンバサダーホテル内がパニックとなる中、ボビーの演説がバックで永延流れます。映画を観ている会場内では涙を流す人も多く、ボビーの演説に胸打たれない人はいないでしょう。それくらい素晴らしかった。キング牧師やガンジー、ダライラマ法王、それに先日観た「墨攻」に出てくる墨家の思想を彷彿とさせました。このメッセージ、是非ブッシュに聞かせてやりたい。残念ながらゴールデン・グローブ賞2部門ノミネートだけにとどまり、アカデミー賞でのノミネートもない作品ですが、エンドロールが流れても尚、お客さんはほとんど席も立たずにスクリーンを見入っていました。それだけでもどれほど素敵な映画か、想像してもらえると思います。

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映画を見るまでは末弟のエドワード・ケネディと勘違いしていて、チャパクディック事件(別荘に行った帰り同乗していた秘書を事故死させた、今もたくさんの謎が残っている事件)を扱ってる映画なのかと思ってました。この事件もボビーの暗殺も今もなお謎が大いに含まれてるとのこと。もちろんJFKの暗殺が謎だらけなのは有名な話ですが、こちらは落合信彦氏の「2039年の真実」によると2039年になったら真実が発表されてもいいことになっているとのことなのでどんな真実が隠されてたのか是非知りたいところです。

つい最近アルゴアが大統領になっていたら世の中変わっていたなあと思ったばかりでしたが、この映画を見てボビーが大統領になっていたら、こちらもまた世の中変わっていただろうなあと思いました。


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コメント 7

pi-ro

とてもおもしろそうな映画ですね。映画館にはかなり行ってません・・・。
ゴア大統領に一票です。^^
by pi-ro (2007-02-15 19:44) 

naonao

>pi-roさん、こんばんは。
アルゴア氏、魅力的な人ですね!!世の中を本当に良くしてくれる人が上に立ってほしいと強く思うこの頃です。
この映画はボビーの魅力も然ることながら、ホテルでの人々の様々な人間模様など、短いセリフの中に人生が凝縮してる感じで素晴らしかったです。お勧めです。
by naonao (2007-02-15 22:21) 

TaekoLovesParis

ボビーことロバート・ケネディ司法長官の映画ですね。
ずっとケネディ政権をささえて、次のジョンソン政権でも司法長官でしたね。
悲劇のケネディ家ですから、映画になる要素は十分。
(こんなに家族が次々亡くなるって日本では信じられない話)
有頂天ホテル的要素をちりばめて、名場面が多いのは、見やすくていいですね。見たい映画リストにいれとかなきゃ。
by TaekoLovesParis (2007-02-17 14:32) 

naonao

>TaekoLovesPa.. さん、こんにちは。
ロバートのニックネームはボビー、ウィリアムのニックネームはビリー、レベッカのニックネームはベッキー・・・と何でそうなるの!?といつも思うのですけど(笑い)、そうです、ロバートケネディの映画です!!ケネディ家は何だか呪われてる感じがしますね。でもあまりこの映画はケネディ家とは関係なく、ボビーの名演説とホテルでの人々にスポットを置いてます。
by naonao (2007-02-17 15:48) 

naonao

>amachaさん、nice!ありがとうございます。
by naonao (2007-02-18 21:13) 

先日はご訪問ありがとうございました!
私、個人的にメキシコ従業員のホセと黒人シェフとのやりとりが好きです。
by (2007-03-14 19:15) 

naonao

>しろくま子さん、こんばんは。
いろんな人たちの人間模様素敵でしたね!!
by naonao (2007-03-14 20:57) 

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