ロートレックコネクション 愛すべき画家をめぐる物語~Bunkamuraザ・ミュージアム [絵画・美術館展・博物館展]
「ロートレックコネクション 愛すべき画家をめぐる物語」を観にBunkamuraザ・ミュージアムに出かけてきました。23日までの展覧会だったのでちょっと駆け込み状態の鑑賞でした。
19世紀末のパリで、ムーラン・ルージュなどのダンスホールや酒場、娼館などに通い、踊り子や娼婦などを描いたロートレック。今回の展覧会はロートレックのこれらリトグラフのポスターだけに限らず、彼の油絵や雑誌挿絵、そして彼の周辺の人々(ゴーギャン、マネ、ベルナール、ゴッホ、ミュシャ、ボナール、ドニ)の油絵やリトグラフが少しと、彼に似たポスター(リトグラフ)を描くジュール・シェレやアンリ=ガブリエル・イベルスなどの作品113点の展覧会でした。
Bunkamuraザ・ミュージアム ロートレックコネクションの特集ページ:http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_lautrec/index.html
ロートレックの何枚かのポスターは観たことがありましたが、あとは観たことのないポスターや挿絵が山ほどたくさん。ロートレックに影響を及ぼしたジュール・シェレやアンリ=ガブリエル・イベルスのポスター類(リトグラフ)も観たことがなかったのでとても楽しかったです。ロートレックの色が結構黒と赤などはっきりした色彩を使っているのに対し、この2人の色彩はパステルカラー。何だかその色彩に嬉しくなりました。
またトゥールーズ=ロートレック美術館やオーギュスタン美術館、モーリス・ドニ美術館など海外の美術館からの出展よりも国内の美術館(特に兵庫県立美術館、川崎市市民ミュージアム)や聖徳大学からの出展が多いのに驚きでした。日本にはこんなにも多くのロートレックが収集されていたとは。
36年の短い生涯。そして先天的な障害と骨折により足の成長が止まってしまったロートレック。19世紀に描かれたとは思えないほどモダンで粋なポスター。踊り子や演者たちが今にも動き出すようなそんな躍動感ある構図。素敵でした。
ロートレック (ニューベーシック) (タッシェン・ニューベーシックアートシリーズ)
- 作者: マチアス・アーノルド
- 出版社/メーカー: タッシェン
- 発売日: 2001/10/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
トゥールーズ=ロートレック(ちいさな美術館ポストカードブック
- 作者: トゥールーズ・ロートレック
- 出版社/メーカー: 青幻舎
- 発売日: 2009/11/30
- メディア: 文庫
おまけ:
「モヤイはいただいた」LUPIN STEAL JAPAN
ニュースにもなりましたが、12月7日~20日まで渋谷のモヤイ像はなくなっていました。その代わりにこの「モヤイはいただいた」LUPIN STEAL JAPAN の文字が。LUPIN STEAL JAPAN PROJECTが「ルパン三世に盗んでもらいたいもの」を募集してこのモヤイ像が標的に。その後大阪のくいだおれ太郎も盗まれました(今はこちらも返された模様)。本当は全くのジョークで、「ルパンのコンテンツや世界観を活用し、愉快な話題を提供しようと発足」させたプロジェクト。ルパン三世大好きだったので、このニュースを聞いたときはニヤリとしました。これは是非この場所に行かないと!と思っていて、盗まれている間に寄れてよかったです。
LUPIN STEAL JAPAN PROJECTの公式サイト:http://steal-japan.jp/
1月7日にお宝山分け会なる会(サイト上と東京ドームプリズムホールにて)があるらしく、何があるのかちょっと楽しみ。時間があればサイト上で参加してみたいと思ってます。
ヴァン・クリーフ&アーペル ザ・スピリット・オブ・ビューティ展~森アーツセンターギャラリー [絵画・美術館展・博物館展]
「ヴァン・クリーフ&アーペル ザ・スピリット・オブ・ビューティ展 時を超える美の真髄」を観に、森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52F)に行ってきました。
展覧会公式サイト:http://www.thespiritofbeauty-vancleef-arpels.com/
Van Cleef & Arpels公式サイト:http://www.vancleef-arpels.com/jp/van-cleef.html#/home/
1世紀にも渡り、パリでジュエリー、ウォッチ、ファッション小物、芸術的オブジェなどを作ってきたヴァン・クリーフ&アペールのコレクション約250点以上の展覧会です。
その所持者はモナコの王妃グレース・ケリー、ウインザー公爵夫人、マレーネ・ディートリッヒ、イランのソラヤ王妃、タイのシリントン王女、ジャクリーヌ・ケネディ・オアシス、マリア・カラスなどそうそうたる方々で、現代のハリウッド女優のキャメロン・ディアスやアン・ハサウェイ、リース・ウィザースプーン、ジュリア・ロバーツなども多くの女優さんたちも愛用してます。日本でも「おくりびと」に出演した広末涼子がアカデミー賞授賞式でこのヴァン・クリーフ&アーペルを身につけ、話題になったのは記憶に新しいところです。
展覧会は4つのテーマにしてあり、「自然のスピリット」「エレガンスのスピリット」「冒険のスピリット」「インカーネーション(美の化身)」に分け、蘭や薔薇・ハチドリなどのモチーフを使った自然のもの、アールデコ調・スペインの踊り子・ジップのネックレスなどエレガンスを追求したもの、インド・日本・中国・エジプトなどの嗜好を入れたもの、世界の王室やハリウッド女優たちに愛されたものと分けて展示してありました。
特に世界の王室やハリウッド女優たちに愛されたセクション「インカーネーション(美の化身)」では、グレース王妃のティアラ、ディートリッヒのブレスレット、マリア・カラスのクリップなどがそれぞれのブースに展示され、カトリーヌ・ドヌーブがそれぞれの人の人生を解説しているおもしろい企画になっていました。また円柱に入れたり、キューブに入れて吊り下げたりといろんな展示法を試みていて、ジュエリー自体も素敵でしたが、そういう展示方法もなかなか素敵でした。そして展示会場の音楽はスティールパンで演奏された癒しの音楽で、心地よく展示を観られるよう工夫されていました。会場全体にそういった心使いのなされた素敵な空間が演出され、気持ちよく、ゆったりとした気分で鑑賞できました。
どれもこれも美しく繊細。色も形も素敵でひとつくらい自分のものにしたいなあと思いました。でもちょっと手の出るものではないので、眺めて終わりです。せいぜい小さなサイズのオードトワレ(容器にこのヴァン・クリーフが使われている)を買おうかしら~。この展覧会、来年17日までやっています。いい目の保養でした。
六本木ヒルズ森アーツセンターの入場券とヒルズ内のツリー↑。
ヴァン・クリーフ&アーペル (M´EMOIRE DES MARQUES)
- 作者: シルビー ローレ
- 出版社/メーカー: 光琳社出版
- 発売日: 1998/06
- メディア: 単行本
ヴァンクリーフ&アーペル ファーストプルミエブーケ 30ml(EDT・SP)
- 出版社/メーカー: ウ゛ァンクリーフ&アーペル
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
生誕150年ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ~国立新美術館 [絵画・美術館展・博物館展]
国立新美術館で開催の「生誕150年ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ」へ行ってきました。
関連サイト:http://www.tokyo-np.co.jp/event/lalique/
19世紀末~20世紀半ばに活躍したルネ・ラリックのジュエリーとガラスの展覧会です。彼のアール・ヌーボーとアール・デコの作品がオルセー美術館やカルースト・グルベンキアン美術館などから一堂に400点集められました。結構な量の展覧会でしたが、特にジュエリー類はどれもとても素敵でいい目の保養になりました。
パリのオルセー美術館もリスボンのカルースト・グルベンキアン美術館も行っていますが、今回来ているラリックの作品の記憶が全くなく、苦笑いするしかないです。特にグルベンキアン美術館は石油で巨万の富を得て、個人的にもラリックと親しくなったグルベンキアンが自ら、ラリックの作品を収集したことで有名らしいのですが、そんな記憶も全くなくて一体このグルベンキアン美術館で何を観てきたのかなあ??と我ながら、がっかりです。まあポルトガルに行ったのもかれこれ10年以上前になるので仕方ないですけど・・・。
しかしいつものことながら日本に居ながらにして次々といろんなものが集まってきて観ることができるというのは贅沢な話です。
一番上の写真はハットピン・ケシ(オルセー美術館蔵) 実物が結構大きなものでびっくりするほどです。
下の一番上の写真はティアラ・雄鶏の頭(カルースト・グルベンキアン美術館蔵) これもかなり大きいです。鶏がくわえてるアメジストの輝きが素敵でした。
中段の左の写真はシール・ペルデュ香水瓶・魚(オルセー美術館蔵)
中段真ん中の写真はネックレス・木の実(アルビオンアート・コレクション) ガラス玉が涼しげでした。
中段の右の写真はブローチ・パンジー(ラリック社コレクション) これ欲しいです!
一番下の左の写真は鍋島直泰侯のイスパノスイザに装着されたカーマスコット・勝利の女神(鍋島報効会蔵、イスパノスイザはトヨタ美術館に寄託)
一番下の真ん中の写真はブローチ・ケシに囲まれた女の胸像(カルースト・グルベンキアン美術館蔵)
一番下右の写真は花瓶・菊に組紐文様(北澤美術館蔵)
ラリックのガラス製品はエミール・ガレのガラス製品と比べると色彩がかなりシンプルで、単色なのでちょっと物足りない感じもしましたが、パリでのアール・デコ博覧会に出品されたガラスで出来た白い半透明な「噴水の女神像」が何体も来ていて、それがとても美しくて印象的でした。当時の博覧会の中心広場の噴水をその女神像が飾り、水と光の演出のために電気照明まで内蔵され、夜間は光輝くモニュメントとして観客を魅了したらしいのですが、普通に何十体も並んで展示されているだけでも素敵なのに、そのようなモニュメントがあったなら本当に素敵だったろうなあと容易に想像できました。
美術館ではテーマ性のあるものを展覧会としてしっかりこうして観た方が印象に残り、いいものだなあと最近つとに思います。展覧会もどこかの美術館展よりもテーマに沿っていろんな美術館からそのテーマに沿って集めてきたものを観るほうが格段いいなあと思うようになりました。
もっと知りたいルネ・ラリック 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
- 作者: 鈴木 潔
- 出版社/メーカー: 東京美術
- 発売日: 2009/05
- メディア: 単行本
アール・ヌーヴォー ガレ、ドーム、ラリックの煌き (別冊太陽)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2006/06/17
- メディア: 大型本
ラリックをめぐるフランスの旅 (Shotor Museum)
- 作者: 南川 三治郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/06/15
- メディア: 単行本
オルセー美術館展~19世紀芸術家たちの楽園~のすべてを楽しむ公式ガイドブック (ぴあMOOK)
- 作者:
- 出版社/メーカー: ぴあ
- 発売日: 2006/09
- メディア: 大型本
国立西洋美術館 [絵画・美術館展・博物館展]
今年2009年は上野の国立西洋美術館が開館50周年ということで、様々なイベントが行われているようです。今はその記念事業の企画展で「ル・コルビュジエと国立西洋美術館」が行われています。上野の山にもこんな旗↑がここかしこにたなびいていました。国立西洋美術館は果たして世界遺産になれるのでしょうか?
国立西洋美術館サイト:http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
西洋美術館は、ここ何年かは全くご無沙汰してました。ここ最近上野の美術館で行っていたのは専ら都美術館で、西洋美術館に入るのは本当に久々でした。
この6月には約2年に渡る設備改修工事が完了し、常設展がリニューアルオープンしきれいになったとのことでこれは観にいかないとと思っていたところに、開館50周年記念で西洋美術館の招待券をいただいたので出かけてみました。今やっている企画展のル・コルビュジエに関しては残念ながらそれほど興味がなかったのでさっさと適当に流し、久々に常設展をゆっくり時間をかけて観てきました。
西洋美術館は新しい絵も数枚か購入していたし、印象派モネの絵画ばかりを集めた部屋なんかも出来ていて、西洋美術館もどんどん変わっていくなあと思いました。いい絵画が揃っていて、久々にゆっくりといい時間を過ごしました。
トリノ・エジプト展~都美術館 [絵画・美術館展・博物館展]
「トリノ・エジプト展」を観に都美術館に行ってきました。
都美術館H.P http://www.tobikan.jp/
大英博物館やルーブル美術館のエジプトコレクション、それに本家のエジプトのカイロ考古学博物館も観てきてるので、これ以上エジプト展も観なくてもいいだろうと思っていたのですが、せっかく招待券を頂いたので出かけてみました。
一体「トリノ・エジプト展」って何!?と思いましたが、実はイタリア・トリノにあるトリノ・エジプト博物館のエジプトコレクションはかなり有名らしく、エジプトに関しては世界屈指のコレクションらしいのです。そしてそのコレクション展が今回の展覧会です。
ミイラや大型の彫像、木棺、装飾品、石碑、パピルス文書など120点近くの展示で、比較的状態のいいものが多く、適当に説明を流して読んでも小一時間かかりました。夏休みのためか、エジプト人気か、はたまたいつでも混んでいるからこれが普通なのか、美術館や博物館でのこの混雑、どうにかしてほしい~。
今、パシフィコ横浜でも「海のエジプト展~海底からよみがえる、古代都市アレクサンドリアの至宝」がやってますが、こちらも盛況ですね。日本のエジプト人気恐るべし!