SSブログ

コリーニ事件 [ドイツ映画]

ドイツ映画「コリーニ事件」(The Collini Case)を観ました。

コリーニ事件 [DVD]

コリーニ事件 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2020/12/02
  • メディア: DVD

2019年の作品。IMDb評価は7・2。法廷サスペンス。フェルディナント・フォン・シーラッハの同名ベストセラー小説を映画化。骨太で重厚。後半明かされる事実に愕然とさせられます。

トルコ人のカスパーは国選弁護士としてコリーニを弁護することになります。しかしコリーニが殺したのはカスパーの知り合いでもあったマイヤーで、コリーニは長らく黙秘を続けていました。しかし調べが進むにつれ、驚愕の事実が明るみにされるのでした。

カスパーは幼い時にマイヤーの家に遊びに行き、彼を父のように慕っていました。マイヤーの孫でカスパーとは同じ年頃のフィリップと、その姉ヨハナとも仲良くなり、特にその姉ヨハナとは恋に落ちたりもします。しかし交通事故でフィリップは亡くなってしまうのです。コリーニ事件を追いマイヤーを思い出す時、カスパーが少年のときの記憶が断片的に繰り返し映し出されます。カスパーにとっても孫のヨハナにとってもマイヤーは心優しき人でした。でも実際にはマイヤーは元ナチスの親衛隊少佐で、当時コリーニの父を幼いコリーニの目の前で銃殺していました。「1人のドイツ人がパルチザンに殺されたら10人のパルチザンを殺す。2人のドイツ人が殺されたから20人のパルチザンを殺せ」とマイヤーが部下に命じていました。偶然指さされたイタリアのトスカーナ地方のモンティカティーニの人々が犠牲になりその中にコリーニの父がいました。1968年にコリーニとその姉がマイヤーを訴えますが、検察は突然調査を打ち切ります。この事実を基にマイヤーには非がなかったから罪なき人をコリーニは殺したのだと検察は主張します。その時、カスパーは同じ1968年にドイツ議会でドレーアー法が可決していることを突き止めました。ドレーアー法は「謀殺幇助者(計画殺人を手助けする人=ナチスの虐殺に加担した人)はすべて故殺(故意の殺人)とみなす。故殺には時効があり15年」というものでした。この法律のお陰でマイヤーは実刑を免れていました。マイヤーだけでなく、たくさんの戦争犯罪者がこの悪法のお陰で刑罰を免れていました…。

ドイツにはたくさんのトルコ人がいますが、そのトルコ人が主役の映画というのは珍しいと思いました(ネオナチの時には旅行中ドイツから逃れてきたトルコ人にトルコでたくさん会いました)中南米に行ったときドイツからの戦争犯罪者がたくさん中南米に流れて来ているという話を聞いたことも思い出しました。それにしても酷い悪法。この事実を知っただけでもこの映画を観た価値はありました。naonaoお勧め度★★★★


nice!(12)  コメント(1) 

nice! 12

コメント 1

naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2022-05-28 00:02) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。