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さらば、わが愛/ 覇王別姫 [中国映画]

中国、香港映画「さらば、わが愛/ 覇王別姫」(原題:覇王別姫)(Farewell My Concubine)を観ました。

さらば、わが愛 覇王別姫 [DVD]

さらば、わが愛 覇王別姫 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: DVD

1993年の作品。IMDb評価は8.1。日中戦争、文化大革命の時代の京劇役者2人の人生を描くドラマ。カンヌ国際映画祭でのパルム・ドール受賞作品。先日観た中国ドラマ「君、花海棠の紅にあらず」と時代が少し被り同じ京劇の世界を描いていたので、映像の雰囲気がとても似ていました。映画は2時間44分。厳しい養成所時代の訓練と、戦争、文化大革命という時代の波、そして小楼に愛を受け入れてもらえなかった蝶衣の自ら命を絶つ最後の決断が壮絶でした。ぼんやりとした靄のかかっているような映像が、とても幻想的でもありました。

妓楼で春を売っていた母に連れられ京劇の養成所に入れられた小豆子(シャオドウズ)。うまくできないと大人に板で背中やお尻を叩かれ、雪の中を立たされ、手を棒で叩かれる。男の子なので「自分が生まれながらに女の子である」というセリフが言えずまた叩かれる。子供たちは小豆子が女郎の子であることをなじる。辛い目に遭っていた時にいつも石頭が助けてくれていた。ある時、小豆子と別の子供が養成所を脱走し外で京劇を観て小豆子は感動し涙した。「一体どれだけお仕置きを受けたらこの(舞台に立って)素晴らしい名声を受けられるのだろうか」と。養成所に戻ると他の子供たちが自分のせいでお仕置きを受けていて小豆子は「自分一人が悪いので自分がお仕置きを受ける」と言って背中やお尻を出しお仕置きを受ける。その間一緒に出掛けた子供が首を吊り自殺。そして小豆子は程蝶衣(チェン・ディエイー)(レスリー・チャン)と名乗り、石頭は段小楼(ドァン・シャオロウ)(チャン・フォンイー)と名乗り、二人が演目「覇王別姫」でそれぞれ虞姫と覇王の項羽を演じ名声を徐々に得るようになっていく。そして蝶衣が女形で頭角を現していくときにはパトロンから体を求められたりもした…。

蝶衣は小楼が好きなのに、小楼は妓楼の女郎の菊仙(ジューセン)(コン・リー)と付き合い始め結婚する。それを許せないでいる蝶衣。二人で成功を収めていたのに蝶衣は小楼から距離を置き始める。蝶衣はアヘンを吸い始めたりもする。しかし日本軍が北平(北京)に侵攻、その後日本軍が撤退、国民党と共産党が争い、共産党が政権を握り文化大革命が起こると、二人の運命も翻弄されていく。日本軍の前で舞を踊ったと非難され捕まり蝶衣が国民党に裁判に掛けられ、文化大革命時には京劇自体が矢面に立たされ群衆の前で関係者が自己反省させられる。その時小楼の妻、菊仙が女郎であったことが暴露され小楼が「愛していない。彼女とは何の関係もない」と無理やり聴衆の前で言わされると菊仙は命を絶つ。文化大革命も終わりを告げるころ、再び蝶衣と小楼が「覇王別姫」を演じ蝶衣はセリフを間違え「自分が生まれながらに男の子だ」と言い、刀を抜いて自らを切って演目通りに舞台上で命を絶つ…。

蝶衣は母親に捨てられ、その時指が通常より多かったので母親によって余計な指が切り落とされます。その後スパルタ方式の厳しい訓練があり、ほとんど虐待に近いお仕置き、折檻が観ていて本当に痛々しかった。一緒に外に逃げ出して戻って来た子供がそのあとすぐ折檻が嫌で自殺。文化大革命の時に、群衆に女郎だとなじられ「愛していなかった」と夫の小楼に言われた菊仙は絶望して自殺。同性愛を小楼に受け止めてもらえなかった蝶衣も自殺。この映画では3人が自殺します。その意味でも重苦しい映画だった。その上日本軍が来て、その後国民党、共産党と政権が変わり、文化大革命が起きイデオロギーがどんどん変わってしまう時代にあるので、余計に息苦しかった。しかし京劇という素晴らしい芸術世界を描いてもいて、その美しさにやはり魅了された。評価が高く賞を獲っているのも頷ける映画でした。ドラマ「君、花海棠の紅にあらず」を少し前に観てたので、この映画の時代背景も少しは理解してたのが良かったです。ただ(ドラマに描いていない時代で映画に描かれている)文化大革命は1966年~1976年に起こりそんなに昔でもないことを改めて認識しました。大昔に小説「ワイルドスワン」を読んでいますが、勝手に昔に起きたことだと記憶してましたが、今調べてみると案外最近のことで何だかちょっと怖くもなりましたが。ドラマにしろ映画にしろ観る価値あります。naonaoお勧め度★★★★★[王冠]


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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2023-05-31 17:17) 

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