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82年生まれ、キム・ジヨン [韓国映画]

韓国映画「82年生まれ、キム・ジヨン」を観ました。

82年生まれ、キム・ジヨン [Blu-ray]

82年生まれ、キム・ジヨン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2021/04/02
  • メディア: Blu-ray

2019年の作品。IMDb評価は7・3。韓国でベストセラーとなった小説の映画化。現代女性の生きづらさを描く。チョン・ユミ、コン・ユ主演。タイトルのキム・ジヨンという名前は韓国で最もポピュラーな女性の名前だとか。

結婚を機に仕事を辞め育児と家事に追われる日々のジヨン(チョン・ユミ)。夫(コン・ユ)の実家に行くと、ジヨンは人が変わってまるで何かが憑依したように突然振る舞うため、夫が心配して二人はそそくさと実家を後にすることに。精神科に行くよう夫が言ってもなかなか行けないでいるジヨンに、かつて働いていた時の先輩から仕事をしないかと誘われ、ウキウキするジヨン…。

兄弟姉妹の中でどんなに女の子が勉強ができても家が貧しければ進学は諦め、男の子だけが進学していた母親世代。だからジヨンの母は娘には好きなことを自由にやらせたいと「何でもやりなさい」と後押しする。子供を預かってもいいといい、優しい夫も育児休暇を取れば戻った時に席が無くなっているという噂を聞きながらも育児休暇を取ると言ってくれる。しかし義母は違う。わざわざ電話してきてそんなの狂っている、どんなに女が稼いだところで男の稼ぎには敵わないと。毎回無理して夫の実家に行き、姑や小姑たちに気を遣ってきたがプッツンと切れてしまったジヨン。外でコーヒーをテイクアウトすると一般の人たちから「(ベビーカーを曳いてまでカフェに来ずに)家で飲めばいいのに」と言われる…。映画の中では男子学生にバスの中から付きまとわれ怖い思いをした学生時代や、父がそれに対して誰にでもにこにこしてはいけない、スカートの丈を長くするようにと注意したり、会社で女子トイレに隠しカメラが置かれて一部の男性社員でそのビデオを廻し見していたこと、健康そのものの一番下の息子だけに漢方薬の飲み物を買ってくる父親など、日常にはびこる女性の生きづらさを様々な場面で見せていました。

韓国ドラマ「その恋は初めてだから」「サム・マイウェイ」でも嫁いだ嫁が姑、小姑にこき使われる様子が描かれていましたが、この映画でもしかり。日本はまだそこまで酷くなくても気遣う点では似たり寄ったりでしょう。現代女性の抱えるプレッシャーのようなものがよく描かれ、ジヨン演じるチョン・ユミさんの繊細な演技に心打ちました。チョン・ユミさんは「応答せよ1994」「キム秘書は一体、なぜ?」にカメオ出演されていたようですが、全く気付かず、パク・ソジュンくん観たさに観た「ユン食堂2」で顔だけは知っていました。また見慣れているコン・ユさん、優しい旦那さん役でこんないい旦那さん、旦那さんのお手本だと思いました。時代が変わり世代が変わればこのジェンダー問題ももっと変わっていくのでしょうか。先日観た女性参政権を獲得するキャリー・マリガン主演の映画「未来を花束にして」同様、ジェンダー問題を提起し考えさせてくれる映画でした。

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君の結婚式 [韓国映画]

韓国映画「君の結婚式」を観ました。

君の結婚式 [DVD]

君の結婚式 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2019/07/03
  • メディア: DVD

2018年の作品。IMDbは7・0。キム・ヨングァン主演。高校生からその後10年に渡っての2人のすれ違いの初恋ラブコメ。『韓国で初恋ブームを巻き起こした『建築学概論』の最速記録を塗り替え、公開後わずか6日で動員100万人を達成!』とのキャッチコピーがついていたので気になって観ました。甘酸っぱくて切なくてちょっとほろりとする映画でした。

転校生のソンヒ(パク・ボヨン)に一目ぼれしたウヨン(キム・ヨングァン)。すぐに付き合うようになるもののソンヒはまた転校してしまいます。その後大学のパンフレットでソンヒが写真に写っているのを見つけて、自分もその大学に入るために猛勉強し大学入学します。しかしソンヒには恋人(ソン・ジェリム)がいてショックを受けます…。

その後何度もすれ違う二人。ウヨンはソンヒに一目ぼれして以来ずっと好きなのに、最終的には報われず。ソンヒの結婚式に会いに行きそこでお別れをします。ドラマでも映画でもハッピーエンドのほうが断然多いので、サッドエンドがちょっぴり悲しく、切なく、ほろりとしました。でもそのほうがよりリアルで、人生こんなものなんだよなあとしんみりしました。

主演の2人は「僕らの青春白書」で共演していて観ているのでお馴染みでした。特にキム・ヨングァンくんは「ピノキオ」「ラブレイン」でも観てたけどいつも脇役。この映画では主演で喜怒哀楽色々あり表情豊かに爽やかに伸びやかに演じていたので素敵でした。友人役に「キム秘書はいったい、なぜ?」「恋のゴールドメダル」に出てたカン・ギヨンさんや、ソンヒの大学時代の恋人役に「とにかくアツく掃除しろ」の癒しドクター役のソン・ジェリムさんが出ていました。他にもあちこちにお馴染みの顔がちらほら。

初恋がそのまま実る人、また一目ぼれがそのまま恋に発展して実る人の割合は現実世界で一体どれくらいあるんだろうか?と思いました。報われない率の方が高いからきっとこの映画を観て、たくさんの人がほろりとするんだろうなあと思いました。

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バーニング 劇場版 [韓国映画]

韓国映画「バーニング 劇場版」を観ました。

バーニング 劇場版 [DVD]

バーニング 劇場版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: DVD

2018年の作品。IMDb評価は7・5。村上春樹の短編小説「納屋を焼く」が原作。オバマ元大統領のお気に入りの一本らしく「トキメキ☆成均館(ソンギュンガン)スキャンダル」に出てたユ・アインさん主演なので期待して観てみました。ミステリー仕立てでいろんなことが謎めいていました。

幼馴染のヘミ(チョン・ジョンソ)に久々に会ったジョンス(ユ・アイン)は、彼女がアフリカ旅行に行くからその間猫を世話してほしいと頼まれる。そしてヘミは旅行先で知り合ったベン(スティーブン・ユァン)と一緒に帰国し、彼を紹介して時々三人で会ったりするが、ベンはジョンスに突然「ビニールハウスを二か月に一回くらい焼いているんです」という告白を聞くことになる。そしてその後すぐヘミの行方知らずとなる…。

この映画ではヘミに片思いしているジョンスがベンの「ビニールハウスを焼く」という言葉を聞いた後から近所のビニールハウスを回って燃えていないか念入りにチェックし始めます。またヘミがいなくなったときに、ベンの家に招待され彼がいきなり猫を飼い始めているのを目撃し(姿を見ていないヘミの猫を旅行中世話していたジョンスですが、ベンの猫をヘミの猫の名前で呼んだらすぐに彼の腕の中に入ってきて飼われている猫が元ヘミの猫だと悟ります)、洗面台の引き出しの中にあるたくさんの女の子が置いていったであろうものの中に、以前は入っていなかった自分が景品でもらいヘミにあげたピンク色の腕時計が入っていたことも見てしまいます。そのことからジョンスはベンがヘミを殺したのではないかと思い、彼と会ったときに彼を殴り彼を車に押しやり車ごと燃やしてしまうのです…。自分が血を浴びた服も全て脱ぎ捨て、一緒に燃やし、裸になって自分の車に飛び乗って去るラストシーンが強烈でした。

村上春樹作品はすべて読んでますが、短編の「納屋を焼く」がこんな内容だったのかすっかり忘れてたので読み返しました。原作では主人公の僕は小説家で既婚者でそれなりのステイタスがあるのに、映画ではアルバイトしながらまだ小説家になっていない主人公とはまったく違う立場でした。またヘミがいなくなり「納屋を焼いているんです」という告白はベンらしき人から聞いているけど、小説はそのままで終わり。主人公がベンを車ごと丸ごと焼いて殺してしまうような話は入っていませんでした。みかんのパントマイムのシーンで「みかんがあると思い込むんじゃなくてそこにみかんがないことを忘れればいいのよ」という言葉や「(まるで彼が)ギャッツビーみたいだ」という言葉は村上春樹らしくて映画の中でも使われていました。ちょっと前に「人間にとって432hzの音楽は人を癒す」ことを知り、歌手のノラ・ジョーンズのお父さんでシタールの名手ラビ・シャンカールの曲が432hzであることを知り時々聞いたりしてたのですが、「納屋を焼く」の短編には「ラビ・シャンカールのレコードは」みたいなセリフが入っていて、本を読み返した私へのご褒美はこの言葉だったかもなあと思いました。映画と原作はやはり違う。でも映画は映画として楽しく観ました。楽しくというのは語弊があるけれど、映画は映画として別の完成品として。ユ・アインさんの演技も観たいと思っていたので観れて一石二鳥でした。


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その怪物 [韓国映画]

韓国映画「その怪物」を観ました。

その怪物 [DVD]

その怪物 [DVD]

  • 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
  • 発売日: 2015/06/03
  • メディア: DVD

2014年の作品。IMDb評価は6.5。バイオレンス、スリラー、アクション。イ・ミンギ主演。「この恋は初めてだから」のイ・ミンギさんと「トッケビ」のキム・ゴウンちゃんが出ていたので観てみました。血だらけになっての殺し合い、猟奇的な殺人鬼の話だったので後味悪すぎですが、イ・ミンギさんもキム・ゴウンちゃんも役にはまっていて素晴らしい演技でした。

家族からも疎まれているテス(イ・ミンギ)は兄の依頼で、ある映像を撮影した携帯を奪うことを頼まれます。しかし彼はその携帯の持ち主の女性をすぐ殺し、妹ナリ(アン・ソヒョン)を拉致し、「俺がワインを飲む間逃げろ。ただし助けを求めた人も捕まえて殺す」と予告します。ナリは必死に逃げてボクスン(キム・ゴウン)姉妹の家に逃げ込みますが、今度はボクスンの妹がテスに殺されます。ボクスンとナリは復讐のため、テスの家に乗り込みますが…。

怖い映画でした。殺人鬼のテスは美しくも怖く不気味で、家では殺した人たちを焼いて陶器に仕上げその陶器が整然と並べられています。家族さえ彼を恐れ、彼を呼び出し他の人たちの手を借りて殺しにかかります。早く交番に行けばいいのですが、少し抜けてるボクスンとナリはテスに追われているにもかかわらず、途中で出会うことに夢中になってなかなか交番にたどり着かず、また交番に行ってもその事情さえ話そうとしません。次から次へと猟奇的に殺人を犯すテスと最終的にボクスンは血まみれになって戦って生き残ります。

少し抜けたボクスンと小さなナリの二人がこの映画には不釣り合いなほどほんわかしていて、ちょっと異次元な感じでした。でもそれがかえってこの映画を引き立たせている感じもしました。イ・ミンギさん、キム・ゴウンちゃん、熱演でうまいなあと思いました。

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パパロッティ [韓国映画]

韓国映画「パパロッティ」を観ました。

パパロッティ [DVD]

パパロッティ [DVD]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2015/04/02
  • メディア: DVD

2013年の作品。IMDb評価は7.1。カン・ソラさんが出ているので観ました。実話に基づく映画で、やくざの組織に入っていた高校生がオペラ歌手になる夢を押してくれる師と出会い夢を実現させる話で、主役のイ・ジェフンさんが熱唱するオペラ「トゥーランドット」の「誰も寝てはならぬ」を観て涙が溢れました。

目当てのカン・ソラさんは高校生役で、同じ高校生役のイ・ジェフンさん演じるやくざのジャンホのガールフレンド役でした。彼女は相変わらずキュートでした。映画は幼い時からやくざになったジャンホとその学校の音楽教師(ハン・ソッキョ)を軸に展開します。この音楽教師なくして、ジャンホの夢は叶わなかったことを思うと人の人生の不思議さにやはり思いを馳せてしまいます。やくざの世界から足を洗うとき、この音楽教師は手は音楽を演奏する時に使うから困る、その代り足を切っても構わないとやくざの親分に言いに行き、家族でジャンホの面倒をみていきます。ジャンホもこれに応え、自分の夢を叶えます。色んなアクシデントもあったけれど、「誰も寝てはならぬ」と韓国の曲「ヘンボグル チョヌン サラム(幸せを与える人)」をジャンホが熱唱したとき涙なしには観れず、胸が一杯になりました。ストーリー展開も初めから何となく読めてしまい泣かせるんだろうなあと思い見事それに引っかかってしまった形ですが。イ・ジェフンさんがこんなに歌唱力があるのかと思って調べてみたら、歌の部分はさすがに差し替えられていて、オペラ歌手のカン・ヨゼフさんというプロが吹き替えていました。予想以上に素晴らしい感動作で良かったです。またドラマ「シグナル」でイ・ジェフンさんと出演していたチョ・ジヌンさんがやくざのいい兄貴を好演していて、あちこちに知っている顔があったのも楽しかったです。ちなみに「パパロッティ」とはパヴァロッティの言い間違えをジャンホがしていて、それを題名にしたとのこと。

カン・ソラさん観たさに観た映画でしたが、観れて良かったです。

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