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一人っ子の国 [ドキュメンタリー]

アメリカ映画「一人っ子の国」(One Child Nation)を観ました。

一人っ子の国 (原題 - One Child Nation)

一人っ子の国 (原題 - One Child Nation)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/11/08
  • メディア: Prime Video

2019年の作品。IMDb評価は7.5。サンダンス映画祭のドキュメンタリー部門でグランプリ獲得。中国生まれの女性二人の監督による1979年から2015年の35年間にわたる中国の一人っ子政策の影響を探るドキュメンタリー。知られてない様々な問題が浮き彫りになり、その弊害が怖くもありました。

一人っ子政策真っただ中の1985年当時、ポスターにもマッチにもお菓子の箱にも身の回り品の何もかも、一人っ子が素晴らしいと宣伝していた。劇の演目でも一人っ子を讃える内容が。また女性には不妊手術を迫り、それに従わない者には家の取り壊し。元村長は言う。「田舎の役人は絶対に上の命令を聞かなかければならない。不妊手術させることは絶対命令であった。伝統的に男の子をみんなが欲しがっていた」と。また不妊手術、中絶手術に携わってきた助産婦が言う。「今は不妊治療に取り組み命を授ける仕事をしている」という。「かつて一日20件以上の不妊手術中絶手術をしてきて5,6万人の子供の命を奪った。政府に言われた仕事であったとしても悪事を行ってきたことには変わりはない。命を授けることで罪が消えると僧侶に言われ、今では不妊治療をしてたくさんの人から感謝旗をもらうほど感謝してもらっている」と。

計画生育委員で優秀労働者としてたくさん表彰され、江沢民や胡錦涛と写真に納まっている女性が言う。「間違いなく政策は正しかった。この政策がなければこの国は滅びていた。これは人口戦争だった」と。「8~9か月で中絶させた。泣き叫び手術途中なのに逃げ出す女性もいた」と。芸術家のワン・ペンは言う。「長期間にわたる洗脳により一人っ子政策がなされた」と。1996年彼はごみをテーマに創作活動していた。「ごみの中から黄色のビニールに包まれて捨てられた胎児を見つけた。命の大切さを考えてほしい。一人っ子政策とは何か理解してほしい」と言い、ホルマリン漬けの胎児、殺されたのに笑顔の胎児のホルマリン漬けを作品として作った。

監督の一人の女性の家では「江西省の田舎であったため、一人目と二人目の間を5年空ければ二人目もOKという策を取っていた」という。そのためその女性監督の下に5歳離れた弟がいる。おじいちゃんたちは「間違いなく男の子が欲しかった。女の子はどうせ他家へ嫁に行くから」という。弟は「自分だけいつもえこひいきされていた。姉が働き自分の世話もし学校に行かせてくれた」という。「女だったら間違いなく捨てられてた」と。娘を出産した叔母は「泣いてる娘を捨てるにもただただ生きてほしいがために人身売買の仲買人に自分の娘を託した」という。その人身売買の仲買人は刑に服し今は出てきて警備員をしていた。その元仲買人は言う。「1万人くらい養護施設に連れて行った。車で回っていると1日平均4,5人捨てられていた。電車で遠出して広東や湖南のほうからも連れきたこともある。1人200ドルで引き取ってくれた」と。この子供たちは国外へと出され養子縁組されていたのだ。1992年からアメリカは本格的に中国からの養子をとるようになったという。

「施設に売られた子供たちは一体いまどこに?」と調べを進める監督。アメリカ人と中国人女性の夫婦が作った実子探しをする会社が存在することを知る。彼らが語る。「養子縁組は1万ドルから2万5千ドル。実は施設は当時偽装していた。子供たちの発見された場所や状況など同じ場所や同じ状況を使っていることがわかった。本当は捨てられた子供でなく孤児でもなく拉致された子供もいる」と言う。また「役人が子供と一緒に隠れていたおばあちゃんにこの子を差し出さなければ2000ドルもの大金を罰金と称して請求したケースもある」という。「また今DNAテストをして1組だけマッチしたが、子供の方が実の親に会いたくないとメールで送ってきた」という。「アメリカの育ての親も今になって中国に子供たちが戻されるのではないかと心配するケースもあり、連絡を取りたがらない」という。アメリカに双子の姉がいることを知った妹はSNSで繋がったが「怖くて中国に来ないか?と誘えないし、姉がアメリカのどこに住んでいるのかも聞き出せていない」という。

一人っ子政策は終了し、今は2人を推奨しているという。「一家で2人子供を育てる」「2人は素晴らしい」といった具合に町中の壁にもテレビでも2人を推奨する標語で溢れている…。

胎児が手術によって黄色のビニールに入れられ捨てられてるその映像はショックでした。また捨てられてもいないのに拉致によって養子縁組の商売の道具にされた子供もいるというのも酷い話でした。一人っ子政策のその闇の部分がよくわかり、当事者の人たちは大変な思いをしてきたのだなあと思いました。中国は色々あってやはり怖いなあと改めて思いました。naonaoお勧め度★★★★★

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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2023-10-24 15:55) 

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