ハミルトン [ミュージカル・音楽映画]
アメリカ映画「ハミルトン」(Hamilton)を観ました。
(ディズニープラスで配信中)
2020年の作品。IMDb評価は8・3。ブロードウェイ・ミュージカル「ハミルトン」の映像化。トニー賞11部門、グラミー賞、ピューリッツアー賞、ローレンス・オリビエ賞など数々の賞受賞。リン・マニュエル=ミランダが主演、制作、脚本、作曲、作詞を担当。臨場感あってとても素晴らしかったです。生に勝るものはないでしょうが、映像であっても久々の本格的なミュージカルはやはりいいなあと思いました。
アレクサンダー・ハミルトンの生涯にスポットを当てるミュージカル。アメリカ合衆国の憲法の草稿に携わり建国の父の一人ともいわれる彼。両親は幼い時に亡くして孤児となり、戦争に行き、弁護士となり、代議士となり、そして憲法を作り、財務長官になりますが、その間三姉妹の次女イライザと結婚して息子が生まれ、自分の浮気により夫婦仲が悪くなったときに息子が銃で撃たれ亡くなり、郊外に引っ込むことに。大統領の有力候補にまで上り詰めていたのに、この浮気スキャンダルですべてが水の泡となり、最後は銃での決闘で命を落とします。ワシントンやジェファーソン、ジョン・アダムズも出てきます。このミュージカルでは、「他の建国の父のことは話題にしても、一体誰がこのハミルトンのことを語るだろうか?」と高らかに歌い上げてます。このミュージカルによって、ハミルトンの名前は一気に全米でも有名になったようです。
音楽がいろんなジャンルのいろんなテンポの音楽で良かったです。また歌詞が韻を踏んでいてそれがまた素晴らしい。ネイティブならもっと楽しめるだろうなと思いました。一人一人の出演者の歌唱力も半端なく、実力者揃い。本当に素晴らしいの一言に尽きる。このミュージカルがブロードウェイで実際に行われていた時、NBCやCNNのニュースを観てるとよくこの「ハミルトン」のミュージカルがニュースになっていたことを思い出しました。またニューヨークに行ったときブロードウェイで「キャッツ」「オペラ座の怪人」「ミス・サイゴン」など観たことを思い出しました。naonaoお勧め度★★★★★
メアリーの総て [アイルランド映画]
アイルランド、ルクセンブルグ、アメリカ映画「メアリーの総て」(Mary Shelly)を観ました。
2017年の作品。IMDb評価は6・4。「フランケンシュタイン」を18才で生み出した19世紀初めの作家メアリー・シェリーの半生を描く。「The Great~エカチェリーナの時々真実の物語」に出ていたエル・ファニング主演。いかにしてフランケンシュタインが生まれたのかがよくわかり、19世紀当時のイギリス女流作家の世間の扱いがわかって興味深かったです。
メアリー(エル・ファニング)は作家を夢見ていた。メアリーの母は有名な社会思想家で作家でもあり既に亡くなっており、本屋の父と関係のギクシャクした継母と義妹と住んでいた。ある日詩人のパーシー・シェリー(ダグラス・ブーツ)と知り合い、彼は妻子持ちであったが、恋に落ち駆け落ち同然に家を出る。その時義妹もついてくる。借金取りに追われながら逃げる中、乳飲み子を亡くしてしまい悲しみに暮れるメアリー。詩人のバイロン卿から招待を受けたという義妹と共にメアリーとパーシーも一緒にバイロン卿の邸宅に行くと、「一人ずつ怪奇談を書いてみよう」ということになり、それぞれ怪奇談を描き始める。その時メアリーが書いたのは「フランケンシュタイン」だった…。
「嵐が丘」「ジェーン・エア」のブロンテ姉妹や「高慢と偏見」「エマ」のジェイン・オースティンと同時期に同じイギリスに生きたメアリー・シェリーですが、ブロンテ姉妹やジェイン・オースティンに比べると彼女は全く世間に知られていない女流作家。この映画を観なければ彼女の存在は全く知ることもありませんでした。たった18歳の彼女が「フランケンシュタイン」を書いたのも驚きですが、彼女の奔放的な生き方もとても印象的でした。また彼女の著書が世に出たときには彼女の名前は本にはなく、二版目でやっと彼女の名前が本になったとのこと。彼女の名前が明記されて良かったです。彼女は53歳まで生きましたが、夫のパーシーは29才の若さで事故死。メアリーの書いた「フランケンシュタイン」やまた夫パーシー・シェリーが書いた詩、バイロン卿の書いた詩、全く読んだことがないけれどこれを機会に読んでみようかなあと思いました。naonaoお勧め度★★★★
ダージリン急行 [Wes Andersonウェス・アンダーソン]
アメリカ映画「ダージリン急行」(The Darjeeling Limited)を観ました。
2007年の作品。IMDb評価は7・2。ウェス・アンダーソン監督。インドを舞台に三兄弟が繰り広げる珍道中。ウェス・アンダーソン監督らしい雰囲気、色彩、装飾。ダージリンに行ったことがあるけれど、こんな内装の可愛い列車だったら(ゾウの絵がたくさん描かれている)本当に楽しいだろうなあと思いました。
父の葬式後、長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)の呼びかけで三兄弟でインド旅行をすることに。長男は事故で包帯を巻きながらの参加。次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)は妊娠している妻との離婚を考え、三男ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)は別れた彼女を忘れられないでいる。寺を廻ったりしながら、三兄弟は尼僧になっている母を訪ねることに…。
ジャックが乗務員の女性と関係を持ったり、ヘビ騒動や路線間違いやら…。その後兄弟がペッパースプレーを使って喧嘩して列車を下ろされたりと、散々な旅。川を渡ろうとする地元の子供たちが流されるのに出くわし、彼らを救出するも一人の男の子が亡くなり、葬式にも参加。そして母に会いに行くと母は翌朝いなくなっていた…。
三兄弟が持っているボストンバッグ、アタッシュケース、ショルダーバッグ、そしてベルトがお揃いの絵~キリン、サイ、アンテロープ、ヤシの木の絵が入ったもので可愛らしかった(マーク・ジェイコブスが作ったものらしい)。売っていたら欲しくなるくらい可愛いかった。インドが舞台なので煌びやかで色彩豊かな色があちこちに使われていて(インドの民家の青い壁も素敵な色だった)、自分のかつてしたインドの旅を思い出しました。列車内の3ベッドになっている作りとか、途中止まる何もない田舎の駅、ローカルバスやオートリキシャー、女性の美しいサリーの色や寺の感じなんかも懐かしかった。ゾウの装飾含めて列車内自体がきっとこの映画仕様なのでしょうが、こんな列車を本当に走らせたらもっと人気出るだろうなあと思いました。映画の中で砂漠のようなところが出てきて、どうもダージリンに本当に向かっているのか疑問だったので調べてみたら、ロケ地はラジャスタン地方でジョドプールからジャイサルメールの間らしく、なるほどと思いました。ラジャスタン地方はピンクシティのジャイプール(日本びいきの現地人に出会い、滞在中食事をご馳走になってました。街中も案内してもらった)、湖があってインドのお金持ちたちがたくさん遊びに来てたウダイプール、もろ避暑地のマウントアブに行ったことがあり(先日北海道旅行した友人と一緒。この旅行で知り合った仲)、暑い4月の時期だったので砂漠のあるジャイサルメールは敢えて避けて行かなかったことを思い出していました。ブルーシティのジョドプールはインドを廻っていた時、この町の名前すら知らなかった。いつか行きたいです。涼しい時期に。
この映画観て、インドを思い出しインドにまたも行きたくなった。インドが舞台というだけで私の中では評価高め。ストーリー展開が今一つであっても、小物類も可愛いし、色彩が好きなので。naonaoお勧め度★★★★★
アップロード~デジタルなあの世にようこそ~ [アメリカドラマ]
アメリカドラマ「アップロード~デジタルなあの世にようこそ~」(Upload)を観ました。
2020年の作品。IMDb評価は7・9。SFコメディ。2033年の未来では死後、普通に死ぬとお金次第で仮想空間でアップロードして豪華なホテルに住むことができる選択ができるようになっていた…。あの世までデジタル世界に、しかもお金次第の世界になっている!シーズン1とシーズン2を観ました(1話30分程度で全18話)。面白かったです。所々笑わせてもらいました。
ネイサン(ロビー・アメル)は20代の若さで自動運転の事故で亡くなり、お金持ちの恋人イングリッド(アレグラ・エドワーズ)がすべてネイサンの死後のアップロードにまでお金を払ってくれるお陰で彼は豪華なレイクビューホテルで生活できています。しかし彼には欠損している記憶があり、エンジェルと言われる彼の世話係ノラ(アンディー・アロー)とのやりとりを繰り返すうちに次第に二人は恋仲に。イングリッドと別れ贅沢三昧のレイクビューから一か月2ギガしか使えない何もない部屋に移ろうとするネイサン。そしてネイサンの欠損した記憶の謎を追ううち現実世界に生きるノラにまで危害が及ぶように…。そこまでがシーズン1。そしてシーズン2では本当は死んでいないのに死んだと思わせ、VRゴーグルやスーツを使いイングリッドはネイサンのそばで生活をするようになり、イングリッドは秘密裡に現実世界でネイサンと結婚したいがためにネイサンの肉体を作っている最中で、近くにいるネイサンにはサイバーベイビーが欲しいというがネイサンはまるで乗る気でない。ノラは一時身を伏せアップロードに反対する共同体に身を置くが、再度会社に戻りネイサンの死の追求をする。億万長者のチョークがネイサンを殺したことがわかり、無料のアップロード事業者フリーヨンドとチョークの関係を知るためノラとネイサンは現実社会でニューヨークツアーに出かける。そして貧しい人々がアップロードされ選挙権が奪われている疑いを持つ。そして最後ネイサンもダウンロードして意識を取り戻し、現実世界にやって来るが…。
あの世にはVRゴーグルで簡単にこの世から行くことができ、あの世とこの世の世界の敷居が低い。またあの世もお金次第で豪華なホテルに住み何不自由なくこの世と同じような生活をすることもできる。別の言い方をすればどこまでもお金がついてきて、貧富の差が永遠続く。アップロードしてもお金を払わなければ貧しいあの世の世界が待ち構えている。あの世とこの世の人の恋愛というのも面白かった。最後はネイサンに恋心を抱いている新人のエンジェルが、アップロードの世界にネイサンがいないことに気づき、バックアップからネイサンをレイクビューに戻すキーを押し、現実世界で意識が戻ったネイサンの鼻から血が出たシーンで終わりました。せっかく現実世界でノラとネイサンが一緒になれたのに、ネイサンはまたアップロードされレイクビューに戻ってしまったのかな。シーズン3が作られたらまた観たいです。naonaoお勧め度★★★★★
三蔵法師 玄奘の旅路 [中国映画]
中国映画「三蔵法師 玄奘の旅路」(Xuan Zang)を観ました。
2016年の作品。IMDb評価は 6.1。玄奘の半生を描く。美しい大自然の映像、特に砂漠、山河、草原など大パノラマで雄大な自然が良かったです。個人的には長安(西安)やナーランダー、ブッダガヤ、エローラ・アジャンターなど行ったことのある場所が懐かしく、最初のバックパッカーと言われている玄奘にはかつてバックパッカーだった私にはとっても親しみがありました。
西域に行ってはいけない時代、玄奘は長安(西安)から天竺(インド)を目指します。行く先々の困難も何のその、631年8月31歳で旅立ち4年の歳月をかけやっとナーランダーにたどり着き、そこで腰を落ち着けて5年間かけて経典を学び、その後インド各地を巡り、645年45歳で長安に戻ります。14年の月日が流れていました。中国に戻るとお経をサンスクリット語から中国語に翻訳することに精を出します。そして664年64歳で生涯を終えます。25000キロの旅、当時は110の国を廻ったことになるとか。すごいです。
玄奘のお経は今も西安の大雁塔に収められていて、街のシンボル的存在です。当時街で会った現地の大学生の女の子に町中を案内してもらったことをなども思い出しました。ブッダガヤで会ったインドネシアの家族と車をシェアしナーランダーに行ったことやナーランダーで会ったタイ人の彼と親しくなり、その後タイに行ったとき何度も彼のところに寄り、ブッタのお祭りや水かけ祭りを一緒に祝ったり、彼のお姉さんの家に泊まらせてもらったりしたことも。あんなに気楽に旅行出来た時代が今考えると夢のようです。
私はチベットに入ったのでシルクロードには行けなかったのですが、シルクロードにいつかまた行きたいです。映画では、シルクロードを思わせるぶどうやら踊りやら民族衣装やらが映りとても魅力的でした。旅行に自由に行けない今観るのにはとってもいい映画です。naonaoお勧め度★★★★★