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終わりなき探求 日本人の恋びと エベレストには登らない [本]

最近読んでいた本です。



文學界 12月号

文學界 12月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 雑誌

村上春樹の「謝肉祭」というタイトルの短編。他に何人かが村上春樹の小説について、いろいろ述べてるものがあり、一気に読んでしまいました。久々の村上春樹の文章。やはり好きだ、その文章が。また他の作家の方が言ってる村上春樹の文章に出てくるジャズのこと、戦争のこと、「羊をめぐる冒険」のこと。それぞれに目の付け所が違くてしかも相当詳しく書いていて、何かすごいなと思いました。ジャズも戦争もそう関心がない私はそんな描写あったけと思ったり、「羊をめぐる冒険」は私自身も思い出深い小説なので、村上作品では一番好きな作品だけど、それでも思うことはやはり違うし、個人個人の体験が違う以上思うことも違って当然だと思い直しました。


終わりなき探求

終わりなき探求

  • 作者: パール・バック
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2019/10/05
  • メディア: 単行本


パール・バックが亡くなってかなりしてから出てきた遺作とのこと。新聞の書評に載っていたので読んでみました。ストーリー展開が楽しくて夢中にさせる。一気に読んでしまいました。裕福な家庭に育った天才少年の半生を描く。舞台はオハイオからニューヨーク、イギリス、パリ、そして韓国の非武装地帯にまで。たくさんの本を読み学び、旅をして人に出会い、自分が何をすべきか悩み、恋をして、書いた小説が認められ作家になるべく周りがそんな感じで動き始め…。大切な父の死、そして愛しい恋人の死なんかもあり、人生の楽しいこと辛いことがたくさん。そして行く先々で裕福な家の人たちに招待されてもてなしを受ける。

パール・バックが病の淵にある状態での執筆だったため、推敲等が足りないらしいのですが、確かにそう感じる部分もあり、それでもとても素晴らしい作品でした。次から次へと夢だらけの人生のページが開かれる感じが、イザベル・アジェンデの「天使の運命」とか、シドニー・シェルダンの「ゲームの達人」を思い出しました。

たくさんの経験を積んだ若者。それでもこれからまだまだ彼の人生が続く…。叶わぬことですが、彼の人生がこの先もまたどうなるのか更に読んでみたい気分です。


日本人の恋びと

日本人の恋びと

  • 作者: イサベル・アジェンデ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/02/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

イザベル・アジェンデはチリに旅行してたときに知った作家でした。当時チリで大ヒットしていたメリル・ストリープ主演の映画「精霊たちの家」の原作者であり、私も旅行中にこの映画を観て帰国してから原作を読みその後も続けて彼女の本を数冊読みました。特に「天使の運命」が良かったので強烈に印象に残っていて、今回パール・バックの「終わりなき探求」を読んでアジェンデの「天使の運命」を思い出し、アジェンデ作品を久々に読みたい衝動に駆られました。やはり彩りのある華やかな作品でした。この作家は何となく縁がある作家だなと実感してます。吉本ばなな(彼女も大好きな作家)も随筆にこの作家の作品について書いていることを知ってビックリしたことがあり、今回もこの本で大好きなダライ・ラマ法王や、チベット難民などの文字が出てきて、ハッとなりました。

この本は、太平洋戦争中、収容所に収監された経験を持つ日系アメリカ人のイチと、ナチスドイツのホロコーストによって親から引き離されてアメリカに渡り親戚に育てられたユダヤ系アメリカ人のアルマの恋の物語です。アルマが大切に残していたイチからの手紙が時々本の中で紹介され、それがとても素敵な余韻を残します。アルマの孫のセツ、老人ホームで働きアルマの身の回りを個人的にお願いされるモルドバから来たイリーナ、アルマのいとこで夫となるナタニエル、老人ホームの入居者で同性愛者のレニー、そしてドクターのキャサリンなど、様々な人が登場し、そのバックグラウンドが実に多彩ですが、それだけでなく世界中の調度品など世界の様々なものもサラリと登場して、その華やかに圧倒されます。そういえばこの作家は世界にはたくさんの華やかなものがあることを教えてくれる、それが魅力だったなあと思い出しました。

好きであってもお互いに違う人と一緒になって、そしていつまでも意中の人を思っている。人生思い通りにいかなくて苦しむけれど、それが人生なのかもしれません。


エベレストには登らない

エベレストには登らない

  • 作者: 角幡 唯介
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: 単行本


角幡さんの久々の本。アウトドア誌「ビーパル」の連載をまとめたものです。「固定観念」が好きでないと著者自身が語るように、冒険であってもGPSを使わない、昔ながらの六分機を使って旅を進めるなどこだわり、スポンサーからお金をもらわない、などなど色々あり、エピソードの一つ一つにそれが結構反映されていて、また今までの著作のこと、家族のこと、冒険のことなどの裏話的なことが書かれてあって(他で読んだ同じ内容もあったけど)これまで彼の本を全部読ませていただいてる私としてはとっても楽しく読みました。40歳前後の揺れる冒険家の心。これからもまだまだ冒険は続くのでしょうが、いちファンとしては、どうぞお気をつけて冒険してまたドキドキワクワクするような本を書いてください、ということ。彼の本は出版される限り読み続けていきたいです。それくらい好き。

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逃げるは恥だが役に立つ おっさんずラブ きのう何食べた? [日本ドラマ]

年末年始にいろんなドラマがやっていたので、いろいろ観てました。結構楽しかった。


用事があって途中までしか観れないドラマもあったので、あとから初めから見直したものもありましたが。


逃げるは恥だが役に立つ DVD-BOX

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: DVD

大ヒットしたときには全然観ていず、年末に再放送したときにチラリと観たらとっても面白くてこれは最初からちゃんと観たいと思いました。「逃げ恥」みくりを演じるガッキーは本当に可愛いし、星野源演じる平匡さんは真面目で純粋でまっすぐな感じがとっても良かった。基本的にラブコメが大好き、そう再認識させてくれるドラマでした。歌もダンスもドラマも良くできています。みくりの妄想部分の色んな場面も楽しいし、結婚とは何ぞや?を突き付けてくる。逃げ恥ロス。また何度でも観たくなる作品でした。


おっさんずラブ Blu-ray BOX

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray
おっさんずラブ-in the sky- Blu-ray BOX

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray

こちらも人より遅れて観ました。続編のin the skyが始まる前に最初のを観て、それから続編をオンタイムで。田中圭演じる春田が本当に可愛い。お人よしでポンコツだけどまっすぐ。「好きになってもいいですか~」と全身ではるたん=春田を好きになる吉田鋼太郎演じる上司の黒澤。笑える。そして憎めません。林遣都くんから千葉雄大くんにバトンタッチされたけど、前作も続編もそれぞれに良かったです。千葉くん演じる成瀬のふてくされぶりもこれまた可愛い。続編の方は更に四宮演じる戸次重幸も加わって三角関係では収まらず四角関係!?それぞれにピュアな恋心に打たれ、笑えて泣けて言うことありません。おじさんであってもラブコメ最高。みんな一生懸命で、一生懸命さは本当に素晴らしいと感動でした。



きのう何食べた? Blu-ray BOX(5枚組)

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: Blu-ray
きのう何食べた?正月スペシャル2020 Blu-ray

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  • 出版社/メーカー: 東宝
  • メディア: Blu-ray

こちらも年末にテレビでチラリと観て、その後正月スペシャルも楽しみにして観て、そして全部観たくなりました。基本二人のゲイの普段のごはんの様子。すごくおいしそうでその上この二人の様子がとってもほのぼので癒される。西島秀俊演じるシロさんは、弁護士で料理が得意で何でもできる。内野聖陽演じるケンジは美容師でちょっと乙女チックでトキメキ度など半端なく。内野さんがすごいはまり役で、思わずうまいと叫びたくなるほど。ドラマ「JIN-仁」での坂本龍馬役以来の内野さんですが、この人本当にうまいんだなあと感心してしまいます。


義母と娘のブルース Blu-ray BOX

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray
『義母と娘のブルース』2020年 謹賀新年スペシャル [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray


「半分、青い」をやっていたとき佐藤健くんが「義母むす」と「半分、青い」の両方に出ていて各々演技が全く違うと話題になっていたので、面白半分に観ていたドラマでもありました。年末に少しまた観てスペシャル版も観て、でも自分がすごく好きというドラマではちょっとないなあと思いつつ、綾瀬はるかが結構好きなので観てしまいました。セリフが堅苦しいのが窮屈なのだと思いました。義母になる一生懸命さは伝わるけど、今一つ。好きな人は絶賛しているけれど、私としては微妙。



【Amazon.co.jp限定】シャーロック Blu-rayBOX(ステーショナリーセット付き)

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
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シャーロック・ホームズは様々あるけれど、そしてBBCのシャーロックに一時期はまりにはまり、主演のカンバーバッチが好きになったけれど、オンタイムで日本版のこのシャーロックも楽しく観てました。原作の設定を少し残しただけでいろんな事件は独自なもの。シャーロック役、誉獅子雄がディーン・フジオカ、ワトソン役、若宮潤一が岩田剛典で彼ら二人の演技は初めて見ましたが、格好良くて配役も良かったです。ちゃんとイニシャルがSHやJWになっているところも考えられている。レストレード警部役には佐々木蔵之介でした。欲を言えば1時間に1話収めるのは詰め込み過ぎ感があり、BBCのように2時間近くやればもっと良かったかもな、と思いました。


「逃げ恥」や「おっさんずラブ」「きのう何食べた?」の続編、あるいはSP版を期待したいです。

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名もなき生涯 [アメリカ映画 ドラマ]

明けましておめでとうございます。

今年もゆるりとブログ更新いたしますので、よろしくお願いいたします。


昨年の年末に渋谷ユーロライブで「名もなき生涯」を観てきました。



ポスター画像


エキュメニカル審査員賞受賞。テレンス・マリック監督作品。第二次世界大戦中、ヒトラーへの忠誠を拒否した男が辿る実話を元に描いた半生。

映画鑑賞後にトークショーがあり、主人公とイエス・キリストとの人生の類似性や、主人公の人物像、監督が謎であることなど、いろんな話が出ました。


舞台はオーストリア。アルプスの山々に囲まれた美しい村で、妻子とともに幸せに暮らしていた農夫。しかし時代は戦争へと突入し、「指導者が悪魔なら国民はどうしたらいいのだろう」と悩む農夫にやがて召集令状も届き、出向くが、どうしても忠誠を誓えない彼は投獄され、最終的には死刑が待っていた…。


内容はとっても重たいものでした。信念を貫くことがどんなことなのか。ただ残虐的なシーンも一部ありましたが、全体的に映像が美しく、自然の美しい風景が残像に圧倒して残り、静かで淡々とした牧歌的な映画の印象がありました。テレンス・マリックはマスコミ嫌いとかで顔さえもインタビューさえも禁止されていて謎の監督と言われているらしいのですが、彼の映画は「アメイジング・グレイス」と「ニューワールド」を観たことがあります。「アメイジング・グレイス」は「名もなき生涯」と同じくキリスト教とか信念、このタイトルの由来についてがテーマで、また「ニューワールド」はやたらジャングルの美しさや鳥の鳴き声みたいなものが際立った印象が残っていて、基本的に神様と映像美に関してがこの監督作品のキーワードなのかもしれません。


近年この映画の主人公となった夫婦の手紙、往復書簡がオーストリアで出てきたことで彼の存在が広く知られることとなり、ローマ・カソリック教会で彼を殉教者として名前を刻むこととなったそうです。

戦時中は教会がヒトラーをも支持し、一般のクリスチャンをも守ることができなかったことも明らかになりました。キリスト教に詳しい人たちによると、この映画はイエス・キリストがまさに歩んだ半生と似たものがあると、解説されていました。キリスト教で大切な麦の育成を詳しく映像にとり、また処刑に至るまで3人の人たちに改心を迫られ(悪魔のささやきが3回)…とクリスチャンが観ればいろんなところに隠された共通点を見出すことができるらしいです。


右へ倣えで生きなかった人生。強い信念で生きた主人公。到底私自身は真似することなどできません。それだけに頭が下がります。が、美しい妻や可愛い子供3人を残して死ななければならなかった、そして残った妻子のことを考えるとやるせません。こういう人たちがいたお陰で、世界はいい方向へと少しずつ動き、彼らは隠れたヒーローだという見方もありますが、どうしても残された人たちのことを考えてしまいます。

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