花はどこへいった [ドキュメンタリー]
(C) 2007 SAKATA Masako
「花はどこへいった」を広尾の祐浩寺にて見てきました。ブロガー限定試写会でした。
映画公式サイト:http://www.cine.co.jp/hana-doko/
ドキュメンタリー。ベトナム戦争で使われた枯葉剤で今も苦しむベトナムの人々を描きます。はっきり言って全く楽しい映画ではありません。アメリカの犯した罪の深さをイヤと言うほど知らされる映画です。ベトナム戦争時に撒いた枯葉剤のために現地ベトナムの人々が3世代にもわたって手がない、足がない、目がない、頭が肥大したり、脳障害をもったり・・・・と今もベトナムのそこかしこにはたくさんの障害をもった人たちが生きていて、家族の献身的な世話の元に暮らしている様をカメラは追っています。
関係する人々はその原因がベトナム戦争の枯葉剤だと知りつつも、誰を憎んだりすることもせず、わずかなお金さえあれば、手術したり車椅子を買ったりしてもうちょっと楽になるのにと、言います。障害を持った子供のいる家族のほとんどが貧しい家で、家族総出で働きそして障害を持つ子供の面倒を見ています。日本で有名なベトくん、ドクくんはひとつの体に2つの頭で生まれ、手術の末、結局ベトくんは亡くなりドクくんだけが生き残って今は結婚し元気にやっているというニュースもありましたが、彼らのような人たちが今もベトナムにはあちらこちらにたくさんいるという事実がショックでした。ベトくん、ドクくんだけが特別なのではなく、ベトナムに行けばこういう人が五万といるのですから。そして家族の負担にならないように仕事を持って自立できるドクくんのようなケースは成功例と言ってもいいでしょうが、なかなか現実はそうはいきません。
この映画は自分の夫がベトナム戦争の枯葉剤によって50歳代の若い命で亡くなったことを発端に、自ら枯葉剤について調べ、枯葉剤のことを世に知らしめなければと思った坂田雅子さんの製作、監督、撮影、編集による映画作品です。彼女のナレーションが映画全編に淡々と流れます。主な出演は彼女のアメリカ人の夫でありベトナム戦争に行き枯葉剤が原因で既に亡くなったフォトジャーナリストのグレッグ・デイビス、夫の友人であったフィリップ・ジョーンズ=グリフィス、枯葉剤、ダイオキシンの恐怖を語るグエン・ティ・ゴック・フォン博士です。
戦争が終わっても尚まだ戦争の傷跡は癒える事がありません。末端の枯葉剤を撒いた人たちは枯葉剤と知らされずに撒き、上層部のほんの一部の人たちが枯葉剤とわかっていたようですが、この罪の重さは計り知れません。哀しい、だからこそ、そんな悲惨な戦争をしてはならない、と強く訴えかけてきます。最後に「花はどこへいった」の曲が流れ、静かだけれど意思堅く、こういった反戦を私たちもずっと謳っていかなければならないと思いました。枯葉剤のことは知ってましたが今なおベトナム社会にこれほど大きく影響が及んでいるとは夢にも思いませんでした。皆が知らなければならない事実だと思いました。
2008年6月14日(土)から7月4日(金)まで岩波ホールにて3週間限定特別上映された後、全国順次公開予定です。配給会社はシグロ。やはり岩波ホールはいい映画をやるなあと感心します。
ところでお寺で試写会をするのっていうのはすごく珍しくておもしろい試みでしたが、残念なことに人の体そのものや人の頭が重なって画面の中央真ん中より下の部分が全く見えない状態でした。すごく残念でした。やはり映画ということがメインなのでそのことを考えると普通の映画を観られる会場のほうがありがたかったかなあと思います。会場の前半分はフロアーにそのまま座ってでしたが、座るのもお尻が痛くなりそうだし、パイプ椅子は人の頭が重なるしで、ちょっと困りました。次回は何かいい工夫をお願いしたいなあと思いました。また会場では三洋電機のプロジェクター、ONKYOのスピーカー・アンプ、キクチ科学研究所のスクリーンの機材を使っての試写会でしたが、こういった機材については実に素晴らしく言うことは全くなかったです。ホームシアター用の機材でもあるので興味ある方は要チェック。シネトレ主催だったので、シネトレを通すと安くしてもらえるらしいです。
The Very Best Of PETER PAUL & MARY Original Greatest Hit
- アーティスト: ピーター・ポール&メアリー
- 出版社/メーカー: ファーストトレーディング
- 発売日: 2006/05/25
- メディア: CD
あの日、ベトナムに枯葉剤がふった―戦争の傷あとを見つめつづけた真実の記録 (くもんのノンフィクション・愛のシリーズ)
- 作者: 大石 芳野
- 出版社/メーカー: くもん出版
- 発売日: 1992/11
- メディア: 単行本
戦場の枯葉剤―ベトナム・アメリカ・韓国 (グラフィック・レポート)
- 作者: 中村 梧郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1995/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
凄くいい映画をご覧になられたんですね。
私が、受傷後 大変よくしていただいている恩師の中に
あのドクちゃん、ベクちゃんの
分離手術の執刀医をされた先生があり、
機会あるごとに色々とお話しが聞け、
人一倍関心のあることの一つなんです。
これからもよろしくおねがいします!
by miopapa (2008-06-10 18:32)
この記事を読んで人間の愚かさを感じますね。なぜ戦争するのでしょうか。戦争中は、異常な精神状態になる大国への警告ですね。
by たいちさん (2008-06-13 13:39)
>miopapaさん、ありがとうございます。
すごいですね。ドクくん、ベトくんの執刀医とお話されてるなんて。
この映画にはドクくん、ベトクンは出てきませんが、同じように枯葉剤のために苦しんでるたくさんの人たちが出てきます。
miopapaさん、こちらこそよろしくお願いします。
>たいちさん、いつもありがとうございます。
本当に愚かとしかいいようがありません。
ベトナムのこの状況もアメリカ政府は無視し続けてます。
ベトナムだけでなくベトナム戦争に行ったアメリカの兵士たちも戻ってからも精神異常をきたしてるという話もあることだし(全ての戦争においてでしょうが)、戦争が終わっても人々の苦しみはまだまだ続くってことですね。
>xml_xslさん、nomameさん、toshiさん、miffyさん、いつもnice!ありがとうございます。
>
by naonao (2008-06-13 21:40)
>りゅうさん、いつもnice!ありがとうございます。
by naonao (2008-06-25 21:36)