SSブログ

活きる [中国映画]

中国映画「活きる」(原題:活着)(To Live)を観ました。

活きる <HDリマスター版> [Blu-ray]

活きる <HDリマスター版> [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: アメイジングD.C.
  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: Blu-ray

1994年の作品。IMDb評価は8.1。チャン・イーモウ監督作品。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、最優秀男優賞受賞(グオ・ヨウ)。1940年代から1960年代の中国に生きた家族の物語。日中戦争、中国国民党から共産党へ、毛沢東主導の文化大革命と大きく時代が変わった中でたくましく生きた家族。素晴らしい映画でした。

1940年代。資産家の福貴(フークイ)(グオ・ヨウ)は博打に明け暮れる毎日でついに豪邸を手放さなければならなくなる。妻の家珍(ジャーチン)(コン・リー)は幼い娘を連れて一時実家に戻ってしまう。福貴の父は激怒しそのまま帰らぬ人となる。生活費を稼ぐため影絵の興行を始めると、軍人たちに捕まりそのまま家に戻れなくなる。日中戦争があり中国国民党に替わり中国共産党がやってきて、福貴は人民解放軍で雑用係となり仲間の春生と共に影絵を見せたりしていた。家に戻ると母が亡くなり、福貴の家を手に入れた龍二は「反革命分子だ」と言われ公開処刑された。福貴は地主のまま大きな屋敷を持っていたら自分が殺されていたと妻に話す。

1950年代。鉄を供出するため各家庭の鍋が集められる。福貴が人民解放軍から戻った時、娘の風霞が高熱7日間続いて口がきけなくなってしまっていたが、小学生になるとそのためにいじめられるようになる。弟の有慶が姉を庇い悪ガキの頭に麺をかけて仕返しする。その麺屋は共産党がやっていて鍋を供出した家族がこぞって出かけてる麺屋だった。鋼鉄作りをする日、疲れ切って寝ていた有慶を無理やり起こし学校に連れて行く。そして有慶は区長のジープの事故でレンガの下敷きとなり命を落とす。息子を亡くして福貴も家珍も取り乱して大泣きする。その後墓参りをしていると区長がやってきたがその区長は福貴の良く知っている春生だった。

1960年代。文化大革命の時代。春生は区長を辞めさせられ、彼の後を引き継いだ区長もこれから自己批判するため出かけると言う。口のきけない娘の風霞に縁談の話が舞い込む。足の悪い青年で工場で勤めている二喜がそのお相手だった。彼は福貴の家の修理をし毛沢東の絵を壁いっぱいに仲間と描いていった。彼が親の代からの労働者階級なのでこの縁談が好ましいと福貴も家珍も賛成する。結婚式は人民服を着て街を練り歩き毛沢東の語録を胸に皆で写真撮影。その日春生が毛沢東の写真が入った額縁を結婚祝いと称してもってくるが、家珍は自分の息子を殺されたことを未だ許せずお茶を出す気もない。また走資派だから距離を置くように娘婿の二喜からも忠告されるが、夜遅く春生が訪ねてきて福貴の息子を殺してしまった償いに通帳を届けに来て、「妻が自殺した」と青白い顔で語る。通帳を受け取らずに「ちゃんと生きて償ってほしい」と彼を励ます福貴と家珍の二人。その後お産で娘の風霞が二喜と福貴と家珍と共に産院へ訪れるもいるのは紅衛兵の看護師ばかり。彼女たちは学生なので医師がその場にいないことを心配した福貴は二喜に医師を連れてくるよう頼むと、3日も飲まず食わずで「反動分子」と首から段ボールをかけている産婦人科を連れてきた。マントウを7個買いこの医師に食べてもらうと急に具合悪くなり喉に詰まったのかとお湯を飲ませると余計に具合が悪くなってしまった。そのうち風霞は出産し子供の泣き声が聞こえ「3600gの男児が生まれた」と看護師から告げられる。風霞も元気そうだったのでホッとしたのもつかの間、みるみる顔色が悪くなり出血がどうにも止まらなくなり看護師が叫び出す。連れてきた医師に診てもらうことも叶わず娘は帰らぬ人となった。福貴と家珍は息子に続いて娘まで失った。孫と娘婿だけが彼らのそばにいる…。

この時代のこの国にあったからこそこんな風に翻弄されてしまったその悲劇を思います。この映画で描かれている家族が翻弄されてるのはもちろんですが、脇役の人たちのその栄枯盛衰振りが悲惨で怖いものでした。龍二は博打に勝ち豪邸を手に入れてしまったばかりに公開射殺され、春生は区長になったばかりに春生の妻が自殺し彼も後を追いたい気持ちに。春生の後に区長になった人も自己批判をせざるを得ず、福貴の娘の風霞のお産のために連れてこられた産婦人科医も、もうフラフラの状態で自己批判させられ紅衛兵の若い看護師たちにも見下され、空き過ぎたお腹に入れたマントウと水で具合が悪くなり…。1940年代から1960年代の中国。本当に生きてる人たちは大変な人生を歩んできたのだ改めて思います。「さらば、わが愛」「君、花海棠の紅にあらず」「サンザシの樹の下で」とこの時代の映画やドラマを観ましたが、自分が今この時代のこの国に生まれて感謝しかないなあと思いました。naonaoお勧め度★★★★★[王冠]

nice!(14)  コメント(1) 
共通テーマ:映画

nice! 14

コメント 1

naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2023-07-07 23:46) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。