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キャピタリズム~マネーは踊る [ドキュメンタリー]

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「キャピタリズム~マネーは踊る」を中野ZEROで観てきました。

映画公式サイト:http://capitalism.jp/

マイケル・ムーアが今回作った映画はずばり「キャピタリズム」資本主義を問う映画。アメリカの健康保険を扱った「シッコ」から2年ぶりの映画です。

リーマンブラザーズの経営破綻から世界経済は一気に悪化。100年に一度の大不況と言われる今日。アメリカでは企業倒産、不動産の暴落で職や家を失う人々が続出し、その一方では公的資金(税金)が投資会社や保険会社に投入され救済されることになりました。しかし、それって本来の資本主義ではないんじゃないか?素朴な疑問が浮かびます。

しかもその金融危機を作った当の会社の役員は、今やまた法外な額のボーナスを手にしています。報酬はなんと従業員の400倍と言われてます。アメリカの資本主義はいつからこんなことになったのか?

一方では7秒ごとに家1軒が差し押さえられ、毎日14000人、10人に1人が失業し、工場が閉鎖され、ゴーストタウンと化す地方都市も。おじいさんの代からずっと何十年も住み続けた我が家を手放すことになった老夫婦は、立ち退きを迫られます。銀行は家の立ち退きのための片付けを他の業者に頼むより、当人たちにさせてお金を払ったほうが安上がりという理由でその老夫婦に家財道具などを火にかけさせ処分させます。そして1000ドルの報酬を渡すのです。

こういったまじめにコツコツ働いてきた人々から家を奪い差し押さえ、それを転売する不動産業者もいます。金儲けのためならこういった人々のことは何とも思っていません。

またかつてポリオワクチンを開発したが特許をとろうともせず、「これは人類共通の財産だから」という開発者がいた古き良きアメリカで、それとは正反対にこぞってウォール街に就職する若手の科学者たち。そしてハーバード大の経済学者でさえ説明しきれないデリヴァティブという複雑怪奇な金融商品・・・。

ブッシュ政権時代、公的資金を注入しなければならないと決めたのはクリントン時代からいたゴールドマンサックス証券のトップの人々でした。議会では公的資金を注入すべきではないという意見があったのにそれが一夜にしてつぶされてしまい「政治を支配するのはもはや金融業界だ」と議員は嘆きます。

かつてアメリカ社会の富裕層は道路、図書館、病院、学校、美術館など社会に還元するような形で貢献してきました。そして誰もが自分もアメリカンドリームを実現させられるという夢を見てきました。しかし、今人々は、それはまやかしではないのか?と疑い始めています。アメリカ社会はもう民主主義ではなく、「1%の富裕層が残り95%よりも多い富を所有し、独占的に利益を得る社会」~プルトノミーとなっているとも言われています。

国民の税金7000億ドルは一体どこに?議会監視委員に聞いても「わからない」と言われ、元ゴールドマンサックス会長で財務長官のポールソンに聞こうとしても門前払いされたマイケル・ムーアは拡声器片手に金融街に乗り込みます。「俺たちの金を返してくれ~」と。

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ブッシュからオバマに変わり、皆、少しは変わってきました。

家を差し押さえられ、ホームレス状態になった一家をバックアップする近隣の住民たちが現れます。銀行側の代表が来て、警官たちが来ても、「家を空き屋にしておくよりも、住んでもらっていた方がいい」「ホームレスってどんな気分かあんたたちにはわからないでしょう」銀行側も警官たちもたじたじとなり退散しまいます。

税金が大銀行や証券に使われ、その幹部たちに多額のボーナスが支給されているニュースを知り、「もう家を差し押さえしなくてもいい」という英断をした警察の幹部も現れました。

みんな一生懸命やっているのは同じだからと、同じ会社の社員、社長は全て同一賃金にした会社も現れました。「そのほうが意気が上がり収益も上がる」と言います。

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一体この先、そうなっていくのでしょう?資本主義。社会主義が崩壊したのと一緒で、資本主義自体も機能しなくなってきました。一部のほんの一握りの人たちの強欲が、ほとんどこういったこととは関係のない、一般の私たちにまで被害を及ぼすこの仕組み。どこかで断ち切ってほしいです。この映画を観て、一部の足るを知らない金の亡者に対する怒りをまた覚えました。

こんなガタガタなアメリカをお手本に走ってきた日本。お手本にすべきはアメリカではありません。昔の一億総中流階級の意識のあったあの時代を取り戻して欲しいです。


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Mimosa

ちょうど今、Yahooトピックスでムーア監督がこの映画の為に来日されてる...という記事を見たところでした。
アメリカは貧富の差が激しいですね。この映画でもムーア監督の目のつけどころが鋭そう...。この映画、ぜひ観たいです!
どうして日本はアメリカをお手本にして来たのでしょうね。私もこれには納得いかないです。この映画で、日本の数年先の様子が見えてきそうで恐いですね。
by Mimosa (2009-12-01 01:09) 

nomame

「華氏911」「シッコ」も衝撃的でしたが、これも相当みたいですね。
それでもやっぱり魅かれてしまう監督ですよね。
ぜひ観に行きたいと思っています。
by nomame (2009-12-01 22:13) 

たいちさん

先日、来日中のムーア監督が問題なく東京証券取引所に入れたというコメントをテレビで見ました。同監督の映画は、いつもセンセーショナルですので、気になる一本ですね。
by たいちさん (2009-12-02 11:53) 

naonao

>nice!をくださった皆様、ありがとうございます。

>Mimosaさん、ありがとうございます。
この記事をアップした11月30日に来日してますね。
私はちょうど今さっき、NHKのクローズアプ現代でマイケル・ムーア監督のインタビューを観たばかりです。「自分としてはもういいたいことをこの映画で言い切ったのでしばらくお休みしたい」と言ってました。「資本主義は悪」ということ、「人々がこの映画を観て立ち上がって欲しい」と言っていました。

>nomameさん、ありがとうございます。
やはり本当のことを言ってるので魅力的な映画でしたね。
是非ご覧ください。

>たいちさん、ありがとうございます。
ゆーこりんがゲストでしたね。NHKのクローズアップ現代にも出てたのでこちらも映画の紹介と監督のインタビューでなかなか興味深い内容でした!
by naonao (2009-12-03 21:02) 

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