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象、必要になったら電話をかけて、大聖堂、ビギナーズ、 [本]

最近まで読んでいた本です。

象 (村上春樹翻訳ライブラリー)

象 (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/01/01
  • メディア: 単行本
必要になったら電話をかけて (村上春樹翻訳ライブラリー)

必要になったら電話をかけて (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 新書
大聖堂 (村上春樹翻訳ライブラリー)

大聖堂 (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2007/03/01
  • メディア: 単行本
ビギナーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

ビギナーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2010/03/01
  • メディア: 単行本
アメリカ映画「ハッピーエンドが書けるまで」を観ていたら、レイモンド・カーヴァーの名前が出てきて、村上春樹が翻訳を長い間掛けてしてきたことを思い出しました。彼の小説を読むだけであまり翻訳本は興味がなかったのですが、これを機会に読んでみるのもいいかなあと思い手に取ってみました。

レイモンド・カーヴァーは短編小説家でミニマリズム(装飾的趣向を凝らさず最低限にする表現スタイル)の名手としてヘミングウェイやチェーホフと並び称されるとのこと。村上春樹はカーヴァ―に実際に会って話しをしているようで後書きにそのことも記載されていました。

レイモンド・カーヴァ―による最後の短編集「象」には「象」のほか「引越し」「誰かは知らないが、このベッドに寝ていた人が」「親密さ」「メヌード」「ブラックバード・パイ」「使い走り」が収められています。別れや貧困、病、死など暗くて重い話。特に「使い走り」はチェーホフの臨終に関して書かれたものでかなり重苦しかった。「必要になったら電話をかけて」にはこの作品のほか「薪割り」「どれを見たい?」「夢」「破壊者たち」が収められていて、これらの作品はカーヴァ―の死後10年後に出てきた未発表原稿をまとめたもの。夫婦を扱った作品で、最初に読んだ「象」よりは気軽に読めました。「大聖堂」の中には、「羽根」「シェフの家」「保存されたもの」「コンパートメント」「ささやかだけれど、役に立つこと」「ビタミン」「注意深く」「ぼくが電話をかけている場所」「列車」「熱」「轡(くつわ)」「大聖堂」が収められていて、成熟期に書かれた粒ぞろいの名篇と言われてる短編がたくさん収められている。確かにこの本が一番良かった。「注意深く」に書かれたアメリカ人の耳垢取りは大変そうだなと思いました。アメリカではドラッグストアにたくさんの耳垢取りの薬が売られてるらしい。日本の竹でできた耳垢取りを教えてあげたい気分でした。「ビギナーズ」は編集者によって大胆な改変や削除が施されていたものを、オリジナル原稿発掘により完全に復元したものが納められている。巻末にはカーヴァーが文章削られて出版される可能性のある作品に関して編集者へ苦悩の胸の内を語っている手紙も載っています。確かに編集者にあまりにも削られてしまった文章はもはや自分の文章ではないと思うのも当然でしょう。「ダンスしないか」「ファインダー」「みんなはどこに行った?」「ガセボ」「いいものを見せてあげよう」「浮気」「ささやかだけれど、役に立つこと」「出かけるって女たちに言ってくるよ」「もし叶うものなら」「足元に流れる川」「ダミー」「パイ」「静けさ」「私のもの」「隔たり」「ビギナーズ」。その中の「ささやかだけれど、役に立つもの」は「大聖堂」にも納められて既読でしたが「ビギナーズ」に収められたオリジナルのもののほうが私は好みでした。より状況なり人の感情がわかる気がして。

村上春樹の文章が好きなのでたぶん彼が翻訳した文章のお陰がとても大きいと思うけれど、リズムがあり読むのが心地良かった。これを機に彼が翻訳した他の作家のものも読んでみようかなあと思いました。

nice!(15)  コメント(1) 

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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2021-08-20 00:04) 

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