湯を沸かすほどの熱い愛 [日本映画 賞受賞]
日本映画「湯を沸かすほどの熱い愛」を観ました。
2016年の作品。IMDb評価は7・4。たくさんの賞を獲っています。日本アカデミー賞優秀作品賞、優秀監督賞(中野量太)、優秀脚本賞(中野量太)、最優秀主演女優賞(宮沢りえ)、最優秀助演女優賞(杉咲花)、新人俳優賞(杉咲花)ほか、各賞を総なめ。もっと早い時期に観る機会はたくさんあったのですが(当時試写会に当たりましたが都合悪く行けず。またその後も観る機会はあったのですが)今になりました。
宮沢りえさん演じる主役のお母さんの強さに惚れ惚れしました。彼女はガンになり余命2か月と宣告を受けますが、そこから杉咲花ちゃん演じる娘がたくましく生きられるように娘が学校でいじめにあっていても、「今学校に行かなければ一生学校に行けなくなる」と娘を突き放し、娘はそれに応えるように盗まれた制服を取り戻し、また蒸発した夫(オダギリージョー)の居場所を探偵に突き止めてもらい夫に戻ってくるように自ら言いに行くと、夫が他の女性に産ませた9歳の娘も一緒に来ることになります。そして最初血のつながっていると思われた娘(杉咲花)は実は本当の娘でなく、彼女は娘と共に小旅行に出かけ店で美味しいカニを食べ終え車に戻ると、いきなり娘に向かって「店で働く(聾唖者の)女性が母親だから戻って話してきなさい」と言い放つのです。その女性は幼い娘を置いて出て行ったのですが、毎年カニを送ってくれたため、彼女は必ずお礼状を娘に書かせていました。そして「いつか役立つから」と小さい時から娘に手話を習わせ、それは実の母との会話のために彼女が習わせていたことだったのです。その短い旅の中でバックパッカーの青年(松坂桃李)に会い、行く当てのない旅をしている彼を彼女が諭したりもします。また自分が幼い時に戻ってくると言って戻らなかった母親の居場所がわかり、その家に訪ねて行ったりもします。それらは彼女にとってのバケットリストのようなもので、やりたいことを短期間に一気にやってしまいます。彼女がガンで死間近になると、探偵の親子やバックパッカーの青年、聾唖者の実の母まで集まり、最後は家業の銭湯でお葬式を挙げます…。
所々にかなり泣けました。彼女がガンに罹ったことより次々に起こる出来事のほうが強烈すぎて、ガンよりもその出来事や事実のほうに泣けました。セリフもそう多くなく端的でそれで充分意味も伝わり、とっても素晴らしかったです。脚本が実に素晴らしかった。そしてやはり宮沢りえさんの演技が何より素晴らしかった。賞を色々獲る意味がわかる映画でした。
>nice!をいただき、皆様ありがとうございます。
by naonao (2022-04-06 06:53)