金子みすゞ展~みんなちがって、みんないい~ [絵画・美術館展・博物館展]
今週月曜まで日本橋三越でやっていた「没後80年金子みすゞ展~みんなちがって、みんないい~」を観てきました。
金子みすゞは大正期から昭和初期を代表する童謡詩人で、今や彼女の詩は小学校の教科書にも必ず登場するとのことで、たくさんの詩を通じて彼女の優しい眼差しが伝わる展覧会になっていました。
「みんなちがって、みんないい」といった言葉が大正から昭和初期に生きた人が発した言葉であるというのが何より驚きでした。
私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のやうに、
地面(じべた)を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のやうに、
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
展示は彼女の生まれ育った仙崎や下関の当時の資料や遺稿手帳、そして彼女を愛する63人の著名人のメッセージや彼女の詩から受けたインスピレーションで作品を作るといったものになっていました。著名人の直筆の文や、彫刻、絵画、刺繍、楽譜、歌、朗読といろんな形で作品にしていたのが面白かったです。
その作品を寄せた人たちとは、漫画家の里中満智子、イラストレーターのやなせたかし、相田みつお館長の相田一人、児童文学作家のあまんきみこ、写真家の荒木経惟、女優の池内淳子、松たかこ、藤田朋子、小林綾子、テレビプロデューサーの石井ふく子、講談師の一龍斎春水、画家でコメディアンの片岡鶴太郎、作家のリリー・フランキー、ソプラノ歌手の佐藤しのぶなどなど。影響を受けた詩とともに彼らの作品を観るのは思いのほか楽しくいい企画だなあと思いました。
大漁
朝焼け小焼だ
大漁だ
大羽鰮(いわし)の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮のとむらい
するだろう
金子みすゞの詩はこちらでたくさん読むこともできます(ちょっと開くのが重いですが)→http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/5778/
今回展覧会を通じて初めて彼女の一生に触れたのですが、26歳という若さで毒をあおり自殺したのがなんともおいしい感じがしました。夫と別れ、子供の親権がその時代の女性になく夫に子供を連れて行かれその抗議の意味で自殺という手段をとったらしいのですが、どんなことがあっても最後まで生を全うして欲しかったです。
週末は彼女の詩集を読んでほっこりとした気分になりたいと思います。
明るいほうへ―金子みすず童謡集 (JULAの童謡集シリーズ)
- 作者: 金子 みすゞ
- 出版社/メーカー: JULA出版局
- 発売日: 1995/03
- メディア: 単行本
私は数年前、金子みすずがブレイクした時、テレビドラマで見たような気がする程度ですが、妻はファンとのことです。
by たいちさん (2011-02-18 21:36)
記事をみて、萬太郎がよく歌ってる歌詞だなあと思ったら
NHKでやっているんですね。なるほど
おおたか静流さんが歌っていました。
http://www.youtube.com/watch?v=ZwPMWBC6qOQ
by 李 萬中 (2011-02-18 23:21)
私の知人も観覧したそうです。
とても良かったみたいですね。
by nomame (2011-02-19 11:31)
金子みすずさんのドラマを観ました。
優しい詩で、大好きです^^
by duke (2011-02-20 00:47)
>nice!をくださった皆様、ありがとうございます。
>たいちさん、ありがとうございます。
松たかこの主演ドラマですね。ドラマをやっていたのは知ってますが、私は観ていません。私の友人もブレイクした時詩集を買って読んでいて私に勧めてくれましたが、忙しくてうやむやにしていました。
>萬中さん、ありがとうございます。
すごーい。今の子供たちは歌ってるんですね。歌があるのは知ってましたが子供たちにしっかり浸透しているなんてすごいです。
>nomameさん、ありがとうございます。
本当に思いのほかいい企画の展覧会でした。期間が短かったのですが、時々あちこちで開催されてるようです。
>dukeさん、ありがとうございます。
優しい詩は気持ちがほっこりしますね。手元において時々読みたいです。
by naonao (2011-02-25 20:39)