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活きる 愛のあとにくるもの どくだみちゃんとふしばな9 [本]

最近読んでた本です。

活きる

活きる

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2002/03/01
  • メディア: 単行本

チャン・イーモウ監督映画「活きる」の原作となった本なので興味あり読みました。映画「活きる」のnaonaoのレビュー、大まかなストーリーはこちら→https://naoazucar.blog.ss-blog.jp/2023-07-07

原作と映画では少し設定が違ったけれど、映画は映画、小説は小説の良さがありました。小説では民間歌謡採集の若者が1940年~1960年の激動の中国を生きた老人の福貴に語らせる手法を採っており、映画では福貴と妻の家珍、娘婿の二喜、孫の苦根の4人が残されこれからもたくましく生きていくと言った感じの終わり方だったけれど、小説は妻の家珍も亡くなり、娘婿の二喜も亡くなり、孫の苦根までも亡くなって、福貴のみが生き残っているところで終わっています。映画は日中戦争や中国国民党から中国共産党へ、そして文化大革命の大きな時代の波に翻弄される感じが強かったのですが、小説はそれよりも裕福な家に生まれ博打に明け暮れ財産無くして、心を入れ替え働きに働き、病弱な妻(歩けなくなり軟骨病と診断される)を労わり、長男の有慶を亡くし(映画では知事=春生の車に轢かれ亡くなったけど、小説では知事の奥さんの輸血に使う血が足りなくて採血した有慶が大量に採血されて亡くなった)、娘の鳳霞が出産で亡くなり(映画は紅衛兵の看護師たちが看ていたが小説は普通の医師たちだった)娘婿の二喜がその後亡くなり(映画は足の悪い娘婿だったが、小説では首の曲がった娘婿だった)、豆を喉に詰まらせて孫の苦根も亡くなってしまうといった具合で、一人残った福貴の人生そのものが描かれていました。福貴自身の人生を自ら語り、そこには紛れもなく家族愛が溢れていて、ストーリーを知っていてもまた泣けました。映画は福貴が絵影絵芝居の芸人みたいな華やかな職業でしたが、小説では福貴は農夫で労働の辛さやどんどん年を取って行って体がしんどくなる様子なども描かれ、小説の方がよりしんどさが増している感じでした。いい小説を読みました。映画と共にお勧めです。

愛のあとにくるもの (幻冬舎文庫)

愛のあとにくるもの (幻冬舎文庫)

  • 作者: 辻 仁成
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/08/03
  • メディア: 文庫
愛のあとにくるもの―紅(ホン)の記憶 (幻冬舎文庫)

愛のあとにくるもの―紅(ホン)の記憶 (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/08/01
  • メディア: 文庫








坂口健太郎くんとイ・セヨンさんが共演する新しい韓国ドラマ「愛のあとにくるもの」。原作が辻仁成と韓国人女流作家=孔枝泳との同名小説だと聞き、読んでみました。かつて読んだ辻仁成と江國香織の「情熱と冷静のあいだBlu」「情熱と冷静のあいだ Rosso」「左岸」「右岸」を思い出しました。それぞれの恋愛に男性側からと女性側からの視点で書かれているのは同じ。この試みは昔とっても面白いと思いましたが、今回もまた同じく面白いと思いました。二人の間に起こった出来事が二人の視点によってどんどん肉付けされお互いを補足していく。読めば読むほど深みが増す。この形式~二人の作家がそれぞれの男性側と女性側から書くという手法は本当にいいなあと思いました。

7年前に別れた日本人の潤吾と韓国人の紅のソウルでの再会から始まり、二人が井の頭公園近くで一緒に住んでいたことやアルバイトに明け暮れいる潤吾とすれ違いの生活を送り、寂しさを紛らわすために公園を走っていた紅のことなど現在と過去を二人それぞれが思い出しながら物語は進んでいきます。紅は日韓の歴史などを背負う感じで周りからも反対されることが容易に想像できる中、韓国への寂しさも加わり韓国に戻ってきているのですが、日本人と韓国人の結婚というのはどうしてもその本人同士がお互いの歴史を背負うことになると思います。私も若いころ韓国人の彼氏がいて、お互いの歴史が重苦しかった。破綻したときに悲しかったけれど肩の荷を下ろしスッキリした気分も同時に味わったことを思い出します。小説は紅の父は日本人の好きな人とは結婚せず韓国人の女性を選び、紅は幼馴染でプロポーズしてくる韓国人の眠俊を振ります。そして最後は潤吾と一緒の将来を匂わせハッピーエンド。潤吾が作家としての仕事を終えて帰国する日に潤吾が紅と一緒にランニングするラストでした。バッドエンドよりハッピーエンドのほうが好ましい。けれど現実ではそうはいかないよなとちょっと苦々しく色々なことを思い出して個人的にはほろ苦かった。 さてドラマでは一体どんな風に描かれているのか?機会あればドラマも観たいです。

生活を創る(コロナ期) どくだみちゃんとふしばな9 (幻冬舎文庫 よ 2-41)

生活を創る(コロナ期) どくだみちゃんとふしばな9 (幻冬舎文庫 よ 2-41)

  • 作者: 吉本 ばなな
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2023/09/07
  • メディア: 文庫

吉本ばななのメルマガをまとめたエッセイ。世代が一緒なのでまたずっと彼女の小説が発表されるたびに読み続けてきたこともあるので、相も変わらず彼女のエッセイもなお続けて読んでるわけですが、歯の根管治療のこととか、若い時のような海外旅行はもうしたくなくなっていることとか、地球が丸いことを実感したこととか(私も犬吠埼に行った時に経験したと思った)コロンビアが怖かったこととか(その代わり筆者のようにメキシコが怖いとはあまり思わなかった)結構共感できる部分が多々あります。大金持ちになりそうになったけれどそうはならず自由を守るためにその一歩手前まで行ったらしいところは全然違う境遇だけれど、自由を謳歌することが大切だと感じる、一番のプライオリティだというのは私も同じなので共感しまくりでした。私自身も好きな村上春樹とかダライ・ラマとかの名前も相変わらずよく出てくるなあと思いました。

おまけ:今熱中しているドラマは「おっさんずラブ リターンズ

前作、前々作よりもパワーアップしている気がする。楽しくて楽しくて仕方なし。TVerで見逃し配信やってます。

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