SSブログ

君、花海棠の紅にあらず [中国ドラマ]

中国ドラマ「君、花海棠の紅にあらず」(原題:鬓边不是海棠红)(Winter Begonia)を観ました。

君、花海棠の紅にあらず DVD-BOX1

君、花海棠の紅にあらず DVD-BOX1

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2021/05/07
  • メディア: DVD
君、花海棠の紅にあらず DVD-BOX2

君、花海棠の紅にあらず DVD-BOX2

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2021/06/04
  • メディア: DVD
君、花海棠の紅にあらず DVD-BOX3

君、花海棠の紅にあらず DVD-BOX3

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2021/07/02
  • メディア: DVD

2020年の作品。IMDb評価は8・7。ドラマ、ブロマンス。1930年代の北平(現在の北京)、京劇を愛する男たちの物語。映像美があり、戦争という不穏な動きがある中で魅力的な人物たちが生き生きと描かれ、京劇の舞台の美しさを改めて感じました。上質で秀逸なドラマ。「琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす」「明蘭~才媛の春」に並び名作です。毎回楽しみであっという間に観終わってしまい、もう一度観たい気分です。

手広く事業を行い資産家である程鳳台(チョン・フォンタイ)(黄焼明・ホァン・シャオミン)は商細蕊(シャン・シールイ)(尹正・イン・ジョン)の劇を観て心奪われる。そして程鳳台は商細蕊との親交を深めていく。劇団員皆で住んで稽古する場所を買い上げ商細蕊に贈り、それから彼が気に入った劇場としての場所も買い取り彼に贈り、彼の舞台を頻繁に観ては食事を一緒に取り、自分の妻に嫌な顔されながら商細蕊を後押ししていく…。

商細蕊は子供の時に親からはぐれて身請けされ、今は亡き師匠に京劇の役者として育てられる。程鳳台の義弟の范漣が知らずに関係を持ち子供を産ませた女性が商細蕊の妹であり、程鳳台は彼の代わりに大金を払ってこの子供を引き取り劇団に置いていた。その子は商細蕊の姪っ子であることが後にわかる。しかし商細蕊の妹は借金まみれの別人を本当の兄と信じて兄の借金の返済に程鳳台からもらったお金を充てていた。商細蕊の妹が京劇の役者を毛嫌いしているのを知った商細蕊は本当の兄だと名乗り出なかった。また姜会長に歯向かっていると言われる中、商細蕊の劇団員が引き抜きされたり、別の劇団員に刺されそうになったり、劇の邪魔をされたりと嫌がらせを受け、才能ある小周子という別の劇団にいる子供が虐待を受けているのを知り自分の弟子にしたり、姉のように慕っていた女性が劇団を出て結婚しその相手に会うとずっと睨みつけたりして皆から心配される。政治家の劉氏の養子になりもした。ライバルのような陳と演技を戦わせ友情も芽生え、陳が失恋から意気消沈していた時に商細蕊は一緒の舞台に誘い演じたが、陳は同じ舞台上で自殺。日本軍が1937年七七事変で北平を陥落すると、商細蕊の世話役だった小来が日本兵に乱暴され亡くなり、寧先生はいたたまれず出家、候先生は日本軍に無理やり公演を迫られ結局それが原因で亡くなる。友人で脚本を書く杜は日本の友人雪之誠を商細蕊に酒の場で会わせ、雪之誠の歌舞伎のお返しに商細蕊が日本の着物を羽織って歌舞伎を舞ったところを写真に撮られてしまう。それが世間に知られ親日家の烙印を押されると商細蕊は具合が悪くなり聴覚まで失う。そんな時、程鳳台は日本軍に駆り出され賊の出る場所を通りながら物資を運んだ後、さらにもう一度自分が開発したトンネルを通って物資を運ぶことになり、前もって曹司令官の長男と打ち合わせトンネルを爆発させることで日本軍に物資を運ばせない予定だったが、程鳳台はその爆発から逃げきれず瀕死の状態となる。程鳳台の昏睡状態が続く中、商細蕊は程鳳台のベッドの脇について看病。憎しみのあまり見舞いに来た日本軍の大佐に刃物で切り付けしょっ引かれる。その時雪之誠に助けてもらう。戦争がいよいよ本格的になる中、程鳳台は意識を取り戻し香港へと旅立つ。舞台に立っていた商細蕊は見送ることができなかった…。

上質な映画を観ているような気分でした。お金もかかっただろうけど映像美が半端なかった。その時代の雰囲気。ワンシーン、ワンシーンが絵になる美しさ。役者は文句の付けようがないくらいみんなうまくて、特に主役の商細蕊(シャン・シールイ)演じるイン・ジョンさんのうまさは格別だった。京劇のことしか頭になく、舞台の外ではやんちゃ坊主で子供がそのまま大人になったような役。たくさん食べるシーンがあって食いしん坊。京劇の女形の姿が女性以上に女性的でその美しさに溢れ、観ていても惚れ惚れだった。よくこんな役にぴったりの人を見つけてきたなあとそれだけでも感心した。もう一人の主役の程鳳台(チョン・フォンタイ)演じたホァン・シャオミンさんは、スマートでやり手で商細蕊に惚れこんで大金つぎ込んで、最後は日本軍に巻き込まれ怪我まで負って大変な役だったけど、すごくダンディでやっぱり役にピッタリでした。彼は何とアンジェラ・ベイビーさんの元旦那さんであることを今回初めて知りびっくりしました。そして12歳も離れた元カップルには一人息子もいると知りました。「月に咲く花の如く」で周瑩の義父役だったリウ・ペイチーさんがここでも同じような大道芸人役で、「家族の名において」で尖尖(ジャンジャン)の友人唐役のホー・ルイシエンさんが劇団員で新聞社社長に嫁いだ女性役で、「鎮魂」で祝紅役のガオ・ユアールさんが商細蕊が男役をしたときに女役をした 兪青(ユーチン)役で出てました。それと商細蕊の世話役で日本軍に乱暴され亡くなった小来役のリー・チュンアイさんがタレントの奥山佳恵さんにそっくりでびっくりしました。キュートで可愛いかった。

ドラマの中で、その時代を反映するようにアヘンを吸ってる役者の先生や西太后の話が頻繁に出てきて、先生の思い出の中に西太后の姿も出て来たりもしてた。日本軍が街中をうろうろしていて悪さもし、程鳳台は資産家で事業者なのでもろに巻き込まれていたけれど、日本軍の大佐や雪之誠の日本語が全然日本語になってなくて、その点だけは何とかしてほしいと思った。韓国ドラマでもあるあるだけど中国ドラマでもそうなのね、と今回思いました。日本人の役は日本語を日本人に吹替えさせてください、と言いたい。そうすれば完璧なドラマ。それだけが惜しい。また京劇の中でその場その場に合わせた演目が演じられていたのが何とも粋だった。自分の言いたいことをその演目のセリフで代弁するという手法。そして纏足はよく小説の中で読んだりしてたけど、映像でこのドラマの中で纏足姿でよちよちと歩く姿を初めて観た。知ってはいても結構衝撃的だった。

京劇は今まで中国の蘭州と北京、台湾の台北、日本の表参道で計4回観ていて、表参道で観た京劇の記録をこのブログで残していました。2009年のことですからもう14年前のことです(他はもっとずっと昔に観てます)。参考までにその時の記事→https://naoazucar.blog.ss-blog.jp/2009-10-22 京劇は優美で艶があって独特の雰囲気あって何とも素敵。このドラマを観てその時のことを色々思い出しました。また生で観られる機会があればいいなあと思います。中国ドラマの中でもトップ中のトップのドラマだったので、たくさんの人に観てほしいです。naonaoお勧め度★★★★★[王冠]

おまけ:陸虎(ルーフー)さんが歌うドラマ主題歌「君、花海棠の紅にあらず」。メロディ、歌い方、使われてる楽器など京劇を思い出させ、まさにこのドラマを体現するような歌で素敵でした。

「鮮やかな花が咲き乱れる在りし日 今残るは物悲しき廃屋 美しき日を如何せん どの屋敷に歓びが宿る この世であなたと私 今生の縁を結んだ 眉間に表れる あなたへの想い」(さびの部分)

nice!(16)  コメント(1) 
共通テーマ:映画

nice! 16

コメント 1

naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2023-04-29 08:28) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。