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三国志~吉川英治著   [本]

中国ドラマ「三国志Secret of Three Kingdoms」「三国志Three Kingdoms」を観て以来「三国志」に嵌っている私。マンガも読んでるけど小説も読んでみました。吉川英治の「三国志」です。

三国志(一) 桃園の巻 (新潮文庫)

三国志(一) 桃園の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/01/28
  • メディア: 文庫
三国志(二) 群星の巻 (新潮文庫)

三国志(二) 群星の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/01/28
  • メディア: 文庫
三国志(三) 草莽の巻 (新潮文庫)

三国志(三) 草莽の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/02/28
  • メディア: 文庫
三国志(四) 臣道の巻 (新潮文庫)

三国志(四) 臣道の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/02/28
  • メディア: 文庫
三国志(五) 孔明の巻 (新潮文庫)

三国志(五) 孔明の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/03/28
  • メディア: 文庫
三国志(六) 赤壁の巻 (新潮文庫)

三国志(六) 赤壁の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/04/27
  • メディア: 文庫
三国志(七) 望蜀の巻 (新潮文庫)

三国志(七) 望蜀の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/05/27
  • メディア: 文庫
三国志(八) 図南の巻 (新潮文庫)

三国志(八) 図南の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/06/26
  • メディア: 文庫
三国志(九) 出師の巻 (新潮文庫)

三国志(九) 出師の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/07/27
  • メディア: 文庫
三国志(十) 五丈原の巻 (新潮文庫)

三国志(十) 五丈原の巻 (新潮文庫)

  • 作者: 吉川 英治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/08/28
  • メディア: 文庫

ドラマやマンガとは違って小説は小説でまた良かったです。「大判三国志」のマンガを描いた横山光輝氏も人形作家で「人形劇三国志」を担当した川本喜八郎氏も、もともとはこの吉川英治氏の書いた「三国志」に夢中になっています。「大判三国志」の巻末に読者からのファンレターが載せられていてそれも楽しく読んだのですが、一般のファンの人たちもほとんどが吉川英治氏の「三国志」から入って三国志を好きになっているようでした。「三国志」を語る上ではこの吉川英治氏の「三国志」は欠かせない気がしました。

ドラマ「三国志」では出てこなかったのですが、マンガの「大判三国志」で1,2回出たきりの芙蓉姫は一体劉備とのその仲やいかに?とずっと思っていたのですが、小説の中で側室の糜夫人が芙蓉姫だとわかりすっきりしました。色々観たり読むほど肉付けでき内容もよりわかるように思いました。小説では知らない登場人物がたくさん出て来てそのエピソードも豊富でした。その中でも衝撃的なエピソードで今までドラマでもマンガでも描かれていなかったものに、呂布に追われて小沛を出た劉備が、漁師の劉安という男の家に泊まらせてもらうと「狼の肉」と言って劉備に出された肉が本当は劉安の妻の肉だったというもの。余りにもショッキングな描写でびっくりしたけれど、これには思わず吉川英治氏も読者に向けて注意書きしてました。「日本の情愛や道徳では理解しにくいことであるが…原書では非常な美挙として扱っている」「そこに中古支那の道徳観や民情もうかがわれるし、彼我の相違を読み知ることも三国志の持つ一つの意義でもあるので、あえて原書のままにした」とのこと。些細なエピソードがドラマ、漫画、小説と微妙に知らないものが色々あって新しい発見をした思いです。また官渡の戦いで命を落とした袁紹ですが、その子供たち、袁譚、袁煕、袁尚が後継者争いを起こし、曹操も関わって袁家が滅びる結果となったことも載っていました。


小説はもちろん面白くて素晴らしかったのですが、巻末に三国志学会事務局長で大東文化大学の教授の渡邉義浩氏が書いている解説や三国志関連の豆知識みたいなものも面白かったです。諸葛孔明の子孫は今、浙江省南渓市諸葛村に住んでいるとのことで諸葛孔明の言葉「良い丞相になれなければ良い医者になれ」との言葉が残っていて、子孫たちには医者が多いとのこと。また成都の武侯祠のことも書かれてあり、中国旅行の時に訪れていたので懐かしくなりました。関羽が中国で最も愛されている登場人物で、そのため関羽は神となり祀られ清の雍正帝が関帝廟を「武廟」と呼び孔子の「文廟」と並立し国家の最高神として位置づけたとのこと。「「三国志演義」を完成させた毛宗崗は奸絶の曹操、智絶の諸葛亮、義絶の関羽を主役としているが、吉川英治は曹操と諸葛亮の二人を主役とする自らの「三国志」を書いた」と述べています。また吉川が「三国志演義」の単なるお人よしであった魯粛を周瑜にもまして高めたとのこと。魯粛の才が三国時代が作ったと言ってます。また卑弥呼の使者が新皇帝曹芳に謁見し新魏委王に封建されたことの意味は、卑弥呼が司馬懿の功績、徳を讃えて朝貢したと言う意味だと言う。曹芳と司馬懿と卑弥呼が同じ時代なのか、とその繋がりも面白い発見でした。

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大判三国志⑱山師の表  [本]

「大判三国志⑱山師の表」を読みました。

大判 三国志 18 (希望コミックス)

大判 三国志 18 (希望コミックス)

  • 作者: 横山光輝
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2018/06/25
  • メディア: 大型本

横山光輝のマンガ。

諸葛亮は成都から戻ると、五虎将軍の一人の馬超が45歳で亡くなる。魏では曹丕が倒れ司馬懿に子の曹叡を託すと、曹丕は40歳で亡くなってしまう。司馬懿は西涼を守るために赴くが、諸葛亮は馬謖に司馬懿が謀反を起こすために西涼に行ったと噂を流させ、司馬懿は誤解されそのまま故郷へと帰される。諸葛亮は出師の表を書き、魏へ出兵。趙雲がまず韓徳の息子の韓瑛と戦い、その後韓徳と戦い、夏侯淵の息子の夏侯楙(かこうぼう)と戦う。張苞や関興も趙雲に加勢。安定城を守っていた崔涼が夏侯楙の偽の呼び出しで城を離れる間に、諸葛亮は城を焼いてしまう。諸葛亮は崔涼と親しい陽俊を口どかせ南安城にいる夏侯楙を生け捕らせる作戦に出るが、崔涼も陽俊も裏切っていて降伏は嘘であったが、それを諸葛亮は全てお見通しだった。

夏侯楙=夏侯駙馬(かこうふば)が天水城の馬遵に蜀を討ってほしいとの援軍を要請すると、馬遵の部下であった姜維は諸葛亮の策を見破り、姜維は諸葛亮を追い詰め戦に勝つ。姜維に負けた諸葛亮は「離間の計」を使う。諸葛亮は捕まえていた夏侯駙馬に姜維に降伏するよう命令すると、夏侯駙馬が冀城に着く前に姜維が既に降伏しているとのうわさを聞く。実は諸葛亮が姜維そっくりの兵士を使い降伏したように見せていたのだった。本物の姜維は冀城に食糧を奪いに行っている間魏延に城を奪われ、天水城に行けば射やられ、上邽城でも蜀に裏返った裏切り者として扱われていた。諸葛亮が姜維の母を連れてくると、人一倍母思いの姜維は降伏。天水城の尹賞(いんしょう)も梁虔(りょうけん)と内通していると思われ殺されそうになると蜀に下った方が得策と考え、また上邽城の梁虔のところにも兄が説得に行き蜀に下ることを考える。

魏では曹真が祁山に兵を出すが、夜襲を掛ける中同士討ちをしてしまいそこを襲われ負けてしまう。しかしチベット人と蒙古人の混合体に西羌王国の鉄車隊を使い、関興たちも大苦戦。そこで諸葛亮が出ていきそれら鉄車も馬も人も全て落とし穴に落としてしまう作戦に出る。西羌王国の越吉元帥や雅丹丞相を捕まえたあとは、兵も戦車もすべて返してやった。曹真も出てくるが歯が立たず魏側が破れる。魏のブレーンである鍾繇(しょうよう)は司馬懿を戻し地位を戻し出兵をお願いする。司馬懿の子供司馬師、司馬昭も出兵する。

関羽が呉軍に囲まれたときに援軍を出さなかった孟達は魏に下ったが、蜀の勢いを観ると蜀に戻りたくてうずうずしている。それを知った部下の申耽、申儀はこれを謀反と捉え司馬懿に知らせる。司馬懿は申耽に孟達を討たせる。そのことで司馬懿はまたも帝から破格の特権を与えられる。

諸葛亮側は食糧のある街亭が大切だと考え、馬謖と王平に街亭を守らせる。王平に反対されるのも聞かず、馬蹄は細い参道に砦を築かず山の上に砦を築き陣を張った。それを見た司馬懿は水を絶ち火を用い攻めようと策を練り始める。

姜維が蜀に下るいきさつ、西羌王国の鉄車隊などが面白かったです。西羌王国がチベットや蒙古であることも、三国志にも出てくることも興味深かったです。何せチベット大好きなので。いよいよ司馬懿と諸葛孔明の戦いにこれから入っていくクライマックスです。

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大判三国志⑰孟獲心攻戦  [本]

「大判三国志⑰孟獲心攻戦」を読みました。

大判 三国志 17 (希望コミックス)

大判 三国志 17 (希望コミックス)

  • 作者: 横山光輝
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 大型本

横山光輝のマンガ。

孟獲を捕まえるも逃がしてやる諸葛亮。馬岱に蛮軍の食糧補給路を断つよう命を出し、董荼奴(とうとぬ)は馬岱と戦わずして戻り百杖の罰を受けるが、他の頭目たちも諸葛亮に恩を感じ董荼奴に孟獲暗殺の相談をする。すると董荼奴は孟獲を捕まえ諸葛亮の目の前に差し出す。そして孟獲一人が逃げてまた夜襲を掛けてくる。諸葛亮は孟獲の兵を捕まえてもまたも解放してやる。孟獲だけでなく孟獲の弟の孟優も捕まえるが諸葛亮は孟優も逃がす。孟獲が捕まって4度目の時も孟獲はまだ諸葛亮に勝てると思っているので諸葛亮はまたも彼を解放してやる。その後、孟獲は朶思王(だしおう)を頼り諸葛亮に打ち勝つ方策の知恵をもらう。その策とは禿竜洞(とくりゅうどう)で戦うこと。そこに至る道は2つしかなく、一つの道を封鎖してしまえば残る道は密林で毒蛇、蠍、毒煙、硫黄が噴き出す毒泉を通らねばならず、通ることが叶ってもそこの水を飲むと死んでしまうという道。諸葛亮は王平軍、関索軍を突き進ませるが具合悪い者が続出した。途中の万安渓で万安という四泉の毒に当たった者を助けている人がいると聞き、彼に助けを求める。薬をもらい具合悪い兵士は治り、安全な水は地下水を掘って飲むと良いとアドバイスを受ける。地下水を掘って桶に水を入れて運びもしながら水確保に努めた。万安は実は南蛮王の孟獲の兄で孟節というのが本名だった。

諸葛亮はまた孟獲を捕まえる。5度目であった。楊鋒が諸葛亮に恩義を感じ一役買い女軍の踊りも見せての捕獲。孟獲は自分のやり方でまた戦うというので諸葛亮はまたも逃がしてやる。朶思王が三江城を守っていたが毒矢を蜀軍に浴びせさせる。諸葛亮は兵士に予備の服を用意させ兵士一人一人に服の中に土を入れさせ土嚢を作らせた。それで河を埋め城壁まで積み上げ城に乗り込んだ。朶思王は討ち死にし、城は落ちた。孟獲の妻で武芸に秀でた祝融夫人が出て来て戦い捕まると人質交換に使われる。また孟獲の弟の帯来もやってくる。

孟獲が朶思王の次に力を借りたのは木鹿王(ぼくろくおう)であった。丁度虎、豹、ライオン、ゾウを引き連れてくると、趙雲や魏延がこれら獣と戦った。諸葛亮は「からくり木獣」を作ってそれに対抗。勝利を収める。そして孟獲、孟優、祝融夫人が捕まってもまた諸葛亮は逃がしてやった。孟獲は兀突骨(どつこつこつ)王が治める烏戈国(うかこく)で再起を図りその国が持っている藤甲軍の力を借りてまた諸葛亮に挑む。藤甲軍の鎧は鎧が硬く矢も刀も通さない。桃葉江の水は桃の葉が河底に蓄積し他国のものはこの水を飲むと水当たりを起こした。諸葛亮は藤甲軍が無敵だとわざと思わせるために、戦っては敗れ敗走しそれを15回繰り返した。そうすることで藤甲軍を狭い谷におびき寄せ、谷に閉じ込めた上に棺の中に用意してあった火薬を爆発させた。1つの玉の中に9つの火薬玉を入れ30歩歩くごとにこの地雷を埋めていった。鎧は油と蔓でできていたので火に弱くすぐに引火した。こちら側の敗走15度は、相手側の15回も勝てば勝利を信じて気を許し進撃してくることを利用したものだった。7回目。またも孟獲と夫人が捕まる。しかし諸葛亮はまた烏戈国の兵を皆殺しにしてしまったので彼らを解放すると言う。孟達はこの時諸葛亮に詫びると、諸葛亮は孟達にそのまま南蛮を治めてほしいとお願いする。去り際に河を治めるために49人の生贄を捧げていた祭りや風習を聞き、諸葛亮は小麦粉の中に肉を摘めて表面を顔のように作らせそれを荒神に捧げた。今の「饅頭」を作ったのは諸葛亮である。

このマンガで初めて南蛮王の孟獲を7回捕えて7回解放することを知りました。お互いに信頼関係も生まれる感じは良かったです。それと「饅頭」が諸葛亮が発案したことも知りました。ドラマ「パリピ孔明」でも出てきたエピソードなのでこれで絶対忘れません。

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活きる 愛のあとにくるもの どくだみちゃんとふしばな9 [本]

最近読んでた本です。

活きる

活きる

  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2002/03/01
  • メディア: 単行本

チャン・イーモウ監督映画「活きる」の原作となった本なので興味あり読みました。映画「活きる」のnaonaoのレビュー、大まかなストーリーはこちら→https://naoazucar.blog.ss-blog.jp/2023-07-07

原作と映画では少し設定が違ったけれど、映画は映画、小説は小説の良さがありました。小説では民間歌謡採集の若者が1940年~1960年の激動の中国を生きた老人の福貴に語らせる手法を採っており、映画では福貴と妻の家珍、娘婿の二喜、孫の苦根の4人が残されこれからもたくましく生きていくと言った感じの終わり方だったけれど、小説は妻の家珍も亡くなり、娘婿の二喜も亡くなり、孫の苦根までも亡くなって、福貴のみが生き残っているところで終わっています。映画は日中戦争や中国国民党から中国共産党へ、そして文化大革命の大きな時代の波に翻弄される感じが強かったのですが、小説はそれよりも裕福な家に生まれ博打に明け暮れ財産無くして、心を入れ替え働きに働き、病弱な妻(歩けなくなり軟骨病と診断される)を労わり、長男の有慶を亡くし(映画では知事=春生の車に轢かれ亡くなったけど、小説では知事の奥さんの輸血に使う血が足りなくて採血した有慶が大量に採血されて亡くなった)、娘の鳳霞が出産で亡くなり(映画は紅衛兵の看護師たちが看ていたが小説は普通の医師たちだった)娘婿の二喜がその後亡くなり(映画は足の悪い娘婿だったが、小説では首の曲がった娘婿だった)、豆を喉に詰まらせて孫の苦根も亡くなってしまうといった具合で、一人残った福貴の人生そのものが描かれていました。福貴自身の人生を自ら語り、そこには紛れもなく家族愛が溢れていて、ストーリーを知っていてもまた泣けました。映画は福貴が絵影絵芝居の芸人みたいな華やかな職業でしたが、小説では福貴は農夫で労働の辛さやどんどん年を取って行って体がしんどくなる様子なども描かれ、小説の方がよりしんどさが増している感じでした。いい小説を読みました。映画と共にお勧めです。

愛のあとにくるもの (幻冬舎文庫)

愛のあとにくるもの (幻冬舎文庫)

  • 作者: 辻 仁成
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/08/03
  • メディア: 文庫
愛のあとにくるもの―紅(ホン)の記憶 (幻冬舎文庫)

愛のあとにくるもの―紅(ホン)の記憶 (幻冬舎文庫)

  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/08/01
  • メディア: 文庫








坂口健太郎くんとイ・セヨンさんが共演する新しい韓国ドラマ「愛のあとにくるもの」。原作が辻仁成と韓国人女流作家=孔枝泳との同名小説だと聞き、読んでみました。かつて読んだ辻仁成と江國香織の「情熱と冷静のあいだBlu」「情熱と冷静のあいだ Rosso」「左岸」「右岸」を思い出しました。それぞれの恋愛に男性側からと女性側からの視点で書かれているのは同じ。この試みは昔とっても面白いと思いましたが、今回もまた同じく面白いと思いました。二人の間に起こった出来事が二人の視点によってどんどん肉付けされお互いを補足していく。読めば読むほど深みが増す。この形式~二人の作家がそれぞれの男性側と女性側から書くという手法は本当にいいなあと思いました。

7年前に別れた日本人の潤吾と韓国人の紅のソウルでの再会から始まり、二人が井の頭公園近くで一緒に住んでいたことやアルバイトに明け暮れいる潤吾とすれ違いの生活を送り、寂しさを紛らわすために公園を走っていた紅のことなど現在と過去を二人それぞれが思い出しながら物語は進んでいきます。紅は日韓の歴史などを背負う感じで周りからも反対されることが容易に想像できる中、韓国への寂しさも加わり韓国に戻ってきているのですが、日本人と韓国人の結婚というのはどうしてもその本人同士がお互いの歴史を背負うことになると思います。私も若いころ韓国人の彼氏がいて、お互いの歴史が重苦しかった。破綻したときに悲しかったけれど肩の荷を下ろしスッキリした気分も同時に味わったことを思い出します。小説は紅の父は日本人の好きな人とは結婚せず韓国人の女性を選び、紅は幼馴染でプロポーズしてくる韓国人の眠俊を振ります。そして最後は潤吾と一緒の将来を匂わせハッピーエンド。潤吾が作家としての仕事を終えて帰国する日に潤吾が紅と一緒にランニングするラストでした。バッドエンドよりハッピーエンドのほうが好ましい。けれど現実ではそうはいかないよなとちょっと苦々しく色々なことを思い出して個人的にはほろ苦かった。 さてドラマでは一体どんな風に描かれているのか?機会あればドラマも観たいです。

生活を創る(コロナ期) どくだみちゃんとふしばな9 (幻冬舎文庫 よ 2-41)

生活を創る(コロナ期) どくだみちゃんとふしばな9 (幻冬舎文庫 よ 2-41)

  • 作者: 吉本 ばなな
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2023/09/07
  • メディア: 文庫

吉本ばななのメルマガをまとめたエッセイ。世代が一緒なのでまたずっと彼女の小説が発表されるたびに読み続けてきたこともあるので、相も変わらず彼女のエッセイもなお続けて読んでるわけですが、歯の根管治療のこととか、若い時のような海外旅行はもうしたくなくなっていることとか、地球が丸いことを実感したこととか(私も犬吠埼に行った時に経験したと思った)コロンビアが怖かったこととか(その代わり筆者のようにメキシコが怖いとはあまり思わなかった)結構共感できる部分が多々あります。大金持ちになりそうになったけれどそうはならず自由を守るためにその一歩手前まで行ったらしいところは全然違う境遇だけれど、自由を謳歌することが大切だと感じる、一番のプライオリティだというのは私も同じなので共感しまくりでした。私自身も好きな村上春樹とかダライ・ラマとかの名前も相変わらずよく出てくるなあと思いました。

おまけ:今熱中しているドラマは「おっさんずラブ リターンズ

前作、前々作よりもパワーアップしている気がする。楽しくて楽しくて仕方なし。TVerで見逃し配信やってます。

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大判三国志⑯孔明の南蛮行  [本]

「大判三国志⑯孔明の南蛮行」を読みました。

大判 三国志 16 (希望コミックス)

大判 三国志 16 (希望コミックス)

  • 作者: 横山光輝
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: 大型本

横山光輝のマンガ。

関羽の次男の関興が関羽の首を切った藩璋という男に仇討ちしたいと願っていて、民家にいたところを鉢合わせし関興は藩璋の首を捕った。蜀の勢いが増す中、寝返った傅士仁と糜芳は部下たちがこの二人を殺して蜀へ行こうと話しているのを聞き、自分たちもまた劉備の元へ戻ろうと思い行くと、劉備は彼らの首を刎ねた。呉から張飛の塩漬けの首が送られてくるときに張飛を殺した范彊と張達も送り返される。張飛の息子の張苞は范彊と張達の首を刎ね仇討ちをする。

馬良が劉備に呉と仲良くするよう進言するが劉備は呉を討ち魏を討つと言う。呉では周瑜、魯粛、呂蒙亡きあと陸遜が総司令官になっていた。劉備が出陣しても陸遜は現れず、劉備軍は暑さのために陣を山林へと移していた。魏軍は三方より呉を狙って出陣していた。諸葛亮が劉備の陣移動の報を聞くと、劉備が負けることを予想し、蜀が破れた時には劉備を白帝城に入れるように趙雲に指示する。そしてそこで陸遜を討つようにと指示をする。諸葛亮が予想した通り劉備の陣は火に見舞われ劉備は逃げることとなり趙雲が駆けつけ劉備は九死に一生を得る。陸遜たちが出かけていくと諸葛亮が作ったと言う石兵八陣があり、それは石積みが迷路のようになったもので出られなくなってしまう。しかし丁度そこへ諸葛亮の舅で黄承彦の友のものが陸遜たちの道案内をし何とか無事に出られた。蜀を討っておきながら蜀に入らず呉に引き返してしまった陸遜だが、諸葛亮の用意周到さに驚きこれ以上このまま進軍しても勝てないだろうと思った。魏は呉を討つべく曹仁が儒須城を攻めるが守る朱桓が知恵で曹仁を追い払い他でも魏は呉に負け、曹仁は魏に戻ることにした。

劉備は具合が悪く、諸葛亮が太子の劉禅を残し、劉永と劉理の二王子を連れて白帝城へやって来た。自分亡きあと子供たちには諸葛亮を父親と思うよう言い、劉禅が王の器あれば支え、そうでなければ諸葛亮が王になって蜀を治めてほしいとの遺言を残し、劉備は亡くなった。その後劉禅が皇帝となる。

魏軍は五路から攻める計画を立てるが、諸葛亮はそれをすぐ察知し方策を立てる。その一つが儀兵の作戦。南蛮兵が疑い深いことから左に打って出ては右に入り右に打って出ては左に入るといった敵の心を惑わす作戦などを立てた。また呉の対応には鄧芝を使者として呉に送り、呉では鼎に油を入れて煮えたぎらせて使者を待ちかまえていたが、肝の据わっている鄧芝は蜀と呉の平和を願ってやってきていて、口先でもなければ詭弁でもない、もし信じられなければこの鼎に飛び込むと言って呉側はそれを止め、蜀と呉が同盟を結ぶことに成功した。魏軍の計画したこの五路侵攻は失敗に終わった。

魏は長江を渡るために船を造り始める。そして呉に向かう。呉では徐盛が江南一帯を守っていたが孫韶と意見対立しており孫韶の首を捕るところを孫権が助ける。徐盛は張りぼての城を造り無数の藁人形に旗や槍を持たせ大軍がいるように見せかけたため、魏軍は退き曹丕は河から陸に上がった。その陸に上がったところを孫韶が軍を動かし火を放つと曹丕側は撤退する。

南蛮の孟獲が益州に迫り諸葛亮が出陣する~「益州の乱」。既に亡くなっていたと思っていた関羽の三男関索が生きて戻って来て軍に加わる。

諸葛亮は顎煥(かくがん)を捕まえて「主人の越嶲(えっすい)郡の高定が雍闓(ようがい)に唆されたのだろう」と言って酒を勧め声を掛け帰らせた。外の兵に5日間好きなように騒がせておき不意打ちをかけ、雍闓の兵と高定の兵を捕まえては捕虜をその二つに分け、自分の野心で謀反を起こした雍闓の兵には斬罪、雍闓に唆されてしまった高定の兵には食事をさせ帰らせてあげることにすると、兵士たちは皆自分は高定の兵であると言い出し食事をしては諸葛亮に恩義を感じながら帰って行った。また高定の間者をわざと諸葛亮が雍闓の間者と間違え、高定の首を差し出す期限を決めた手紙を託すと、高定は諸葛亮と雍闓が通じていると思い高定は雍闓を襲撃し、雍闓の首を諸葛亮に差し出した。諸葛亮は「離間の計」をうまく使い、高定には朱褒の首さえ取らさせた。

呂凱から南蛮指掌図を手に入れた諸葛亮はどんどん南蛮へと駒を進めていった。その時馬謖が馬良の死を伝えにやって来た。趙雲と魏延が取り捕まえた蛮兵を道案内に五渓峰を進み、一人の敵将を捕まえる。諸葛亮のところに戻ると既に二人の敵将がいて諸葛亮は食事を振舞っていた。そして逃がしてやるのだった。南蛮王の孟獲もその頃出兵していた。

劉備の死で何だか三国志の話のほとんどが終わった感じがしてしまう。けれどこれから諸葛亮の力発揮の色々が出て来て面白くもあります。南蛮の地へ進む諸葛亮ですが、雲南省よりももっと南の地域らしい。三国志のドラマではサラリとしか描かれてなかったので結構細かい描写が面白いと思いました。

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