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ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑 [絵画・美術館展・博物館展]

10月21日~12月10日まで両国の江戸東京美術館でやっている「ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑」の展示会に行ってきました。

版画と違って一点ものしかない肉筆の浮世絵が700点近くも見つかり、そのうちの選りすぐりの80点がボストン美術館から江戸東京美術館に来ています。まさに1世紀ぶりの里帰りです。
喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重、菱川師宣・・・・など有名どころがずらり。
一点ものなので今までに見たことのない浮世絵ばかりで、インドの細密画くらい精密で緻密なのにまずは驚きました。それに色が美しい。色彩が本当に鮮やかで、古さなど微塵も感じさせません。よくもまあこんなに素晴らしい色が残ってるものだと感心しました。

特に目を惹いたのは、葛飾北斎の描いた「龍虎」それに「龍蛇」
龍と虎、あるいは龍と蛇が向き合ったほとんど墨絵のような絵なのですが、これがもともと提灯だったため、元の提灯に復元し展示されていました。
これは、長い間保存のために解体され絵が平らになっており、元の姿がさっぱりわからないまま型を作って何度も何度も試行錯誤し、やっと龍虎、龍蛇の2つの形の違った提灯に復元させた、という代物でした。だから修復士の方々の力作でもあり、見事な復元だったので感激しました。素晴らしかったです。
またこの龍と虎、あるいは龍と蛇の意味するところは、男性原理と女性原理、いわゆる陰陽みたいなものを表し、浮世絵の中にも、ある種の哲学的な要素を入れてることに驚きました。

他にも女性が菩薩を表し、その脇に仏教の言葉が書かれてる浮世絵、水木しげるが影響されたという妖怪絵図のような浮世絵、玄宗皇帝と楊貴妃を描いた浮世絵、李白が滝を見つめる浮世絵など、毛色、主題のさまざまなものがあり、美人画や風景画だけが浮世絵ではなかったのだ、という発見がありました。

それにしてもこんな素晴らしい日本の浮世絵が、ボストン美術館所蔵だなんて残念です。
いいものは海外に流失してしまっているなんて。
少しぐらい戻してもらうことはできないのでしょうか


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Zunko

ご紹介有難うございます。11月末に1週間弱日本に一時帰国する予定ですので、その時に是非見に行きたいと思いました。楽しみです♪
by Zunko (2006-10-31 05:01) 

naonao

Zunkoさん、一時帰国、今回は何年ぶりの帰国でしょうか?
日本にずっといると、今の日本のことをうまく説明できませんが、長く日本を空けてるZunkoさんなら、今の日本の変わり具合をはっきり肌で感じることができると思います。その変わり具合、驚きを、是非またブログにアップして下さい。
by naonao (2006-10-31 16:55) 

はるかぜ

版画の前の絵というのは貴重ですね。日本の絵でありながら日本にはないものというのは残念ですね。でも海外に日本の良さを知ってもらうということでしょうか。私も毎日浮世絵は見て(パソコンの日替わり壁紙で)いますが、原画というのは感動でしょうね。色合いなんかも版画と少々違うんでしょうね。龍と虎についてはいつも不思議に感じていましたが、そんな意味があるのですね。勉強になりました。
by はるかぜ (2006-11-06 10:07) 

はるかぜ

naonaoさん明日の私のブログでこの葛飾北斎の龍虎(陰陽)について引用(いんよう)させていただきます。niceなお話でしたので・・・ご了承くださいませ。
by はるかぜ (2006-11-06 19:57) 

naonao

たぶん龍虎は中国から来てるのではないかなあと思うのですが、調べてみると面白いかもしれません。
私のブログの内容を使っていただけるなんて、嬉しいです。
私もはるかぜさんにはインスピレーションを頂いてることが多いので。
明日楽しみにしてます。
by naonao (2006-11-06 22:39) 

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