車イスで僕は空を飛ぶ [二宮和也(嵐・ニノ)]
ニノ主演の「車イスで僕は空を飛ぶ」を観ました。
24HOUR TELEVISIONドラマスペシャル2012「車イスで僕は空を飛ぶ」 [DVD]
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2012/11/13
- メディア: DVD
2012年のドラマです。
ちょっとしたことで不良グループとけんかになり、逃走中にビルからビルへ飛び移ろうとして脊髄を損傷。歩くことができなくなり、車イスの生活をすることになった主人公の泰之(二宮和也)。病院に入院してリハビリをする段になると、同じように車イスの青年がいたり、小児ガンの余命幾ばくもない子供(鈴木福)がいたり、表面的には明るいのに実は心にひどく傷を負っている売店の女性(上戸彩)がいたり、さりげなく話しかけてくるカウンセラー(伊勢谷友介)がいたり・・・・。その出会いによって、この先どうしていいのかわからなくて自殺までしようとしていた彼が、心に傷を持った人を癒すカウンセラーへの道を歩みだすまでを描いています。
観ていてすごかったシーンはこんなシーンでした。泰之と同じような車イスの青年から電話が掛かってきますが、既に彼は退院し、新しい職場で仕事も楽しそうにしている写真入りのハガキを見て、泰之は電話に出るのを止めてしまいます。そしてその電話のすぐ後に彼が自殺をしたと聞いて、電話に出なかった自分を悔やみ、呪うのです。そのことをカウンセラーからズバリ指摘された泰之は、カウンセラーから電車に飛び込み自殺を図った息子のいる母親に、今経験したばかりのその体験を話してほしいと懇願され、その人に会います。会ってみるとそれは実の母親(薬師丸ひろ子)でした。
母親は息子の泰之に金の無心までするどうしようもない母親でもありましたが、母親から見たら息子は息子でぐれていて挙句の果ては車イスの息子な訳です。息子は涙ながらに残された人が思う気持ちを訴えます。自分のせいで母親が自殺した。自分さえいなければ母親は自殺しなかった。情けない息子のせいで母は自殺したんだ、と。そしてもう亡くなってしまった人から自殺した本当の理由は聞くことができないから、ずっとずっと一生自分の不甲斐なさを嘆き、自分を責めて生きていくしかない、ということを。しかし、母親は息子のせいで自殺を図ったのではないと首をずっと横に振っています。
自殺で取り残された家族はどこかに自分の落ち度があったのではないかと自分を責め、一生十字架を背負うことになることを、この二人がすごい迫真で演じてました。本当にすごいの一言。
他にも断崖絶壁の場所で泰之が自殺しようとやってきて、他の観光客に声を掛けられ自殺を思いとどまる場面なども見どころでした。
自分は生きてていいのだろうか?生きることに果たして意味があるのだろうか?といった重たいテーマを扱っているドラマでしたが、生きることがつらい人にはこのドラマで泰之が言ったセリフみたいに「助けてって言ったらいいんだ」と言いたいです。そして苦しいのは決して一人だけではなく、自分よりももっと苦しい人がたくさんいると知った時、人は一歩先へと踏み出すことができるのだと思いました。私が大好きなジャータカの話を思い出しもしました。ブッダのところに子供を亡くした母親がやってきて嘆き悲しんでいたとき、ブッダは「葬式を出したことのない家から芥子の実をもらってきなさい」と言い、母親が何軒訪ねても決して芥子の実をもらうことができず、身内を亡くしているのは自分だけでないとわかった時に初めて悲しみから解放されたのです。人間は同じ悲しみをみんな持っているということです。
ニノの演技。本当に観れば観るほど惚れます。もう確実にニノは大好きな俳優さんの一人になってます。
>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2014-10-30 20:46)