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チャンドラー・本多勝一の本 [本]

最近読んだ本の紹介です。

村上春樹の本は大好きでほとんど読んでますが、チャンドラリアン(チャンドラーの大ファン)の村上春樹が翻訳したチャンドラーの本はまったく読んだことはありませんでした。もちろん別の方の訳のチャンドラーの本も同様です。最近角幡唯介の本に熱中し、彼のブログもチェックするようになると(ホトケの顔も三度まで http://blog.goo.ne.jp/bazoooka?fm=rss )彼もまた結構チャンドラーの乾いた文章が好きだと言ったようなことを書いており、実は前々回ブログに書いた谷口氏もよくチャンドラーのことを口にしていたと思いだして、これを機会に読むことにしました。

ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ

  • 作者: レイモンド・チャンドラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/03/08
  • メディア: 単行本
さよなら、愛しい人

さよなら、愛しい人

  • 作者: レイモンド・チャンドラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/04/15
  • メディア: 単行本

大いなる眠り

大いなる眠り

  • 作者: レイモンド チャンドラー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/12/07
  • メディア: 単行本
その結果・・・。ハードボイルド小説ですが、なかなかその良さがわかりません。やっぱり男の世界かな!?読んでいてもその世界に入っていくことができず、クールでスマート、すべてにそつがなく恰好いいのかもしれないフィリップ・マーローなのですが、不思議とその内容がすんなり頭に入ってきません。そのためストーリーすら追えないトホホな状態・・・。まあ短い時間で途切れ途切れに読んだのもいけなかったのかもしれませんが、それにしても今一つでした。探偵もの、小説としてとして単純に楽しめず、私にとってはシャーロックホームズ(コナン・ドイル)とかポアロ、ミス・マープル(アガサ・クリスティ)のほうが断然好きだと思いました。他にもエラリークイーンや松本清張のほうが夢中になって読めます。
もちろん文章の言い回しで格好いいセリフなんかもあって渋いなあ~と感心したりもしたけど、チャンドラーの本は3冊読んで切り上げることにしました。
いろんな人がいいと言ってもやはり自分に合う合わないはあるなあ。チャンドラリアンの方々に顰蹙買うけどこればかりは仕方ない。
またこれも角幡さんの影響ですが、彼のブログに沢木耕太郎氏との対話のため、沢木氏と会うまでに課題図書として沢木氏があげた本を書いていました↓。これを読みました。

さもなくば喪服を (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)

さもなくば喪服を (ハヤカワ・ノンフィクション・マスターピース)

  • 作者: ドミニク・ラピエール
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2005/06/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
極限の民族―カナダ・エスキモー,ニューギニア高地人,アラビア遊牧民 (1967年)

極限の民族―カナダ・エスキモー,ニューギニア高地人,アラビア遊牧民 (1967年)

  • 作者: 本多 勝一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1967
  • メディア: -
「さもなくば喪服を」は1930年代にスペインのアンダルシア地方に生まれた闘牛士エル・コルドベスの半生を描くノンフィクションです。エル・コルドベスが国民的英雄となるまで周りの人たちの証言などを元に本が書かれてます。当然と言えば当然なのですが(時代を考えてもスペイン内線下だったので)、コルドベスが子供だった頃は家が貧しく、毎日仕事と飢えと涙の日々だったと言います。貧しい家の子が出世する唯一の方法こそが闘牛士になることで、見事彼は闘牛士として大成功するのですが、読み書きもできなかったため後年司祭から読み書きを習ったりもしました。私自身10年以上前にアンダルシアに旅行しましたが、そんな貧しさなど想像もできないくらい、アンダルシアはステキな場所でした。今は時代的にもその頃と比較したら断然貧しさが無くなりいい時代になったのだなあと思います。題名の「さもなくば喪服を」とは心配する姉に「泣かないで、今夜は家を買ってあげるよ。さもなくば喪服を」と言ったエル・コルドベスの言葉です。闘牛士は命がけの職業でそのシビアさがこの言葉に凝縮されてます。
また本多勝一の「極限の民族」は面白くてかなり厚い本でしたが(実際3冊分)あっという間に読んでしまいました。本当に素晴らしかった。カナダエスキモーのイヌイットの人たち、ニューギニア高地のダニ族モニ族の人たち、アラビア遊牧民のベルベル族の人たちと一緒に生活した本多の生の声が書かれてます。この3つのグループの中では私は、アラビア半島のベルベルではないけれど、アフリカのモロッコに行ったときに砂漠の町リッサニで会ったベルベル族の家族にお世話になり、滞在中食事をごちそうになっていましたが、本多が一緒だったアラビア半島にいるベルベルの人たちは、どこの民族にもあるギヴ&テイクがなく、テイク&テイクばかりになり、別れるときに別れがたい感情も何も芽生えなかったと言っていたのにはびっくりしました。同じベルベルでも住んでる地域、接してる時間によって違うのかもしれません。またイヌイットが決まった睡眠時間というものがなく好きな時間に皆勝手に寝てたり、時に家の中で用を足し、アザラシなどの切れ端がその辺にあるためその匂いが家の中では大変なことになっているなど結構面白かったです。イヌイットにとって大切なアザラシの呼び名が成長過程によっていくつも呼び名があるのもなるほど~と思いました。ダニ族やモニ族が未開の文明に属する人たちではあっても私たちに通底するものがあるというのもとてもホッとすることでした。1960年代に書かれてるものですが、きっと今でも彼らは大して変わらない生活をしているのだろうなあと思います。写真もふんだん、いろんな資料や音楽の楽譜まで載せてあってとっても楽しい本でした。
そして本多勝一の本は面白いので次に読んだのがこれ↓。

ヒンズーラージ探検記 (本多勝一集)

ヒンズーラージ探検記 (本多勝一集)

  • 作者: 本多 勝一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1996/11
  • メディア: 単行本

戦場の村 (本多勝一集)

戦場の村 (本多勝一集)

  • 作者: 本多 勝一
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞
  • 発売日: 1994/05
  • メディア: 単行本
「ヒンズーラージ探検」はパキスタンのギルギットからおよそ北西の地域の探検で、そこにいる人々も親切でのどかな探検で楽しく読めました。本多氏の本に載っているたくさんの写真から美しい山々や人々の様子などがよくわかります。たぶんここの人たちもその当時と今はそう大きくは変わらない生活だと思えます。私自身は1994年の11月12月ごろパキスタンに行ったときギルギットやフンザに行くつもりでしたが、峠に既に雪が降っているという状態だっため「行く時期が悪い」といろんな人に言われ断念した場所の一つでした。本多氏が本の中で「(ヒンズーラージ地域には)ハリウッドのハンサムな男優さんのような青年がいる」といったようなことを書いていて、その当時会った旅行者が「中でもフンザにはブルックシールズ並みの美少女がいる」と言っていたのを思い出しました。「アレキサンダー大王の末裔と言われる人たちがヒンズーラージに住んでいる」との本多氏の記載もあり、私自身が行ったチトラールもそういえばアレキサンダー大王の末裔の人々だったなあと思い出しました(しかもチトラールの人々は非イスラム教徒でもある)。本のあちこちにそういえば・・・と思うことが重なり、楽しく読んだ本でした。いつか私もこのヒンズーラージ全体の地域に行ってみたいなあと思いました。
また「戦場の村」は本多氏がベトナム戦争時に都市や田舎、山岳民族の人たちやメコンデルタの農民の人たち、アメリカ韓国側の兵隊側、解放戦線側と場所を変えてはそこの人たちと生活を一緒にする体験が書かれてあり、とても興味深く読みました。目を覆いたくなるような写真も載せてあり、無差別に焼き払われる農家や略奪のこと、病院で治療を受けてる人たち(ベトナム人もアメリカの兵士も両方)のインタビューなどもあるので、ベトナム戦争がいかに普通の人たちを巻きこみ酷い戦争であったかがよくわかります。
ノンフィクションものも結構面白かったので、これからノンフィクションももっと読んでいきたいと思いました。

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コメント 3

たいちさん

私も好きな作家は集中して読み漁る性質ですが、自分に合わなくてもチャンドラーを3冊も読むとは、立派ですね。
by たいちさん (2013-02-22 16:47) 

miffy

naonaoさんはハードボイルドものダメですか?
私はチャンドラー好きです。
元々はボギーがフィリップ・マーロウを演じていたので
興味を持ったのですが・・・
by miffy (2013-02-22 19:49) 

naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。

>たいちさん、ありがとうございます。
それぞれが賞を獲ったり、映画化されたしてるので、最低この3冊くらいは読まないとと思いました。でも今一つでしたね。

>miffyさん、ありがとうございます。
ボギーは「三つ数えろ」でフィリップ・マーロウを演じてますね。「カサブランカ」のリックもフィリップ・マーロウばりに渋くて格好いいですが、たぶん映画と小説には隔たりがあるのかもしれません。
by naonao (2013-02-27 22:53) 

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