項羽と劉邦5~大元帥誕生 [本]
「項羽と劉邦5~大元帥誕生」を読みました。
横山光輝のマンガ。
韓王が項羽に殺されると張良は項羽に仇討ちすることを決心する。張良が子供の間に流行らせた歌を聞いて、項羽は都を彭城(ほうじょう)に移すことを計画する。都を移すべきでないと意見した韓生を項羽は処刑。大きな鼎(かなえ)に油を煮えたぎらせ煮殺す方法が取られた。項羽はまた皇帝に郴州(ちんしゅう)に移ることを命じその移動中の船で刺し殺し船を沈める。
張良は見込んでいた韓信を訪ねた。持って行った宝剣の一振りは劉邦に、もう一振りは簫何に、残りの一振りは韓信に捧げると言い、漢の軍師としてスカウトする。スカウトされた韓信はいくつもの山を越えて劉邦のいるところを目指し、途中辛奇という男と義兄弟の盃を交わす。やっと劉邦のところにたどり着いた韓信は最初は穀物係に、その後は治粟都尉(ちぞくとい)~年貢米の取りたての仕事を任されたが、それで一生終わるなら逃げ出して他の場所を見つけたほうがいいと考え韓信は夜中にこっそり出た。すると簫何や夏侯嬰がすぐに後を追い韓信を引き留め引き戻し、劉邦に簫何が説得に説得を重ね韓信を大元帥にした。それを見ていた長年仕えていた樊噲(はんかい)が不平不満を言い出すと法令により死刑になりそうだったが恩赦となった。
韓信の大元帥となる式は盛大に行われ、韓信はまず軍律17か条を作り兵にもわからせた。韓信は軍隊の偵察に行くと、監軍の殷蓋が姿を見せず正午にやってきたのを見て韓信は法を犯したので死刑にすると言った。しかし漢王の劉邦はそれを聞くと殷蓋を殺さぬようにと酈食其(れきいき)を馬で走らせたが、漢王の詔を持ってきた酈食其を除き、その従者は打ち首、殷蓋も打ち首となった。韓信のやり方は正しいと簫何も殺されかけた酈食其も賛同するのだった。軍は法に基づき強い軍になっていった。
巻末には漢中の旅が書かれ、韓信の像があり「国士無双」(=一国中に匹敵する者がいないほど優れている人のこと)の文字が刻まれた門がある写真など載せてありました。また漢の長安城について書かれてあり唐の長安城や秦の阿房宮に近いところに城があったことがわかりました。
それにしても劉邦は優秀な張良や簫何のような部下を持ち恵まれています。部下がやっかんで優秀な者を除こうとする場合だってあるので、国を思い君主を思い優秀な人を君主にわからせ登用させる忠実な部下がいることがいかに大切なことなのかがよくわかる話でした。韓信が軍師になったことで劉邦は軍を強くしていけるような予感です。