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巡礼の約束 [中国映画]

中国映画「巡礼の約束」(原題:阿拉姜色)(Ala Changso)を観ました。

巡礼の約束 [DVD]

巡礼の約束 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2021/11/26
  • メディア: DVD

2018年の作品。IMDb評価は7.0。妻がラサへの巡礼の旅をしたいと始め、巡礼の途中で亡くなった妻に代わりその夫と前夫の子供が、彼女の意思を継いでラサへの巡礼を果たす家族の物語。四川省からラサへの五体投地、その間に施される諸々、雄大な景色など「ラサへの歩き方」に似たロードムービーでもありますが、映画のトーンが全く違くこちらの「巡礼の約束」は家族の関係にスポットを充て結構シリアスな映画になっていました。「ラサの歩き方」が陽なら「巡礼の約束」は陰という感じでした。

妻が突然ラサに巡礼に行きたいと言い出す。そして実家にも寄って行きたいと。女性二人に荷物を運んでもらい五体投地でラサを目指す。しかし女性二人は彼女たちの実家に寄るとそのまま戻らず、結局後からバイクでやってきた夫や叔父とやってきた前夫の子供が彼女に付き添って巡礼を支えることに。夫は自分の妻が病気であると後から知って巡礼の旅を止めに来たのだが、妻の決心は固く止めることができない。

そもそもこの巡礼は、前夫の生前の夢でもあり巡礼に一緒に行こうと前夫が妻の夢枕に立って見せた夢を契機に始めたものだった。妻は前夫の弔いをしたいのでバッグパックに前夫の遺灰で作った仏像と、二人並んだ写真を大切に持ち歩き、旅の途中で息絶えることを知って前夫の息子にそれを託す。息子は前夫との子供である理由から常日頃今の夫と共に住んではいず、今の夫と前夫の子供はあまり仲も良くない。しかし彼女亡き後この血の繋がりのない二人が、何とかラサの手前3キロのところまでたどり着き、高台から遠くポタラ宮を望み、髪を洗い髪を切り小綺麗に身支度を整えて、これからラサへ入ろうとするところで映画は終わりました…。

妻のその願いを後から知る夫は結構やるせない。妻の心は未だに前夫にあるのですから。寺で供養してもらうとその前夫と妻の写真を引き裂き、妻と前夫の写真を別々に柱に貼ってきたのが良く夫の心を表していました。現夫は前夫に嫉妬している。そして一方前夫の子供は両親がいなくなり、頼れるのはこの義父しかいないわけですが、バラバラに貼ってきたその写真を持ってきて繋ぎ合わせ大切に持ち歩いていたのでした。子供にとっては自分の両親ですからそうするのも当然です。そしてそれを現夫が、子供にとっての義父は目撃している。ラサに念願の巡礼をし終わったら(ガンデン寺に行ってこの写真を置いてくるとも言っていた)、この親子は一体どうなるのかなあとそれぞれの想像に任せる終わり方でした。

四川省のギャロンという山岳地帯からチベットのラサまで。映画「ラサの歩き方」ほど五体投地が映っていず、景色も「ラサの歩き方」のほうが断然美しかった。何よりジョカン寺やバルコル、ポタラ宮などしっかり映りタルチョもたくさん映って華やかでした。大人数で巡礼してるし巡礼の途中では新しい生命が誕生している。でもこの「巡礼の旅」は家族関係が複雑で、キーパーソンである妻が亡くなっている。そこから血の繋がりのない二人の関係性を問う映画だったので、全く趣が違かった。母ロバを亡くした子ロバが子供についてきて結局この子ロバも巡礼を共にしたけど、時々鳴くその子ロバの声が切なく、まるで子供の心を映しているようだった。naonaoお勧め度★★★★

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naonao

>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2023-09-28 14:24) 

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